―23年は10年ぶりの買い水準も、半導体関連株などへ積極投資姿勢―
14日の日経平均株価は前日比110円高の3万2695円と続伸。一時3万2800円台まで上昇し3万3000円台を意識する底堅い値動きとなっている。市場には、米長期金利低下によるインフレ懸念後退を期待する買いが流入している。今晩発表の米10月消費者物価指数(CPI)に左右される面はあるものの、年末高に向けた期待は膨らむ。そんななか、市場では海外投資家の動向が高い関心を集めている。
●インフレ懸念後退で米株高が本格化
足もとで米株市場が上昇基調を強めている。この背景にあるのが、インフレ懸念後退への期待だ。特に、金利低下が追い風となるハイテク株を中心とするナスダック指数は10月下旬から11月上旬にかけ9連騰を記録。夏場から続いた調整一巡期待が膨らみ年末高に向けた期待が強まっている。
今晩は米10月CPIが発表され、9月の前年同月比3.7%上昇に対して、市場では3.3%上昇が見込まれている。コア指数も同4.1%上昇と9月からは横ばいの予想。市場にはインフレ懸念は後退するとの期待が強い。CPIの上昇率が予想を上回れば、市場に波乱も生まれかねないが、今後も経済指標などに一喜一憂する状況は続いても、現状では「米インフレ懸念後退の基調は続き、来年には利下げ期待も膨らむ」(市場関係者)との見方が強まっている。
●23年はアベノミクス以来の外国人買い流入も
足もとの米株高とともに、東京市場では海外投資家の動向が関心を集めている。日経平均株価は年初からは25%程度の上昇を演じているが、その牽引役を果たしたのはやはり海外投資家だ。夏場以降は、利益確定売りでやや売り越し基調となったが、年末に向けては「再び買い姿勢を強めるのでは」(アナリスト)との見方は少なくない。
海外投資家は10月までに現物ベースで日本株を3兆4800億円強買い越している。昨年は2兆2500億円の売り越しだった。今年はあと2カ月を残しているが、現時点では年間の海外投資家の買い越し金額は、アベノミクス相場に沸いた2013年(15兆1196億円)に次ぐ水準となっている。
●11月の海外ファンドの決算一巡後に買い期待も
特に7月までの買い意欲は強く5兆円近くを買い上げた。著名投資家ウォーレン・バフェット氏の日本株への積極投資姿勢が話題となったほか、日本の“脱デフレ”に向けた期待も膨らんだ。ただ、8~9月は売り越しとなるなど、先行きに不透明感が漂った。
「円安の進行はドル建てで投資する海外投資家にはマイナス要因」(市場関係者)との声が膨らんだが、「米インフレ懸念が後退し米株高基調を強めれば、海外投資家の買い余力が高まるなか日本株に買いが入る展開は期待できる」(アナリスト)ともみられている。また、低PER・高配当利回り銘柄の多い日本株は、やはり魅力的だろうとみる声は少なくない。特に、11月はヘッジファンドなど海外ファンドの決算月となるが、ここをクリアすれば、短期筋などを中心に年末に向け買い姿勢を強める展開を予想する見方も出ている。
●コクサイエレやソシオネクスなど半導体関連株に買いも
では、海外投資家はどんな日本株に注目しているのか。まずは日本の代表株を組み入れた指数の構成銘柄への買いが期待される。米ブラックロック
また、やはりハイテク株への投資は高い関心を集めそうだ。個別ファンドの動向をみてみると米系のキャピタル・リサーチ・アンド・マネージメントは10月下旬に東証プライム市場に新規上場(IPO)したKOKUSAI ELECTRIC <6525> [東証P]の大株主に浮上している。また、ソシオネクスト <6526> [東証P]やトリケミカル研究所 <4369> [東証P]といったハイテク系銘柄やFA関連のハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [東証S]も買っている。
更に、アクティビストとしても知られる英系のシルチェスター・インターナショナル・インベスターズは電通グループ <4324> [東証P]や飯田グループホールディングス <3291> [東証P]、サワイグループホールディングス <4887> [東証P]、大成建設 <1801> [東証P]などの大株主となっている。公募投信系では、JPモルガン・アセット・マネジメントは大阪ソーダ <4046> [東証P]やライフドリンク カンパニー <2585> [東証P]、ウェルスナビ <7342> [東証G]などを拾い、フィデリティ投信はTOYO TIRE <5105> [東証P]やINFORICH <9338> [東証G]、SWCC <5805> [東証P]などを買っている。
株探ニュース
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