エフピコ、エコ製品・低発泡容器などの販売が堅調に推移 原材料価格高騰も、価格改定の一部反映により収益改善が進捗
決算概要
池上功氏:エフピコの専務取締役経理財務本部本部長の池上です。本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。2025年3月期上半期の実績についてご説明します。
まずは、スライド右下の青枠部分をご覧ください。第2四半期の当社製造製品売上高は、前年同期比105.1パーセントです。商品売上高はアペックスのM&A効果もあり、117パーセントと順調に推移しています。
また、第2四半期の経常利益は、価格改定効果の一部反映もあり、前年同期比107.1パーセントで増益となりました。製品出荷枚数は、前年同期に対して第1四半期は101.8パーセント、第2四半期は103パーセントと順調に推移しており、下半期においても同様の水準を見込んでいます。
上半期の売上高は、前年同期比105.7パーセントの1,148億9,200万円、10期連続の増収となり、過去最高となりました。営業利益は前年同期比92.7パーセント、計画比101.1パーセントの64億7,200万円です。経常利益は前年同期比90.1パーセント、計画比100.3パーセントの65億2,000万円です。親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比84.7パーセント、計画比99.5パーセントの43億3,700万円となりました。
原材料価格の高騰が続く中、プラスチック使用量を削減した製品の開発を強化し、軽量化に伴う原価低減により、収益の改善を進めています。
経常利益 利益増減実績
上半期経常利益は、期初計画どおり、前年同期に対して7億1,000万円の減益となりました。主な要因です。原料価格の上昇影響がマイナス10億円となりました。販売活動は、販売数量の回復、製品価格改定効果の一部反映によりプラス11億2,000万円です。
物流コストの増加によりマイナス6億円となりました。経費はマイナス8億3,000万円、そのうち「エフピコフェア」の開催時期変更による影響が、マイナス3億1,000万円ありました。
なお、第1四半期の経常利益は、前年同期に対してマイナス10億円です。第2四半期は、製品価格改定の一部反映によりプラス2億8,000万円で増益となりました。
経常利益 利益増減見通し
通期経常利益の見通しです。期初計画の180億円について変更はありません。下半期は、価格改定の反映によりプラス19億3,000万円と増益に転じ、過去最高の業績を見込んでいます。
設備投資・研究開発費
設備投資は、通期150億円の期初計画に変更はありません。
貸借対照表
積極的な投資により、インフラ整備が一巡しています。引き続き、取引先の経営効率改善に向けた、当社インフラの活用を提案していきます。
キャッシュ・フロー
エコ製品や軽量化容器の拡販により、営業キャッシュ・フローは安定して推移しています。また、連結配当性向は40パーセントを目処とし、機動的・柔軟な還元を検討していきます。配当額については、中間は21円50銭、期末は35円50銭、通期では57円を予定しています。
以上で2025年3月期上半期実績及び通期見通しの報告を終わります。ありがとうございました。
製品価格改定
佐藤守正氏:代表取締役会長兼エフピコグループ代表の佐藤です。お忙しい中、お時間を割いていただき、誠にありがとうございます。私から現状についてご説明します。
まずは、製品価格改定についてです。7月1日出荷分から15パーセント以上に価格改定する旨を4月30日に発表しました。実はこの業界では初めて、3年間で3回目の値上げとなります。
価格改定の状況と電力価格の高騰
なぜ3回目の値上げを行わなければならなかったのかについてご説明します。スライド上部には過去2回の製品価格改定を発表したタイミングを記載しており、スライド下部には電力単価の推移をグラフで示しています。
過去2回は粗原料の高騰により値上げを発表したのですが、その2回目の値上げの最中に、電気料金が非常に上がりました。過去10年間の電気料金は、長期にわたって40億円くらいだったのです。それが85億円まで高騰しました。今年もおそらく80億円近辺で終わると思います。
約40億円が約倍になった部分は、前回の値上げには組み込まれていません。これは全産業が同様です。粗原料メーカーから、ナフサ等の価格が上がった以外に、ユーティリティ代も含めて、値上げをお願いされており、3回目の価格改定を決定しました。
おかげさまで、満額とはいかないものの、満足した範囲で値上げができました。第1四半期は10億円の減益ですが、第2四半期単体をみると約3億円の増益に転じています。7月1日出荷分からの値上げですので、満額が反映され始めるのは下半期の10月からとなります。したがって、下半期は過去最高の業績を達成できると思っています。
この3回目の値上げがうまくできた最大の理由は、業界内、あるいはディーラー間で歩調が合ったからです。実はこの業界では、ほとんどが世代交代しています。世代交代したメンバーはおそらく、最低10年は変わらないと思いますので、3回目の値上げの効果を体感できたのは、この業界にとって非常に大きなことだと思います。
