USENNEX Research Memo（2）：社会から期待され必要とされる企業グループであり続けたいと願う

■会社概要

1. 会社概要
USEN-NEXT HOLDINGS<9418>は、持株会社として傘下のグループ企業を通じ、祖業の音楽配信を主軸に、店舗・施設運営のための支援ツールやソリューションなどの商材・サービスを、飲食・小売といった業務店やホテル・病院・オフィスなど各種施設に提供している。また、一般個人に対しては、動画や電子書籍などのデジタルコンテンツを定額制で配信するサービスを行っている。業務店など90万件を超える顧客基盤、音楽・動画のコンテンツと会員、業務店支援ノウハウ、ネットワークインフラ、直販体制・テレマーケティング・代理店網といった営業力などグループ企業がそれぞれに持つ強みを生かし、各社の主力商品をクロスセルすることでシナジーを創出している。また、5GやIoT（Internet of Things）、AI（Artificial Intelligence）といった次世代技術を取り込みながら機動的な成長戦略を推進している。このように同社は、社会が必要とするサービスを提供し、社会から期待され必要とされる企業グループであり続けたいと願うブランドスローガン「必要とされる次へ。」を実直に実践している。


統合の成果をもって新たな事業ステージに入った
2. 沿革
同社は、宇野元忠（うのもとただ）氏が1961年に創業、(株)大阪有線放送社を設立し、その後全国を網羅する有線放送網を構築した。1998年に宇野康秀（うのやすひで）氏が社長に就任すると、有線放送で培った顧客基盤・インフラを活用して、店舗支援サービスやブロードバンドサービス、動画配信サービスなど多角化とデジタル化へ舵を切った。そのなかで、ブロードバンド事業を展開していた(株)U’sブロードコミュニケーションズ（後のU-NEXT）が、2010年12月にUSENからテレビ向け有料動画配信サービス事業と個人向け光回線などの販売代理店事業を承継して独立した。しかし2017年12月、USENとU-NEXTが別々に保有する顧客基盤などの経営資源を生かすため、両社は再統合することになった。そしてこの再統合を機に、グループ共通機能の集約やシナジーの創出を推進し、現在では強力な収益基盤を構築しつつある。

2020年に入って拡大した新型コロナウイルス感染症は、世界的規模で社会と経済に大きな打撃を与えた。国内企業の多くも影響を受け、中小事業者の多い同社顧客及び同社も例外ではなかった。そのようななか、同社の強い営業力は、苦境に立たされた中小事業者にとって大きな拠り所となった。また、グループ内・事業内のポートフォリオ効果によって事業リスクを分散する一方、巣ごもり需要をきっかけに市場が急拡大しているコンテンツ配信に関しては、機を逃さずに積極的な経営を実行した。この結果、2021年8月期は大きく利益を伸ばし、中期経営計画の目標を3年前倒して達成することができた。統合の大きな成果といえ、同社は新たな事業ステージに入ったと言うことができる。

（執筆：フィスコ客員アナリスト　宮田仁光）


＜EY＞