＜話題の焦点＞＝電力株急騰後の展望は？、原発再稼働巡り強弱感対立

　電力株に対する市場の関心が高まっている。東日本大震災の際の東京電力<9501.T>による福島第一原子力発電所の事故後、電力株は物色から取り残されてきた。しかし、今春以降の株価急伸とともに見直し買い機運が膨らんでいる。

　再評価のきっかけとなったのは、原子力発電所の再稼働機運の盛り上がりだ。九州電力<9508.T>の川内原発のほか四国電力<9507.T>の伊方原発、それに関西電力<9503.T>の高浜原発などに再稼働に向けた動きがある。また、電力料金の値上げ認可による業績回復期待も追い風だ。

　このなか今春以降の株価は急上昇。電気・ガス指数は４月初旬から６月初旬まで２割上昇。なかでも投機的な売買が流入した東電の場合、約７０％上昇した。

　アナリストや外国人投資家からの強気姿勢も株価を押し上げた。有力投資会社の米ブラックロックは中部電力<9502.T>や九州電力の５％を超す株式を保有した。また、ＪＰモルガン証券も今月初旬に中部電力や関西電力に対する強気のリポートを出した。

　ただ、九州電力の川内原発の再稼働時期が遅れるとの報道が出ると株価は急落。電力株人気には脆弱さも目立つ。急上昇した電力株だが原発再稼働に向け思惑が錯綜するなか、強弱感も対立し始めている。

◆電力会社の株価とＰＢＲ

　銘柄<コード>　　　　　　株価　　　　連結ＰＢＲ

東電<9501.T>　　　　　　　６７６　　　　１．０１
中部電力<9502.T>　　１８６８・５　　　　０．９６
関西電力<9503.T>　　　　１３３２　　　　１．１５
中国電力<9504.T>　　　　１８４７　　　　１．０８
北陸電力<9505.T>　　　　１８７６　　　　１．１７
東北電力<9506.T>　　　　１７５６　　　　１．４６
四国電力<9507.T>　　　　１８８１　　　　１．２９
九州電力<9508.T>　　　　１４２７　　　　２．０６
北海電力<9509.T>　　　　１２５６　　　　２．０５

※株価は１０日終値（単位：円、倍）


出所：株経通信（株式会社みんかぶ）