原料価格の高騰
一方で、原料価格は少し緩んでいます。国産ナフサも少し下がってきています。石化(石油化学)がどのように動いていくのかはわかりませんが、今の状態が続く限り、原料価格が大きく高騰するとは考えにくいです。
製品販売数量の回復
当社の現状についてです。コロナ禍における特需があり、その後コロナ禍が明けて、スーパーマーケットで生鮮食品の売上が非常に悪くなり、それが惣菜を含めてまた回復してきているという状況です。
人手不足対応① 急加速する自動化・機械化への対応
50店舗以上のスーパーマーケットは、本当に人手不足で、各店のバックヤードで商品を作ることができません。プロセスセンターといわれる工場を作り、そこに集約させることで効率を上げる投資を行っています。
工場では、スライド上部に記載されている容器供給、盛付け、蓋閉め・トップシール、ラベル貼り、コンテナ収納など、それぞれのプロセスの自動化が進んでいます。一気通貫ではなく、それぞれのプロセスで、さまざまなメーカーが自動化の機械を開発している状況です。
そうなると、その機械と当社の容器の相性が問われます。機械メーカーと情報交換を行いながら、「この機械なら、一番相性が良いのはエフピコの容器ですよ」という開発をしています。
人手不足対応② ツマ削減容器
ツマなし容器も完全に定着しました。逆に言うと、お刺身にツマがついていない状況が当たり前になってきています。これも人手不足が最大の原因です。
プラスチック使用量削減① 低発泡化容器
プラスチックの使用量削減については、非常に画期的な低発泡の技術ができました。スライドにはお寿司の桶の写真を記載しています。このような大型容器を従来のHIPSソリッドの容器から低発泡の容器に替えることで、重量は約60パーセント減少し、使用する資源は約4割となります。
プラスチック使用量削減② 低発泡の桶シリーズが伸長
開発した低発泡の桶シリーズは、2023年10月頃に上市しました。2024年のお盆期間を含む出荷実績は非発泡容器と合わせて、前年同期比163.5パーセントとなりました。2023年12月にもピークがありましたが、2024年12月はそれ以上に切り替えが進むと思っています。完全に他社のマーケットを獲得しています。
プラスチック使用量削減③ 惣菜容器を全面刷新
惣菜の汎用容器についてです。透明容器を軽量化するには、薄くするしかありません。薄くして、なおかつ強度を持たせるには、非常に高度な技術が求められます。しかし、当社は約13.1パーセント軽量化できる技術の目処がついたため、惣菜の汎用容器を全部切り替えようと思っています。
プラスチック使用量については、マルチソリッドの容器もあるため、平均すると約10.3パーセントの削減となります。2025年の春までに、220アイテムすべてを切り替える予定です。そのためには、80型もの金型を作り替える必要がありますが、一気に実現できるメーカーはおそらく当社のみだと思います。
これは、量があるからできることです。金型を全部切り替えることで、一番多く使われている透明容器を含めた惣菜の汎用容器を、約10.3パーセント軽量化することが可能となります。いわゆる「金型投資ができる」という部分で、力の差が出てきていると思っています。
プラスチック使用量削減④ 耐寒容器
今後は、冷凍食品がますます広がっていくと予想しています。昨今の人手不足の中、介護食や病院食の容器を今までと同様に回収して洗浄し、毎日届け続けることは難しいと思います。そう考えると、間違いなく冷凍食品の需要が高まるはずです。そこで当社は、冷凍食品に必要となるポリプロピレン素材の耐寒容器から、プラスチック使用量を25パーセント以上削減できる新技術を開発しました。
この技術を使った製品は、おそらく2025年から大手食品メーカーや冷凍食品メーカーで使用され始めます。このような技術の蓄積がこれから効いてくると思います。
エコ製品の販売実績
エコ製品を含めた売上についてです。製品全体のエコ化率が48パーセントとなりました。上半期のみでみると、51パーセントです。
透明なエコAPETの容器は冷やし中華などの冷麺によく使われます。2024年は非常に暑かったこともあり、上半期は需要が増えました。エコ製品は107.8パーセント増えましたが、この大半を占めるのがエコAPETです。これにより、上半期のエコ化率は50パーセントを超えました。下半期は50パーセントを切る可能性もありますが、そこまで伸びています。
お店を発着点とした「ストアtoストア」
現在、スーパーマーケットに対して「エコ製品を積極的に売りませんか? 扱いませんか?」と提案しています。お店で使用、あるいは販売した食品トレーやペットボトルは、そのお店で回収し、当社に引き渡していただくことで、食品トレーや透明容器へと再生し、お店がその再生品を積極的に使います。これが、お店を発着点とした水平リサイクル「ストアtoストア」です。
「ストアtoストア」協働宣言の広がり
