交換できるくん、売上高・営業利益ともに過去最高を達成 チェンジ領域を開拓しマーケットリーダーを目指す
2021年3月期決算説明会
栗原将氏(以下、栗原):交換できるくん社長の栗原と申します。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。決算説明会を行わせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
では、資料に基づいてご説明します。2021年3月期の業績、計画、また、初めてご覧いただく方も多いかと思いますので、事業内容のご紹介、市場の動向、成長イメージの順番でお話しします。
通期業績ハイライト
まず、前期の業績からご説明します。業績としては、売上高、営業利益ともに過去最高を達成しました。コロナ禍においても引き続き成長することができています。第4四半期の1月に入って緊急事態宣言が出まして、「2月くらいに緊急事態宣言から明けるだろう」ということで、1月は少しお待ちになっている方が多かったかと思います。当初の想定ではあったものの、緊急事態宣言がそのまま伸びてしまい、第4四半期は若干伸び悩んだのですが、それでも計画は達成して終わることができました。
営業利益は2億5,700万円、前年同期比プラス60.6パーセントとなりました。また、営業利益率を上げていくことを課題としていますが、前期は5.5パーセントということで、前々年から比較して1.5ポイント向上となりました。
業績予想の達成
業績予想に対しての達成についてです。第4四半期については、第3四半期が終わった時点で足元の状況を見ながら、知名度向上など、ある程度広告宣伝費用を入れていきますとリリースしました。そのようなことも行いながら、営業利益は当初想定よりも117.1パーセントと伸ばすことができました。
売上高については、緊急事態宣言が伸びた経緯もあり、ここはあまり無理せずに着実に計画どおり進捗し、営業利益もしっかりと出せました。
業績の概要
事業の業績の概要です。当期純利益については、前期と前々期に繰越欠損金を使用しており、通常よりも若干多く計上されていますので、前期の当期純利益は2億500万円となっています。
売上高と売上総利益率の推移
売上高と売上総利益率の推移です。第4四半期の売上高は12億3,200万円、売上総利益率は25.1パーセントで着地しています。
この25.1パーセントについてご説明します。私どもは各地域に拠点があり、そこで現場のスタッフを抱えていますので、不動産賃料などを原価計上しています。大阪の商品センターを拡張移転しましたが、そのような費用を含めた上で25.1パーセントをキープできていますので、第2四半期以降は比較的、売上総利益率を順調に伸ばしてこれたと考えています。
工事件数の推移
工事件数です。私どもが開示しているKPIになります。第4四半期は9,077件、前年同期比138パーセントということで、少し急に上がっているのですが、その前年に新型コロナウイルス感染症の拡大が始まっています。
新型コロナウイルスは中国で発生しましたので、その関係で各住宅設備機器のメーカーの生産がストップし、前々期の第4四半期は数字が伸び悩んだという事実があります。前期はそのようなことはなく推移しましたので伸びているという結果になっています。
トータルしますと前期比で115パーセントということで、工事件数も順調に伸ばしています。
営業利益の増減分析
私どもは生産性を上げていくことをお伝えしてきたのですが、そこを一番占める人件費については、どんどん生産性の向上が進んでいます。売上が上がれば上がるほど利益が出しやすくなる体制に向けて、いろいろなことの効率化を図ってきた結果、昨年度は件数が115パーセントで売上高が伸びましたが、人件費自体は伸び率を下回っているということになります。
一方、広告宣伝費についてですが、「交換できるくん」はまだまだ一般の消費者の方々に知られていないという事実がありますので、ここに関しては先行投資の意味を含めて積極的に展開してきました。その結果、9,000万円増額となり、結果として2億5,700万円で着地しています。
販管費の推移
こちらは今お伝えした部分のご説明です。人件費は前期比9.1パーセントの増加となります。
バランスシート
バランスシートです。キャッシュポジションは大幅に上昇しています。商品の在庫については、私どもはなるべく在庫を増やしたくないと考えています。タイミングやメーカーの生産状況により増減があるのですが、大きな枠組みの中では売上高の拡張の中に収めていきたいという思いがあり、在庫の圧縮も比較的うまくいったかたちです。自己資本比率も50パーセントを超え、上昇しています。
キャッシュフロー
キャッシュフローです。こちらについても前期から伸びており、営業キャッシュフローは1億2,300万円から3億1,500万円へと伸び、256パーセント向上しています。IPOで調達した資金もありますので、手元資金は前期末から6億円増え、現在9億円となっています。
