3. 財務状況と経営指標
2025年3月期末における資産合計は前期末比3,011百万円増の47,149百万円となった。これは主に、現金及び預金の増加、受取手形、売掛金及び契約資産の増加、仕掛品の増加があったことによる。負債合計は同771百万円増の11,735百万円となった。これは主に、未払法人税等の増加、前受金の増加があったことによる。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い、同2,240百万円増の35,414百万円となった。
以上の結果、流動比率(流動資産/流動負債)は前期末比7.0ポイント低下の417.6%となったが、短期的な支払い能力は高い。また、固定比率(固定資産/自己資本)は同0.8ポイント低下の29.1%であった。固定資産(設備投資等)の調達は返済期限のない株主資本で十分に賄われており、無借金経営を続けている。自己資本比率は75.1%と同0.1ポイント低下したが、2024年3月期における東証プライム市場「情報・通信業」の平均31.4%を大きく上回っており、安全性は高いと評価できる。同様に、ROEは10.7%、ROAは13.5%で、東証プライム市場の「情報・通信業」平均のそれぞれ8.4%、4.3%を上回り、収益性も高い。
2025年3月期末における現金及び現金同等物の残高は、定期預金の払戻による収入などがあったことにより、前期末比8,854百万円増の19,666百万円となった。
各キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動の結果得られた資金は、3,849百万円(前期比1,202百万円の減少)となった。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上に対し、増加要因として非資金項目である減価償却費、投資有価証券評価損、前受金の増加額、減少要因として売上債権の増加、棚卸資産の増加、法人税等の支払額があったことによる。一方、投資活動の結果得られた資金は、6,407百万円(同15,110百万円の増加)となった。これは主に、定期預金の払戻による収入、投資有価証券の取得による支出によるものである。さらに、財務活動の結果使用した資金は、1,414百万円(同520百万円の支出の増加)となった。これは主に、配当金の支払いによるものであった。
以上から、企業がビジネスで得た資金から、事業維持のために必要な設備投資などの支出を差し引いた、自由に使える資金を意味するフリー・キャッシュ・フローは10,256百万円であった。同社が安定した利益を上げ、設備投資後も余裕のある資金を保有していることを示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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