1. 株主還元策
株主還元策は、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を勘案しながら、業績に応じた配当を実施することを基本方針としている。配当の水準としては、配当性向50%以上とし、DOE(株主資本配当率)でも継続的な向上に取り組み、今後も株式上場以来の増配を続けることを目指す。
2024年3月期の1株当たり配当金は前期比1.0円増配の35.0円(配当性向51.0%)を実施し、2025年3月期についても同2.0円増配の37.0円(同51.1%)を実施する予定だ。また中期経営計画の2028年3月期業績目標を達成すれば、配当金の水準は70.0円程度まで増加すると予想される(株式数が変わらない前提)。ROEでは20%以上を目標に掲げており、同水準を達成するために必要であれば自己株式の取得も検討する。
2. SDGsの取り組み
同社は、企業の信用リスクの受託と流動化の事業活動を継続することで、各産業への信用供与と適切な社会資源の配分を実現し、活力ある豊かな社会づくりを目指すことをサステナビリティの基本方針としている。具体的な取り組みとして、環境面では太陽光や風力などの再生可能エネルギーに関わる商取引を保証することにより、環境問題の解決を間接的に推進している。例えば、太陽光パネルの設置工事を行う企業が太陽光パネルをメーカーから購入するときに、メーカーの信用リスクを自社で抱えることができず購入を控えるケースがあるが、その際に同社がメーカーの信用リスクを受託することで、設置工事を行う企業が太陽光パネルを仕入れやすくなり、太陽光発電事業の推進につながっている。
また、社会とのつながりでは、健康と福祉の観点から、病院や社会福祉法人との商取引を保証することにより、介護・高齢者福祉等の社会問題の解決を推進している。社会福祉事業は各地域の中小企業が多く取り組んでいるが、介護ビジネスを担う中小企業は設備投資や人件費等の増加により資金繰りが逼迫している企業も多く、こうした企業の信用リスクを同社が受託することで、資金繰りの支援を間接的に行っている。また、地方創生にも信用リスクを受託することで貢献している。具体的には、ここ数年EC市場の拡大により各地域の企業と都市圏や県外企業との直接取引が増加するなかで、各地域の企業は県外取引先の信用リスクを調べることができず、未回収となった債権を回収するコストも大きくなる。こうした課題を同社が信用リスクを保証という形で受託することで、回収コストを引き下げるとともに、各地域の企業の商取引の選択肢を広げ、地域社会の発展に貢献している。また、ベンチャー企業等の信用リスクを受託することで、ベンチャー企業等の成長をサポートしている。
同社はこうしたサステナビリティに関わる保証債務残高を指標として開示しており、2024年3月末時点で合計3,890億円の保証を実施した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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