日経平均は小幅続落、幅広い銘柄堅調もファーストリテの下落が指数押し下げ
前日10日の米国株式市場は続伸。ダウ平均は192.34ドル高の44650.64ドル、ナスダックは19.32ポイント高の20630.66で取引を終了した。ブラジルからの輸入品への50%関税発表などを受けトランプ関税策への懸念が存続したほか、週次失業保険申請件数の予想外の減少で早期利下げ期待が後退。その後、ダウは航空会社デルタの好決算を好感した買いに上昇に転じた。ナスダックは長期金利の上昇を警戒し上値が抑制されたが、連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事のハト派発言を受け買いに転じ、連日で史上最高値を更新した。
米株市場を横目に、本日の日経平均は240.18円高の39886.54円と反発して取引を開始した。朝方の買い一巡後は上げ幅を急速に縮小し、マイナス圏に転落。その後は前日終値を挟んでもみ合う展開となった。前日に決算を発表したファーストリテ<
9983>が市場想定をやや下ぶれ、1銘柄で指数を250円ほど押し下げた。ただ、米主要株価指数が上昇するなか、このところの日経平均が39000円台半ばで下げ止まる動きとなっていることから株価の下値は堅いとの見方があった。さらに、国内企業の3-5月期決算発表が増えていることから、好業績・好決算銘柄への物色意欲が株価下支え要因となった。
個別では、三菱重工業<7011>や川崎重工業<7012>、IHI<7013>などの防衛関連株が軟調に推移。また、ファーストリテのほか、フジクラ<5803>、アドバンテ<6857>、ソフトバンクグループ<9984>、リクルートHD<6098>、ソシオネクスト<6526>、日立<
6501>、古河電工<5801>などが下落した。ほか、3-5月期は市場コンセンサスを下振れたUNEXT<9418>が大幅安、ベルク<9974>、クリーク・アンド・リバー社<4763>、コジマ<7513>などが値下がり率上位となった。
一方、三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>などの一部の金融株やディスコ<6146>やレーザーテック<6920>などの一部の半導体関連株が堅調に推移。また、ダイキン<6367>、トヨタ自動車<7203>などが上昇した。ほか、前期業績の大幅上振れ着地を好感された三光合成<7888>がストップ高、セレス<3696>、GMOインターネット<4784>、大阪有機化学工業<4187>などが値上がり率上位となった。
業種別では、非鉄金属、小売業、情報・通信業など4業種が下落する一方で、銀行業、鉄鋼、証券・商品先物取引業などが上昇した。
後場の日経平均株価は、もみ合い展開が継続か。前場時点のプライム市場の値上がり銘柄数は81.6%、値下がり銘柄数は16.5%と幅広い銘柄が上昇しており、TOPIX
(東証株価指数)は0.74%高と堅調に推移。日経平均株価の下落はファーストリテの寄与が大きく、ここから売りが広がる動きは想定しにくい。ただ、引き続きトランプ米政権の関税政策の不透明感が重しとなるなか、20日に投開票予定の参院選で政権与党の苦戦も一部で伝えられており、投資家心理を慎重にさせている。週末要因も相まって積極的に買い進む動きは限定的となりそうで、こう着感の強い値動きを想定しておきたい。
<AK>
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