業績予想
続いて、今期の計画についてのご説明へ移ります。今期の業績予想ですが、売上高は56億円、前年同期比18.6パーセントを見込んでいます。営業利益は3億2,000万円、24.3パーセントの成長を見込んでいます。
当期純利益については冒頭にお伝えしましたが、これまで繰越欠損金があり、純利益が少し押し上げられていた部分があります。それが前期で一旦解消されたことにより、今期からは通常の状態の利益となり、2億円となっています。
工事件数は4万1,000件、前年同期比プラス18.4パーセントを見込んでいます。工事件数と売上高の比率が若干異なる部分については、件数を増やすことと同時に平均単価も上がっていけるようにいろいろな施策をしていこうと考えていますので、そのようなことを見込んでの差異となっています。
営業利益については、ここ3年から4年の間、中期的には10パーセントを目指しますとお伝えしてきており、今回もこの比率程度で計画しています。ここから先にさらに上振れた場合についても考えていますが、そのような場合は、成長に向けた知名度向上のための宣伝など、営業利益として計上する部分とバランスを見ながら舵を切っていきたいと考えています。
子会社の設立
こちらも同時にリリースしましたが、子会社を設立します。もともとBtoCのビジネス一本で取り組んできたのですが、私どもが持っているITや施工、あるいはインターネットで見積りを行う部分のノウハウなどについては、いろいろな企業さまからご興味をいただいており、上場前から「一緒に取り組んでいかないか」という声が非常に多くありました。
上場の目的はいくつかあるのですが、その1つとして、このようなかたちで信用力を上げ、より優良な顧客をたくさん抱えている大手企業や優良企業との提携も加速していきたいということがあります。ようやく上場も終わり、これからスタートします。まだ具体的なものが決まっているわけではないのですが、各方面からお話があったりしますので、今期はそのようなことにしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
このあたりに関しては、例えば、単純に工事だけを受けたりサイトの構築だけ行ったりなどではなく、せっかくですので、今までになかったような新しいことにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。現時点では、実際にこの商いが発生するまでの期間はまだなんともお伝えしにくいため、予算については今期には取り入れておりません。
ただ、早々にと売上が上がっていったり、事業が短期間で成長した場合には、また適時開示したいと考えています。
新たな経営体制
経営体制についてはほぼ昨年度どおりですが、新しく佐藤さんにも加わっていただきました。私どもはシステム開発にかなり重きを置いていますので、テクノロジーの領域やM&A領域などのいろいろな部分で私どもの力になってくれると思っています。現状、私どもは積極的にM&Aを行っていくわけではないのですが、いろいろと組織を動かしていっていただきたいと考えています。
以上、結果と計画についてご説明しました。
住宅設備機器の交換をネットで注文!
ここからは、少しお時間をいただき、弊社の事業内容をご紹介します。当社はスライドにあるような住宅設備機器の交換工事をネット通販ですべて込みで販売するという事業を行っています。例えば、ビルトイン食洗機やビルトインガスコンロなどのシステムキッチンに組み込まれている住宅設備機器、あるいはトイレ、小さいものでは蛇口も取り扱っています。
この商材自体はみなさま日々使われていますが、それに組み込まれているシステムキッチンのイメージがあると思います。私どもはそのようなシステムキッチン丸ごとの工事はあえて行わないという作戦をとっていますので、そのような部分についてもご説明します。
市場規模
ガスコンロやトイレなどの取り扱っている商材は、システムキッチンと比較すると少し地味に映るものだと思っていますが、リフォーム市場が6.5兆円と言われている中で、住宅設備機器は2.8兆円を占めており、最大の市場となっています。私どもの商材は地味ですが、大きな市場を取りにいくことに特化して取り組んでいます。
従来では、トイレや蛇口、洗面台のような水回り商品は水道の修理屋さんや地域のよくあるリフォーム屋さんが担っていました。スライド右側中央のガス系では、都市ガス系の会社であったり、プロパンガスや地元の業者であったりします。電気領域では、電気工事店や量販店などがこの商材を扱っています。
事業ドメイン
事業ドメインです。私どもはリフォーム市場におり、約6.5兆円の市場があるとお伝えしました。しかし、我々業者側も、また一般の消費者の方々も「リフォーム市場6.5兆円とはどのような業者なの?」とイメージした時、必ずスライド左の2つが思い浮かぶのです。
例えば「大規模リフォーム」と言うと、リノベーションや、スケルトンというマンションを丸ごと1回壊してもう1回作り直す工事など、だいたいの方がこのような大がかりな工事をリフォームとしてイメージされると思います。