「ストアtoストア」を呼びかけたところ、多くのスーパーマーケットにご賛同いただきました。現在は80社、2,300店舗弱のお店を有するグループやチェーンに「一緒にエコを進めよう」と協働宣言していただきました。
ユーザーとの協働によるエコ製品の拡大
エコ製品を使うことでCO2削減に貢献したことを示すため、CO2削減量の目標をトン数で設定しています。例えば中国シジシーさまは、2021年のCO2削減量が902トンだったところを、2023年には1,000トンを目標に掲げていただきました。結果、2023年のCO2削減量は1,157トンと、2021年度比で128パーセント増えました。
これは、当社のエコ製品に128パーセント替えていただいたということです。当社製品を使わざるを得ない協働宣言など、一昔前には考えられませんでしたが、このような宣言を通して「環境を意識した製品を使っている」とアナウンスしないと、消費者に賛同を得られないということです。
エコ製品によるCO2排出量の削減
エコ製品におけるCO2排出量削減については、2024年3月14日から関東、福山、中部にあるリサイクル工場がすべて太陽光の電力で稼働するようになりました。結果的に、製品がすべて入れ替わった7月1日以降に出荷したエコPSPのCO2排出量は、30パーセントから37パーセントまで拡大しました。
エコ製品によるCO2削減への貢献
昨期、厳密に計算したところ、当社がエコ製品を製造販売することによって、バージン原料を使うよりも、CO2排出量を20万2,000トン削減できたことがわかりました。
スコープ1、スコープ2において、当社の事業活動により年間18万7,000トンのCO2が排出されます。しかし、エコ製品の製造販売を行うことで、排出量を上回るCO2削減を実現したため、発表しました。こちらは約1年前倒しで達成しました。
エコトレーの販売拡大に向けて
DICさまとの溶解分離リサイクル設備の竣工式についてリリースを行いました。当社が回収したトレーのうち約半分が色柄付きトレー、残りの半分が白いトレーとなっています。白いトレーは当社がマテリアルリサイクルを行い、エコトレーとして再生し、販売しています。
色柄付きトレーについては、従来家電の筐体などに再利用されていました。しかし、DICさまが、色柄付きトレーを溶かし、その中からインキ成分だけを除去する溶解分離技術を開発されました。
そのプラントの火入れ式を行いました。これから運転が始まり、2025年4月からは当社が回収した色柄付きトレー約4,000トンの中から1,200トンほどをDICさまに渡し、インキ成分を除去していただきます。その原料を含む、約1万トンの再生原料を供給していただくことになります。
エコ化率伸長に向けて
溶解分離リサイクル技術により、PSPのエコトレー販売ケース数が約30パーセント増加することとなり、当社のエコ化率が上がります。
「ストアtoストア」協働宣言を行ったスーパーマーケットには、使用できるエコ製品の選択肢がさらに増えるため、非常に大きなことだと思っています。PETについても関東のリサイクル工場の能力を増強しようと考えています。上半期のエコ化率は51パーセントまで伸長しましたが、今後は55パーセントから56パーセントまで広がると見込んでいます。
全国をカバーする物流ネットワーク
当社インフラの優位性についてです。関西ハブセンターができたことによって、全国の拠点配送センターから、半径100キロメートルの円を描くと全人口の85パーセントをカバーするネットワークが完成しました。
物流の2024年問題
2024年問題で一番注意しなければならないのは、1日の配送時間を13時間以下にするというもので、配送距離が大きく影響します。
2024年問題への対応
関西ハブセンターができる前までは、福山ハブセンターから和歌山・三重・大阪エリアまで配送しており、13時間以上となるコースが34コースありました。現在はすべて関西ハブセンターに移りましたので、13時間以上かかるコースは0コースに削減できました。
また、この13時間にも影響する積込みに2時間以上かかる台数が230台ありましたが、いろいろな工夫により、24台まで減らすことができています。
物流コストの増加
さらに、現在長距離のトラックの価格高騰や確保が難しいという問題が生じています。年末などに緊急で車両を手配するとオーバーコストが必要となります。2024年のお盆は、2023年と比べると、そのコストが6倍になりました。緊急で車両を手配しようとすると、そのくらい高い金額を出さないと手配できないということです。
関東・福山間の製品移動の最少化
現在は、中部を重ねた上でモデルを東西に分割し、関東・福山間の長距離配送(横持輸送)を減らす取り組みを行っています。結果的に、お盆を含む4月から9月の関東・福山間の配送は約半分に減りました。非常にコストが下がっており、直近では約7割減っています。このように分割できるくらい、全国に均等に生産設備ができているということです。
中長期目標
成長戦略です。2030年3月期までに売上高3,000億円、経常利益300億円、ROE11パーセントへの改善を目指します。株主還元については、配当性向を30パーセントから40パーセントに引き上げました。
