日本の通信業界は現在、構造的な転換点を迎えている。特に「携帯・スマートフォン市場」においては、人口減少と価格競争の激化により市場成長が頭打ちとなり、従来のような高収益体制の維持が困難になっている。通信回線自体は技術的な差別化が難しく、インフラの整備が一巡した段階では明確な差異を打ち出すことが困難な「コモディティ」商品である。このため、サービス品質以外での競争優位を築きにくく、価格競争に陥りやすい構造的課題を抱えていた。
かつては業界全体で暗黙の了解として過度な値下げを避け、収益性を維持する動きがあったが、政府の介入によって状況は大きく変化した。2015年以降、総務省が主導する通信料金引き下げ圧力や、MVNO(仮想移動体通信事業者)・格安SIM事業者の参入促進、さらには「官製値下げ」とも言える価格政策の誘導により、ソフトバンク<9434>などの大手通信キャリアは料金体系の見直しを迫られた。これにより、従来のような高収益を前提とした通信ビジネスモデルは揺らぎ、収益構造の転換が求められる状況となった。さらに、国内の人口減少によって携帯契約者数の絶対的な成長余地も限られており、ユーザーあたりの単価(ARPU)も低下傾向にある。
こうした「量」と「単価」の両面からの圧力に直面する中、通信事業者各社は事業の主戦場を「通信」から「非通信」へと移す動きを加速させている。「非通信市場」とは、具体的には金融(FinTech)、eコマース、エンタメ、広告、デジタルプラットフォーム、クラウド・AIソリューション、エネルギーインフラ、医療・教育ICTなど、多岐にわたる分野を指しており、通信インフラと顧客基盤を生かした周辺領域への多角化が進められている。特に同社では、「PayPay」「LINE」、広告テック、IoT機器といったサービスが代表例であり、これらは単なる「回線の提供」ではなく、「ライフスタイル全体のプラットフォーマー」への変貌を象徴するものである。
このように、通信業界はもはや「インフラ供給者」ではなく、「総合サービス事業者」への進化を模索するフェーズにあり、その成否が今後の業界再編や企業価値に大きな影響を及ぼすといえる。
(執筆:フィスコアナリスト 山本 泰三)
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