1. 販売環境
首都圏投資用マンションの供給戸数は、1990年代後半から2000年代前半にかけて順調に拡大したものの、2008年に地価の高騰やリーマン・ショックの影響などにより事業者の倒産や撤退が相次いだことから減少傾向をたどった。ただ、2010年に底を打つと、ここ数年は単身世帯数の増加や人口の都心回帰などを背景とした首都圏の賃貸需要の拡大、並びに低金利の継続や将来の年金受給の不安のほか、相続税対策(基礎控除の引下げなど)という新たなニーズも出てきており、物件価格上昇などによりマンション業界全体が調整局面を迎えるなかでも、個人からの底堅い購入需要に支えられて堅調に推移している。特に、将来に向けた資産運用手段として、株式や投資信託、債券などと比べ、節税効果や保険機能が期待できるほか、キャッシュフローが安定していることや実物資産投資への安心感も背景として考えられる。
なお、過去においては、一部地銀による不正融資の発覚により、不動産投資ローン全般への影響(銀行がより慎重となる可能性)が懸念される事案などもあったが、同社物件のような好立地で資産価値の高い投資用ワンルームマンションに対する融資姿勢には変化は見られず、また、そのなかでも同社の供給実績やブランド力、財務基盤の安定性などの点も購入需要を支える要因になっており、同社及び同社のビジネスモデルの信頼性が実証されたものと捉えることができる。
2. 仕入開発環境
一方、仕入開発面では、土地仕入価格や建築費の高止まりが続いていることから、収益性の見極めが一層重要となっており、土地仕入の結果が業績を左右する可能性が高まっている。同社は、信用力、財務力、豊富な情報力を生かし、設立以来一貫した採算性重視の仕入活動を行っていく方針としている。
3. 競合環境
同業者は投資用マンションの専業業者がほとんどであり、比較的規模が小さいところが多い業界構造となっているなかで、同社は、首都圏投資用マンション供給戸数ランキングで常にトップクラスの販売実績を誇っている。最近では、市場拡大を見据えた大手デベロッパーによる参入の動きもみられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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