成長戦略
どのように目標を達成させるかについてご説明します。現在、当社の製品売上高は1,700億円ありますが、これを2,000億円まで伸ばせると考えています。
オリジナル製品の強化
冷凍食品、あるいは介護食・病院食などのマーケットにも当社製品が広がってきているほか、スーパーマーケットがプロセスセンターといわれる工場を作っています。
工場があると、売れている商品を自社に取り込み始めます。その中にスイーツが入ってきています。スイーツのマーケットはあまり持っていなかったのですが、スーパーマーケットが独自で作るとなると、当社のマーケットに突然入ってくることになります。このような要素を含め、当社のマーケットは広がってきています。それにさまざまな技術を組み合わせ、2,000億円に持っていこうと思っています。
M&A① グループインフラの活用
九州地区において2番手の食品包装資材問屋であるアペックスをM&Aをしました。その結果、現在グループ内にはディーラーが4社存在しています。それを含め、問屋標準基幹システムを開発し、当社と資本関係のないディーラーにも4社入っていただいています。これは当社製品、あるいはエフピコ商事の商品と親和性が非常によく、さらに当社の物流インフラを使えば使うほど、ディーラーの物流負担が減る仕組みです。
グループ企業のエフピコインターパックは、約280億円規模のディーラーです。当社の物流インフラを使ってきわめて効率的な経営を行い、新しいマーケットも獲得したため、経常利益は4億円から、5億円、6億円を飛び越えて7億円まで伸びています。そのくらい効率的な経営ができているということを、いろいろなディーラーにご覧いただいています。
おそらくディーラーの中でもグループ化は進んでいくと思いますが、当社グループに入ったほうが総合的にプラスになるという判断が出てくると思います。
当社の物流インフラを使ったことで、ディーラーがいかに効率的な経営ができるかを、ぜひご覧いただければと思います。エフピコインターパックから、アペックスに社長を派遣しています。エフピコインターパックが大きく変わったことを体験している人間が社長となりましたので、必ず2年、3年のうちにアペックスも変わってくると思います。
そうなると、もしも後継者がいないディーラーがいたら、エフピコのグループに入ったほうが良いという判断も出てくると思います。
M&A②海外LSSPI社
三井物産さまと合弁でLSSPI社を買収して、2年が経ちました。注文していたさまざまな新しい機械が、押出機も含めてようやく入り始めました。来年にはおそらく、3か年計画の「2倍の生産性へ」というステップを達成できる見込みです。
また、「曇らない」「きわめて精巧な成形で蓋がパチンと閉まる」といった当社の要素技術は、海外でも通用するだろうと思っていたのですが、それが確信に変わりつつあります。これが現地の同業他社との差別化になります。
結果として、成形機を入れ替え、より一層精度と生産性が上がり、その分販売を増やせるという好循環が、来年にはできてくるはずです。
押出機も成形機も、発注してから納品に1年強かかりました。新しい機械が導入され始めたことを含め、来年は楽しみな年となります。来年、再来年には、そこを拠点として東南アジアにどのような展開をしていくのかがみえてくると思います。
世界初の新シートを開発①
新OPPの開発についてお話しします。2軸延伸ポリプロピレンシートという新しい技術に目処がつきました。
このシートを積層することで、今までになかったまったく新しい素材ができるため、自動車メーカーを含め、いろいろな話を進めています。「とにかく早く世に出してくれ」という声もあり、茨城県坂東市に工場を作るための設計をしているところです。
おそらく今月中にはその設計をもとに、どのくらいの投資が必要になるのかが出てきて、投資の判断が必要になると考えています。昨今の状況を鑑みると、おそらく関西工場を作った時の約1.5倍はコストがかかると思っています。
世界初の新シートを開発②
スライドには透明容器の素材を比較した表を記載しています。容器業界において、今まですべての項目に丸がついた素材はありません。2軸延伸ポリプロピレンシートは、本当にすばらしい開発ができたと思っています。
世界初の新シートを開発③
さらに、賦形性、透明性、加飾性、高剛性、高靭性、耐寒性、耐薬品性、リサイクル性など、今までの産業用途にはないシートになっています。このプロジェクトでは、チームに入ったメンバーが「これはおもしろい」と取り組んでくださっています。
これが次の柱になると思いますが、エフピコ1社でできるとは限りません。工場を作ってから世に出すまで3年近くかかりますので、その間にどのようなパートナーと何をするかを詰めていきます。
企業価値拡大に向けて
それを踏まえ、「もっとも高品質で環境に配慮した製品を」「どこよりも競争力のある価格で」「必要なときに確実にお届けする」ことで、成長していきたいと思っています。ご清聴ありがとうございました。
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