1. 2024年8月期第2四半期の業績概要
プログリット<9560>の2024年8月期第2四半期の業績は、売上高が2,045百万円(前年同期比51.3%増)、売上総利益が1,503百万円(同56.7%増)、営業利益が539百万円(同91.2%増)、経常利益が530百万円(同91.2%増)、四半期純利益395百万円(同110.0%増)と、売上高・各利益ともに第2四半期として過去最高を更新した。コロナ禍の行動制限の解除によりビジネスパーソンを中心に海外渡航機会が増加し、またコロナ禍以降、海外とのWebコミュニケーションが定着するなかで、英語を本格的に使用するニーズは従来にも増して高まっている。既に海外市場への進出を果たしている企業や今後進出を企図している企業では、英語を活用できるグローバル人材へのニーズは高く、そのような要請に応えようと考える社会人や学生においても、実践的な英語能力獲得に向けた意欲は高い。
特に短期間でより高い成果を求める人々の間では、従来型の英会話サービスから英語コーチングサービスへの注目度が高まっており、同社のサービス受講者数は着実に増加した。売上高は、英語コーチングサービスが前年同期比42.7%増の1,380百万円、サブスクサービスが同73.8%増の664百万円といずれも高い伸びを示し、売上高全体としても同51.3%増の2,045百万円と、過去最高額を記録した。利益面では、売上増のほか収益性の高いサブスクサービスの伸長や英語コンサルタントの生産性改善に向けた取り組みの成果もあって、売上総利益が同56.7%増の1,503百万円、売上総利益率については同2.5ポイント増の73.5%を確保した。営業利益は同91.2%増の539百万円と、認知拡大のための広告投資を同150百万円増加したにもかかわらず大幅な伸長を見せており、その好調さが窺える。営業利益率については同5.5ポイント増の26.4%となっている。
サービス別の2024年8月期第2四半期における四半期単体での売上推移を見ると、英語コーチングサービスの前年同四半期比伸び率は、第1四半期が40.6%、第2四半期は44.9%と高い伸び率が続いている。売上の増加に伴い顧客数も増加することから、顧客への対応力強化のためにコンサルタントの生産性の改善を実施している。具体的には、2024年8月期より1人のコンサルタント当たりの最大対応顧客数を従来の15名から16名に引き上げている。単純に対応顧客数を引き上げただけではコンサルタントの業務量が増加してしまうが、コンサルタントが行う業務内容を見直し、コンサルタントが対応すべき業務を絞り込んだほか、顧客からの英語による質問をAIが対応する仕組みを構築してコンサルタントの負担を軽減する体制を構築している。また、コンサルタントの増員も引き続き行っている。2024年8月期の業績予想修正後の計画では、期中を通じて25~28名の純増を計画しており、顧客の平均受講待機期間を約1ヶ月半程度に維持する考えである。なお、待機期間については準備学習期間と位置付け、顧客に対して学習教材の提供や学習方法のガイダンスを行っているため、顧客からの苦情や受講取り止め等の問題は生じていないとのことである。
コンサルタントに対しては、コンサルティングのベストプラクティスを共有する「BPS」、コンサルタントが抱える課題に対して仲間のコンサルタントがアドバイスする「CSアップ」、プロのコーチングスキルを身につけるコーチング研修など、継続的にスキルを向上できる仕組みを整えている。また、同社のコンサルタントは、こうした研修時間を含めても、ある程度時間に余裕を持てるように設定された顧客数を一律に担当しているため、生産性のばらつきが非常に少ない。
社内業務のDXなど効率化も進め、担当顧客数などの生産性も前期より改善している状況である。待遇面でも、2023年9月より英語コーチングサービスのコンサルタント、カウンセラーなど、約120名の給与を一律年50万円引き上げ、初年度年収をサービス業界の平均年収366万円を大きく超える450万円とした。さらに、2024年8月期の業績予想修正後の計画では40~60百万円の業績賞与の支給も検討している※。教材、アプリにおいては、受験者が増大しているIELTS及びTOEFL iBT(R)TESTコースのカリキュラムを全面リニューアルしたほか、ChatGPTを活用した英語学習サポートサービス「プログリット先生」や、スピーチが文字起こしされると同時にSPM(1分間当たりの文章数)、WPM(1分間当たりの単語数)が表示される機能を付与した「プログリットスピーチチェッカー」をローンチし、アップデートを進めながら顧客満足度を高めている。
※実際の支給額については通期業績の達成状況を踏まえて最終判断する。
また、法人研修では、主に社内での選抜型研修や福利厚生の一環としての導入が進み、取引先企業数は2024年2月末で前期末比31社増の262社となった。前期より、法人取引拡大に向けて新しい法人営業責任者を配置し、営業社員も倍増する組織改革を行っている。また同時に、資料作成の定型化や仕組み化、AIを用いた調査・訪問準備の効率化などにより、顧客訪問時間・機会を創出することで、1人当たり顧客接触量を2倍超に引き上げた。英語学習へのニーズが高い従業員を多く抱える法人を優先的にピックアップして提案活動を推進し、顧客数拡大につなげる考えである。
一方、サブスクサービスの有料会員数は、2024年8月期第2四半期単体で前年同四半期比47.7%増の6,441名と着実に成長し、月間売上高は114百万円に成長した。2024年8月期における四半期単体での売上高は、第1四半期が前年同期比86.1%増の322百万円、第2四半期は同63.6%増の342百万円となり、高成長を継続している。サブスクサービスは、添削結果の視認性向上、ディクテーションテスト機能や教材の追加など、アップデートを進めながら顧客満足度を上げてきており、累計添削数は100万件を突破し、教材数は1,000を超えた。当初は英語コーチングサービス卒業生の継続コースとして提供され、英語コーチングサービスの受講者数増加とともに成長してきたが、現在は単独サービスとしての成長スピードが上回っており、反対に、サブスクサービスから英語コーチングサービスへの集客の流れも作っている。
サブスクサービスの売上構成比は、2024年8月期第2四半期単体で33.6%と前年同四半期比2.7ポイント上昇した。2022年8月期第1四半期単体の16.1%と比較すると2倍以上に拡大しており、コンサルタントの人数に影響される英語コーチングサービスに比べて、成長スピードが速く、収益性が高いことが特徴として見て取れる。
2024年8月期における四半期単体の売上高について、第1四半期は前年同四半期比52.0%増の1,025百万円、第2四半期は同50.6%増の1,020百万円と、ほぼ同程度の伸び率を維持している。売上総利益も第1四半期は同56.1%増の760百万円、第2四半期は同57.4%増の743百万円と安定した伸びを示している。収益性の高いサブスクサービスの売上構成比が上がったこと、コンサルタントの稼働率が改善したことなどが寄与しており、収益は安定的に推移している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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