同社の強みは、第一に景況に左右されにくい多様なアセット構成である。オフィス、データセンター、ウインズビル、商業・物流といった用途の異なる物件を保有することで稼働率を高水準に保ち、2025年6月末時点の空室率は0.51%と市場平均を大きく下回る。第二に、「財務規律を維持した安定した資金調達力」である。有利子負債のEBITDA倍率を10倍程度に抑えつつ、29年連続でR&I格付「A-」を維持。低金利での長期調達により金利上昇局面でも収益を確保できる体制を築いている。第三に、「少人数での高効率経営」である。従業員数は連結66名ながら、一級建築士や宅地建物取引士など有資格者が多数在籍し、技術スタッフと営業スタッフが連携して開発から運営・修繕まで一貫対応する仕組みを確立している。
2026年3月期第2四半期の連結業績は、売上高10,172百万円(前年同期比4.8%増)、営業利益3,064百万円(同10.9%増)と増収増益を達成した。データセンタービル(OBPビル)での本契約移行による賃料収入の増加、物流施設の新規取得などが寄与した。通期では、売上高20,000百万円(前期比2.1%増)、営業利益5,500百万円(同10.4%増)を計画しており、過去最高益の更新を見込む。
今後の成長見通しとしては、2033年3月期を最終年度とする長期経営計画の下、事業利益140億円、ROE8%以上、ROA5%以上などを目標に掲げている。フェーズI(2024~2028年)では総額770億円の成長投資・新規事業の立ち上げを進め、資産回転型事業・エクイティ投資・海外投資を成長ドライバーに位置づける。既に愛知県小牧市で物流倉庫を取得し、東京都心ビルやヘルスケア施設、学生向け賃貸マンションなどにも出資を開始。さらに米国では集合住宅や物流施設への投資を進め、長期的な海外収益基盤の構築を目指す。
株主還元については、1株当たり利益を重視した累進配当方針を採用し、配当性向を従来の35〜40%から45%程度へ引き上げた。2026年3月期は年間40円(中間20円・期末20円)を予定し、安定配当を維持している。また、自己株式取得など資本効率を意識した還元策も検討しており、成長投資と株主還元の両立を重視する姿勢を示している。
総じて、京阪神ビルディングは関西・首都圏の安定賃貸事業に加え、海外投資や資産回転型事業など新たな収益源の拡大を進める点が評価できる。財務規律を維持しつつ長期的な企業価値向上に注力しており、今後の中長期的な成長動向に注目したい。
<HM>
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