これは、安いほうで300万円から500万円、1,000万円と非常に高単価なものまであります。このようなものはハウスメーカー、あるいは最近ではリノベーションの専門会社などが役割を担っています。また、建築家の方に頼むこともあるかもしれませんが、これも消費者の方々が「さあ、どこに頼もうか」と思った時に比較的イメージできる部分ではないかと思います。
また、「一般リフォーム」は従来からある町のリフォーム屋さんを含めた、いわゆるザ・リフォームのイメージですが、「本当になんでもやります」というよくあるスタイルかと思います。例えば、外壁や屋根の塗り替え、サイディングから始まり、フローリングを張り替えたりします。先ほどお伝えしたようなシステムキッチン単体ではなく、「丸ごと水回りを変えましょう」といったことを行っている企業群です。
販売している価格のレンジは50万円から300万円くらいであり、高くても500万円くらいがメインとなってきますが、これは一番ニーズがあるところです。
みなさまが「どこに頼もうか」と思われたとき、リフォーム屋さんは新聞の折り込みチラシによく入ってくると思います。最近では、ホームページもいろいろと充実していますし、比較サイトもありますので、そのようなところでお選びになるわけです。あるいは、家電量販店も非常に力を入れている領域かと思いますので、店舗の一画で展示して商いをしています。この2つがリフォーム業界のリフォームになります。
一方、スライドの一番右に「リペア領域」があります。「補修・小工事」と記載していますが、一番イメージしやすいのがトイレの修理です。例えば、夜に水が止まらなくなってしまったり、トイレが詰まってしまったり、あるいはふすまを張り替えるなどの「補修・小工事」の類いです。
このようなことが起きて「どこに頼むか」と思った時、水道であれば水道の修理屋さんを探して頼んだり、あるいは便利屋さんを検索して頼んだりなど、ある程度イメージが付いていると思います。
今までの認識では、これでリフォームのマーケットは終わりだったのです。おそらく業者の方もほとんどがそう思っていますし、当然お客さまたちもそう思っています。
一方、私どもは「一般リフォーム」と「補修・小工事」の間に「住宅設備機器の交換」という単体のマーケットがあるのではないかということで、ここの開拓を行ってきました。
こちらは私どもの単価でいうと、5万円から高くても50万円程度のものが多いです。商材はビルトイン食洗機単体やビルトインコンロ単体という住宅設備単体になるのですが、平均単価にすると13万円くらいになります。13万円のものは、従来の常識でリフォームと言うかというと「ちょっとそこまででもない」というところだと思います。
一方、これが水道修理屋さんに頼む領域かというとそうでもありません。壊れて緊急で直すというニーズならともかく、機器自体が非常に進化しており、生活を豊かにするような機能がたくさん付いているものを買いたいというニーズの受け皿としたとき、修理屋さんで緊急で直してもらうのは意図が違うということです。
そうなったとき、「どこに頼んだらよいか分からない」というのが一番よく言われる領域でした。これは今も昔もお客さまから必ず言われます。また、「過去にどこかに頼んだことがあるが嫌な思いをした」「見積りがきて、よく分からない項目をいろいろ取られていった」「終わってからいろいろな追加の請求をされて後味が悪かった」といったこともあります。
ギャップが存在し、マーケットが未確立
私どもは、非常に業界不振、業界不満が蓄積されているようなマーケットだと認識していますが、実はこれには理由があります。お客さまからすると「ものを頼もうと思っているのに、なぜこの業界はこんなに使い勝手が悪いのか」と思う方が大半だと思われますし、私もそのように思うだろうと思います。
お客さまとしては、大がかりな工事はせずに住宅設備機器の単品だけ手軽に交換したいのです。昔はブロックキッチン、いわゆる流し台といい、天板が1枚ではなくて別個に置いていくようなかたちになっていました。そこでシステムキッチンに取り替えるという醍醐味があったのですが、システムキッチンになってかれこれ20年以上経ちます。そこで、きれいなシステムキッチンをわざわざ取り替えずに、劣化した機器あるいは故障した機器、使い勝手をよくするための機器だけを交換したいというニーズが確実に増えてきているのです。
また、業者に頼むと価格が分かりにくいということがあります。例えば、量販店で家電製品を頼むときのように価格が出ていれば済むというものではなく、お客さまのお宅によって工事費が変わってきます。業者によっても全然変わってきます。このようなことから、見積りを取らないと分からないのです。
さらに、どのような職人さんが来るか分からないところも不安です。そして結果的に「どこに頼んだらよいか分からない」となるのです。
