1. 再生可能エネルギーの展望
地球温暖化対策への国際的な枠組みである「パリ協定」において、日本は2030年度の温室効果ガス排出を2013年度水準から26%削減する目標が定められた。この目標を達成する核となるのは、再生可能エネルギーの導入量を増やすなど低排出エネルギーの推進と、更なるエネルギー効率化の追求である。そこで、2015年7月16日、経済産業省は、実現可能な将来のエネルギー需給構造のあるべき姿として「長期エネルギー需給見通し」(エネルギーミックス)を策定した。エネルギーミックスは、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大を掲げ、2030年度における電源構成において22%〜24%程度(水力を含む)を占め、うち太陽光は7%程度に拡大することが見込まれている。さらに、2050年に向けては、エネルギー転換・脱炭素化への挑戦を掲げ、温室効果ガスの80%削減に向けて、再生可能エネルギーの主力電源化を目指す方針である。ただ、世界の潮流もあり、2011年3月の東日本大震災による原子力発電所事故を経験したわが国では、安心・安全な再生可能エネルギーへのシフトが政府の計画以上のペースで進むことも予想される。
2. FIT制度に基づく20年間にわたる固定価格での買取り
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT制度)とは、再生可能エネルギーの普及を図るため、一定の電気事業者(企業や家庭などに電力供給を行う電力会社)に対して、認定を受けた再生可能エネルギー発電設備を用いて発電された再生可能エネルギー電気を固定の調達価格で、20年間を通じて買い取ることを義務付ける制度である。これにより、発電事業者は安定的かつ継続的な売電収入を見込むことができ、再生可能エネルギー発電設備の高い建設コストの回収見通しが立ちやすくなったとされる。
FIT制度における太陽光発電設備を用いて発電された電気の買取価格(調達価格)は、発電所の建設に必要なシステム費用の低下などを反映して年々引き下げられている。経済産業省では事業者からの買取価格(1キロワット時当たり)を、2012年度の40円から2018年度の18円に引き下げている。さらに、2019年度は14円とする予定であり、2022〜2024年度には8円程度に引き下げる方針であると伝えられる。ただ、買取価格の引き下げは新規の案件にのみ適用されるもので、既に認定取得済の発電所には適用されないことに留意が必要である。
同投資法人のスポンサーであるリニューアブル・ジャパンでは認定取得済で未着工・未稼働の太陽光発電設備が大半を占めており、既に物件ごとに設定された買取価格で20年間売電する契約を電力会社と締結していることから、将来の電力買取価格低下の影響を受けないことは大きな強みだろう。また同投資法人は、同スポンサーが開発中の太陽光発電所を優先的に買い取る権利を有している。このように、FIT制度によって、同投資法人では将来にわたって安定的な収益を産み出し、投資家に対して安定的に分配金を支払うことが可能である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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