(3) 日本金融事業
2023年12月期第1四半期の営業収益は3,053百万円(前年同期比41.5%増)、営業利益は879百万円(同25.7%減)となった。営業収益は、Jトラストグローバル証券やNexus Cardの子会社化に伴い、証券業務やクレジット・信販業務に係る手数料収益が増加したことから増収となった。一方、営業利益は、Jトラストグローバル証券においてTVコマーシャル放映等による広告宣伝費が増加したことや、前年同期にJトラストグローバル証券の取得に伴う負ののれん発生益148百万円を計上したことの反動などから減益となった。
2023年3月末の保証残高合計は2,127億円と、2022年以降は緩やかながら増加傾向に転じている。保証残高の8割を占めるアパートローン保証のうち、2020年11月から開始した中古アパートローンの保証残高は239億円と、前年同期の約3倍に急増し、保証残高全体を押し上げた。同社では、保証残高の大幅な拡大を目指して、様々な取り組みに着手している。アパートローン保証だけでなく、中古アパートローン、不動産担保ローン、クラウドファンディング(融資型/不動産投資型)の保証、不動産買取保証など、保証商品の多角化を推進してきたが、徐々にその成果が現れていると言える。特に、Jグランド(株)(旧 日本ファンディング(株))が注力している富裕層向け投資用高級一棟マンションの販売事業は、保証残高の積み上げにつながると期待される。さらに、Nexus Cardでは男性脱毛業界最大手のメンズクリアをはじめとした提携先を通じた割賦取り扱いが2023年12月期第1四半期には前年同期の11倍となる3,198百万円に急増し、通期では100億円超えを計画している。この割賦売掛金残高の増大も日本保証の保証残高を押し上げる見込みである。
サービサー(債権回収)業務全体の請求債権残高は2022年12月末の9,060億円から2023年3月末には9,131億円に増加し、依然として高水準を維持している。このうち、日本保証がTFK(株)(旧 (株)武富士)より継承した簿外債権(請求可能債権)に大きな動きはないが、パルティール債権回収(株)が取り扱う債権については、回収が好調ななかで買取も順調に進んだ。
(4) 不動産・再生可能エネルギー事業
不動産・再生可能エネルギー事業については、前年度まではその他の事業に区分していたが、金額的重要性が増加したため、当第1四半期から新たなセグメントとして区分している。主にJグランド(株)及び(株)グローベルスが国内で、またProspect Asset Management, Inc.が米国ハワイ州で、それぞれ不動産事業を行っている。再生可能エネルギー事業としては、ミライノベートより太陽光発電事業を引き継ぎ、太陽光発電設備の運営や太陽光発電プロジェクトへの投資を行っている。2023年12月期第1四半期の営業収益は3,424百万円(前期年同期は154百万円)、営業利益は9,270百万円(前年同期は37百万円の損失)となった。営業収益は、グローベルスの連結取込により増収となった。また営業利益は、吸収合併を行ったミライノベートの取得により生じた負ののれん発生益9,328百万円を計上したことにより大幅増益となった。以上の結果、不動産・再生可能エネルギー事業は、同社全体の2023年12月期第1四半期の好決算に大きく貢献した。
(5) 投資事業
投資事業については、主にJTRUST ASIA PTE.LTD.が投資事業及び投資先の経営支援を行っている。 営業収益は92百万円(前年同期比23.0%増)、営業損失は訴訟費用の削減に努めた結果、前年同期の半分以下の204百万円(前年同期は422百万円の損失)となった。
3. 財政状況と経営指標
2023年12月期第1四半期末の資産合計は、前期末比1,945百万円増の1,117,872百万円となった。金融事業の成長と事業ポートフォリオの再構築により資産はさらに積み上がり、2022年12月期第2四半期末以降は1兆円超で推移している。資産の増加は主に、韓国において基準金利の引上げが落ち着きを見せて手元流動性懸念が解消されたことにより現金及び現金同等物が26,051百万円減少した一方、営業債権及びその他の債権が5,180百万円、銀行業における有価証券が8,021百万円増加したことや、ミライノベートの吸収合併により棚卸資産が13,132百万円増加したこと等による。負債合計は、同19,048百万円減の964,530百万円となった。これは主に、社債及び借入金が8,172百万円増加した一方で、銀行業における預金が29,324百万円減少したこと等による。また、資本合計は、同20,993百万円増の153,342百万円となった。これは主に、ミライノベートの吸収合併等により資本剰余金が11,736百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益計上により利益剰余金が7,980百万円、海外子会社等の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が1,215百万円増加したこと等による。
以上の結果、2022年12月期末の親会社所有者帰属持分比率は12.3%(前期末は10.5%)となった。同比率は2017年3月期末の24.2%から低下しているものの、2022年3月期の東証1部銀行業平均の4.49%やその他金融業平均の6.14%を大きく上回る強固な財務基盤を維持している。今後は、利益の積み上げに伴い上昇すると予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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