1. 2018年6月期決算の概要
プラッツ<7813>の2018年6月期決算は、売上高5,559百万円(前期比9.6%増)、営業利益132百万円(同35.1%減)、経常利益325百万円(同24.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益241百万円(同31.0%減)と増収ながら減益での着地となった。
期初予想との比較では、営業利益は計画を40%以上下回ったが、海外の持分法適用関連会社の投資利益と為替ヘッジに伴う為替差益を反映している経常利益はほぼ計画線での着地となった。
同社の業績は2016年6月期に一度減速した。背景は2018年の介護保険の制度改正で軽度の介護認定者に対する介護ベッドを含む福祉用具のレンタルについて全額自己負担になるという観測が流れ、買い控えが起きたためだ。その後全額自己負担は見送られることが決定され、2017年6月期の業績は急回復を示した。
その流れを受けて、2018年6月期はメイン市場の福祉用具流通市場向けをはじめ、国内外の各市場とも2ケタの増収を目指して臨んだ。結果的には医療高齢者施設市場と海外市場が健闘した一方で、福祉用具流通市場の販売が計画を下回った。その結果、全社ベースの売上高は前期比では10%近い増収を確保したものの、予想に対しては未達となった。
利益面では、営業利益が前期比及び計画比ともに大幅減益となった。鉄鋼やプラスチックなどの資材価格の上昇や棚卸資産評価損の計上により利益が大きく圧迫された。また、為替が円安進行(2017年6月期の期中平均:109.01円/米ドル⇒2018年6月期の期中平均:110.35円/米ドル)したことも利益面にはマイナス影響をもたらした。
営業外収支において、持分法による投資利益と為替差益が当初計画よりも膨らんだことから、経常利益は前期比24.1%減と減益とはなったが、計画対比では2.8%減とほぼ予想どおりの着地となった。
注力市場はいずれも順調に前期比増収を達成。最大市場の福祉用具流通市場が前期の急回復の反動減で想定を下回る
2. 販売市場別動向
福祉用具流通市場向けの売上高は4,281百万円(前期比7.5%増)となった。高齢化社会の進行に伴い要介護認定者数は増加を続けており、介護ベッドレンタルの市場は着実に拡大している。そうした流れのなか、前期比では増収を確保した。一方計画に対して未達となった要因は必ずしも明確ではないが、前期に20%近く伸びたことの反動を読み誤った(すなわち計画が強すぎた)ことや、2年に1回の新機種投入の谷間だったことが影響している可能性があると弊社では推測している。市場環境や他社との競合環境は大きな変化はなかったとみている。
医療・高齢者施設市場向けの売上高は930百万円(前期比21.1%増)となり、計画対比でも上回った。特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの事業所数も増加が続いているなか、同社は新規開拓を進め、前期比増収を確保した。病院等の医療機関を対象とする医療用ベッドについては、2017年9月から関西に専任営業を配置して営業体制を強化して臨んだ。販売台数は着実に増加しているものの、その規模はまだ数百台程度と弊社では推測している。
家具流通市場向け売上高は166百万円(前期比6.6%減)となり、計画に対しても未達となった。大手ホームセンターなどを主な販路としているが、消費者の間に介護保険の利用によって介護ベッドを利用しようという意識が広まったことが減収につながったもようだ。
海外市場の売上高は180百万円(前期比28.2%増)で着地した。前期比40%超の増収を目指した期初計画には届かなかったものの、健闘したと言えるだろう。中国を中心にベトナム、韓国で着実に売上を伸ばした。
2018年6月期の医療介護用電動ベッドの総販売台数は4.5万台(前期比2.0%増)となった。売上高の増収率が販売台数の伸び率を上回ったことは、平均販売価格が上昇したことを意味している。同社は他社と比べて同程度の機能でありながら低価格を実現している点に強みがあり、平均販売価格の上昇は同社が意図したことではなく、自然体で臨んだ結果に過ぎないとみられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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