NSW<9739>では、株主に対する利益還元を経営の重要施策の1つとして位置付け、安定的かつ継続的な配当を実施していくことを基本的な方針とし、内部留保資金の充実を図りながら、当該期の業績や財務状況等を総合的に勘案した上で配当額を決定することを基本方針としている。
2024年3月期には、中期経営計画の目標として掲げていた連結売上高500億円を上回り、プライム市場上場企業として一定の経営基盤を確立したと判断した。そこで、株主還元に対する同社の姿勢を明確にするために、配当性向の目安を従来の20%から30%に引き上げた。2025年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益が小幅減益予想のなか、1株当たり配当金については前期と同額の年間配当85円(中間配当済み40円、期末配当予定45円)を予定し、配当性向は30.3%になる見通しであり、株主還元にも十分に配慮していると評価できる。
2024年3月期の東証プライム市場の「情報・通信業」平均の配当性向は47.1%と高いが、業界平均の配当性向は毎年の業績変動に応じて大きく上下する傾向にある。一方、同社では従来より安定した配当性向に基づく配当を継続しており、業績の増収増益基調に伴い柔軟に対応し増配を続けている。今後も配当性向30%を当面の目安として、財務状況及び業績に応じた安定的かつ継続的な配当を実施する計画だ。ただ、2025年3月期も従来どおり保守的な業績予想に基づいた配当予想であることから、最終的な業績次第では増配の可能性があると弊社では見ている。同社では東証プライム上場企業として、引き続きガバナンス強化と情報発信の充実を図るとともに、持続的な企業成長とさらなる企業価値の向上に取り組んでいる。
■情報セキュリティ対策
「情報セキュリティ基本方針」に基づき対策を実施
同社は、業務上保有する情報資産に対する機密性、完全性並びに可用性の確保及び維持を図り、社会の信頼に応えるため、2009年4月に「情報セキュリティ基本方針」を定めており、より高度な情報セキュリティ管理体制の構築・維持・改善に努めている。
同社グループでは、業務上、多くの顧客データを取り扱うため、データ管理には細心の注意を払っている。特に多くの顧客システムなどを預かるデータセンターにおいてはISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得し、信頼性と安全性の高い運用を行っている。そのほか、PCの暗号化や、不正アクセスの監視、従業員向けe-ラーニング教育や標的型の訓練などの対策を継続実施している。万一不正アクセスがあった場合に、データが外部に流出しない対策も引き続き強化する方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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