2025年3月期の通期業績は、売上高660.0億円(前期比4.8%増)、営業利益12.2億円(同20.8%増)と増収増益を達成。セグメント別では、貨物自動車運送事業では新規得意先の獲得やスポット需要の取り込みのほか、燃料や人件費高騰への価格転嫁が奏功。また、センター事業における新規受託や既存顧客の業務拡大により入出荷量が増加し、さらに倉庫内作業の効率化が進んだことから、大幅な増益となった。アセット事業は保管面積拡大で増収も、既存倉庫の稼働率低下が減益要因。その他事業は、ベトナムにおける旅客自動車運送事業は堅調に推移したものの、輸出入関連の伸び悩みや得意先との取引終了による減収が影響した。
2026年3月期の売上高は前期比6.8%増の705.0億円、営業利益は同22.7%減の9.5億円の計画。新拠点の稼働開始により売上高は増加見通しだが、拠点立ち上げに伴う費用の発生や人件費等のコスト増加により、営業利益は一時的に減少見込み。センター事業では、冷凍冷蔵貨物の取扱が拡大。横浜港北での成功事例を基に、2025年5月には大阪茨木営業所の稼働を開始し、今期中に満床見込みで、来期以降に本格的な利益貢献を見込んでいる。さらに2025年8月にはグループ最大規模のふじみ野営業所が稼働開始予定で、人材採用を進めている。
同社は、特に食品・消費財における長期の顧客基盤を強みとし、新規の顧客開拓にも積極的。海外事業は、ベトナムやタイを中心にアジア圏に展開しており、円安を追い風に売上構成比は、2025年3月期の13.6%から今期14.3%へ拡大する見通し。ベトナムでは旅客運送事業を行っており、非日系企業、ベトナム国内旅行者等の需要取り込みにより顧客層を拡大している。既存の物流事業、卸売・小売事業の強化に加え、事業領域の拡大を図る。
国内物流はドライバー不足や高齢化、コスト上昇といった構造的課題を抱える一方、ECや食品・冷凍冷蔵物流の需要は底堅い。2024年問題においては、新規採用と定着率向上のため給与水準の引き上げを継続的に行っていく計画。また、2023年4月にCSR本部を新設し、新たにサステナビリティ推進部を設けた。2025年2月には「サステナビリティレポート」を公表するなど、物流業界が抱える環境問題への取り組みも中長期的に行っていく方針。
中期経営計画2025(2023年度~2025年度)では、2025年度に売上高710億円、営業利益18億円を計画。現中計最終年度である今期は、期初時点で目標達成が難しい見通しだが、ROE8%を目標に売上高利益率の改善に注力する。大型拠点の立ち上げ後は、作業効率向上によるコスト削減を進める。また、冷凍冷蔵分野の拡充やアセット事業における稼働率改善を利益改善の柱とする。利益水準を引き上げることでROEを改善し、中長期的な企業価値向上を目指す。
株主還元については、2026年3月期も年間配当80円(中間40円、期末40円)を継続予定。安定配当を基本とし、利益水準に応じた増配を目指すとしている。
<HM>
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