外航海運業の売上高は前年同期比2.6%減の1,149.44億円、営業利益は同3.1%減の151.39億円となった。大型原油タンカーにおいては、一部の船舶で入渠工事を実施し稼働が減少したが、支配船腹を長期契約に継続投入し、業績の下支えに貢献した。ケミカルタンカーにおいては、基幹航路である中東域から欧州及びアジア向けをはじめとする安定的な数量輸送契約に加え、スポット貨物を積極的に取り込み、当初の予想を上回る運航採算を確保した。大型ガス船においては、既存の中長期契約を中心に安定収益を確保したことに加え、一部船舶が好市況を享受した。また2月にはクリーンエネルギーとして注目されるアンモニアを輸送し、さらに燃料として使用する二元燃料主機関へ換装可能な仕様である同社初のアンモニア運搬船が竣工した。ドライバルク船においては、専用船が順調に稼働し安定収益確保に貢献した。ポストパナマックス型及びハンディ型を中心とする不定期船では、ハンディ型を中心に市況の影響を受けたものの、契約貨物への投入を中心に効率的な配船と運航に努め、ドライバルク船全体で当初の予想を若干上回る運航採算を確保した。
内航・近海海運業の売上高は同3.7%減の101.17億円、営業利益は同31.4%減の4.07億円となった。内航ガス輸送においては、市況の影響や運航船の入渠による修繕工事の重なり等の影響を受けたが、既存の中長期契約に加え、船員労働時間の規制を考慮した効率配船により、安定的な売上を確保した。近海ガス輸送においては、既存の中長期契約に基づき、安定的な収入を確保した。また1月には、アジア域内のLPG輸送に従事する新造高圧LPG船の用船を開始した。
不動産業の売上高は同0.3%増の129.73億円、営業利益は同7.5%減の35.16億円となった。同社所有ビルにおいては、オフィスフロアが順調な稼働を継続し、安定した収益を維持した。商業フロアにおいては、一部空室を残しているものの、飲食テナントを中心に売上の回復傾向が見られた。同社グループのイイノホール&カンファレンスセンターにおいては、需要の回復に伴い稼働は改善に向かった。スタジオ事業を運営するイイノ・メディアプロにおいては、主力のスタジオ部門で稼働が引き続き堅調に推移した。英国ロンドンのオフィスビル賃貸事業においては、オフィスフロア・商業フロア共に順調に稼働し、収益を維持した。また、当期末にロンドンで二棟目となる高グレードのオフィスビル「111 STRAND」を取得した。
2025年3月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比1.4%減の1,360.00億円、営業利益が同19.2%減の154.00億円、経常利益が同33.5%減の145.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.6%減の141.00億円を見込んでいる。
また、期末配当金については、2024年3月期通期連結業績を踏まえ、直近の配当予想から1株当たり4.00円増配の31.00円とし、通期で56.00円とすることを発表した。
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