3. 特殊要因
2025年3月期第2四半期は、営業利益の伸びに対して、税引前中間利益及び親会社の所有者に帰属する中間利益の伸びが異常に高くなったが、これはポジティブな意味での特殊要因による。業績的には、営業利益の下で、持分法による投資損益利益3,577百万円と持分法による投資の売却益18,724百万円が一時的に発生したが、これを除いても、税引前中間利益で前年同期比23.6%増、親会社の所有者に帰属する中間利益同26.8%増と本業は好調ということができる。
持分法による投資損益として、2024年3月期に持分法適用会社に対する投資及び金融債権の減損損失476億円を計上したSIRVA-BGRSにおいて、2025年3月期に債権放棄による為替換算調整勘定の戻り益30億円が発生した。経緯は次のとおりである。「グローバル・リロケーションカンパニーNo.1」を目指していた同社は、2019年に世界最大級のグローバル・リロケーションカンパニーの1社であるBGRS Limitedの株式を取得して子会社化した。しかしその直後、新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大の影響により、リロケーション業界全体が厳しい環境下に置かれることとなった。このため、BGRSのリストラやデジタル化を進めることで事業基盤の再構築を進めたが、コロナ禍による不透明感が続くなか、リロケーション業界で規模の拡大と効率化を目的に再編の機運が高まり、2022年7月にBGRSと業界最大手の1社であるSIRVA Holdings, Inc.との統合を決断、同社はSIRVA-BGRSの優先株式23%(議決権所有割合0%)を取得することで持分法適用会社とした。その後、SIRVA-BGRS筆頭株主であるGlobal Relocation and Moving Services, LPと共同で経営を続けてきたが、リロケーション業界がコロナ禍から完全に回復しなかったことに加え、米国における大幅な金利上昇を受けて北米の中古住宅売買が減少したため、SIRVA-BGRSのコア事業の1つである「住宅売買を伴う移動サポート」の件数が急減、加えて借入金に対する金利負担が大幅に増加した。このため、SIRVA-BGRSに関連する投資や金融債権などを減損損失として処理することになったのである。
持分法による投資の売却益187億円は、2025年3月期に持分法適用会社である日本ハウズイングの株式を売却したため発生した。経緯は以下の通りである。同社と当時東京証券取引所第二部に上場していた日本ハウズイングは、マンション管理など住まいや住環境に関連したサービス領域でのシナジーを創出することを目的に2008年に業務提携契約を締結し、同社の持分法適用関連会社として良好な関係を続けてきた。しかし今般、日本ハウズイングの創業家から非公開化の申し出があり、これまでシナジーがあまり大きくなく売却に十分な経済合理性があったこと、次期中期経営計画である第四次オリンピック作戦に向けて投資を再編する必要があったことなどから、提案を受け入れ日本ハウズイング株式を売却することになったのである。日本ハウズイングは同社の持分法適用関連会社から外れることになるが、引き続き業務提携契約は維持し、従前通り取引関係を継続していく方針である。
下期も本業は堅調に推移、期初予想通りに着地へ
4. 2025年3月期の業績見通し
同社は2025年3月期の業績見通しについて、売上収益140,000百万円(前期比5.6%増)、営業利益30,000百万円(同8.7%増)、税引前利益48,000百万円(前期は19,404百万円の税引前損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益33,000(前期は27,807百万円の当期損失)と見込んでいる。期初予想のまま、売上収益と営業利益は本業の堅調を受けて増収増益、SIRVA-BGRSの処理と日本ハウズイングの売却の影響で税引前利益以下は大きく黒字転換する見込みとなっている。
2025年3月期のセグメント別業績見通しは、リロケーション事業の売上収益が94,700百万円(前期比2.4%増)、営業利益が17,400百万円(同3.7%増)と見込んでいる。このうち借上社宅管理事業は、借上社宅のアウトソーシングニーズが高く下期も管理収入が増加、売上収益32,000百万円(前期比10.7%増)、営業利益6,800百万円(同12.6%増)の予想となっている。賃貸管理事業は、ストックとなる管理戸数を積み上げ、賃貸仲介を強化することで、売上収益46,700百万円(前期比4.6%減)、営業利益7,600百万円(同8.4%減)を目指している。海外赴任支援事業は、赴任支援世帯数が増加傾向にあることから、売上収益16,000百万円(前期比9.8%増)、営業利益3,000百万円(同23.2%増)を計画している。福利厚生事業は、CRM事業は厳しいが、下期に複数の大口案件やアップセルが見込まれるため、売上収益29,000百万円(前期比16.%増)、営業利益13,300百万円(同15.6%増)を見込んでいる。観光事業は、旅行需要が夏の酷暑で一部秋にシフトしており、足元で稼働率も予約単価も順調で、売上収益15,300百万円(前期比8.7%増)、営業利益3,900百万円(同25.4%増)を予想している。全般的に堅調な推移となっているなか、福利厚生事業のCRM事業がやや弱めの推移だが、CRM事業のキャッチアップに加え、好調な賃貸管理事業の工事収益と観光事業でカバーしていく方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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