例えば13万円は一般的には決して低くないのですが、業者側としてはリフォームという商習慣で回そうと思うと少し小さい工事になります。従来の慣習で、例えば「ガスコンロの交換を考えている」というお問い合わせが13万円で入ったときに、「お見積りします」と言って営業マンが飛んでいき、「今度見積りを持ってきます」と言って帰ってきて、見積りを作ってまた飛んでいきます。そして、受注した後は、今度は工事に立ち会います。このようなプロセスですと、とてもではないですが13万円では利益が出ません。
現地訪問して戻ってくるだけで、企業としては1万円に近いコストがかかります。これを従来の商習慣で行えば行うほど赤字になってしまいます。やはり行いたいのは、お風呂まるごとの工事やシステムキッチンまるごとの工事といった大きな工事です。
私どもはそうではないのですが、一般的には職人さん不足と言われている中で、そのような単品の工事だけを頼まれたところに優秀な職人さんを手配することはなかなかできません。まるごとの工事で手一杯であり、そこすらも人員には余裕がない状態で回っており、まったく余裕がないという企業も非常に多いと思います。
また、お客さまは当然見積りが無料だと思っています。私を含めて、人が来ることに対してお金を払うという観点を持っている方はほとんどいないと思います。当然、実際は無料では動けていませんが、見積り費用をいただくことはなかなかできません。
ではどうするのかというと、今は商品代金がインターネットで出ていますので、お客さまによって異なる工事費の細かい科目の中に少しずつ乗せていくかたちでなんとか採算を合わせようとしています。その意図はお客さまには分かりませんので、より不明瞭になってくるということが起きているのです。
また、住宅設備機器は非常に専門性があります。毎年毎年いろいろなメーカーが新しいものを出し、非常に高機能化しています。専業で取り組んでいても、ついていくのに必死なくらい、移り変わりが激しいです。
このようなものを、例えば、水道領域の方々、あるいは普段「フローリングの張り替えをしましょう」と言っているリフォームの方々が充実した知識を持って対応できるかと言うと、なかなかそこまで手が回りません。場合によっては、お客さまのほうが詳しいということが発生してしまいます。
交換できるくんのサービス
非常にニーズがあるにもかかわらず、このようになっているということがあり、私どもが業者として積極的になるためにはどうしたらよいかを考えた結果、ネットというかたちになりました。
私どもは、住宅設備機器の交換以外のことは行っていません。ですので、それだけに特化したサービス体制を作っています。
見積りから施工までを一気通貫で提供
スライドの上側をご覧ください。従来の商習慣としては、例えば、この業界は集客するのに非常にコストがかかります。チラシをまいたり、マッチングサイトにお金を払ったり、店舗や設備を用意したりなど、非常にお金をかけて集客しなければいけません。そこから、入った見積りに対して営業マンが飛んでいくコストも発生します。
受注したら、職人さんの空いている日程を電話で確認し、「いつ空いていますか?」「いついつですよ」と段取りを決めます。そして、工事日に立ち会って集金します。また、アフターサービスが入るたびに業者を探したりなどが起きています。
私どもはそのあたりの、住宅設備機器を扱うのには不要な領域をすべて取り、シンプルで一気通貫のモデルとしています。集客はサイト集客1本です。そこから発生したお見積りの依頼の引合いもネット上ですべて完結しています。
このようなかたちで、お客さまのお宅に合った工事を選定でき、決済も当然ネットで行います。今は「Amazon Pay」「楽天ペイ」「PayPay」などのいろいろな決済方法がありますが、すべて対応しており、24時間決済ができます。見積りの結果を見て工事しないのももちろん自由ですし、無料ですので、お客さまとしては気軽にいつでも24時間見積りを依頼できます。営業マンに申し訳ないので、断りにくいということもなく、手軽に使っていただけます。
私どもは社内で職人さんのスケジュールをすべて管理していますので、受注が入りましたら、 いつどこに行けるかを的確に瞬時に判断し、お客さまに提示できます。それが決まれば、自社で、社員あるいは私どもに属しているパートナーの方々の工事日程の段取りまでをすべて決めますので、すぐに彼らが訪問します。もし何かあれば、アフターサービスについても私どもがすべて責任を取ります。
この業界では、販売した会社と施工した会社が別々になると、問題が起きた時にたらい回しになりやすいです。業者さんに言うと「この販売店に言ってくれ」、販売店に言うと「この業者に言ってくれ」ということが起き得るわけです。しかし、私どもはすべてにおいて責任を持ち、すべての窓口を行っています。
したがって、最初の入り口は少し敷居が高いのですが、1回使っていただくと必ず気に入っていただいてリピーターになっていただけるというサービスになっています。
注文が入ったものを数年前まで遡ると、25パーセント以上は過去に違う部位の工事を行わせていただいていますし、もっと前に遡ると同じ部位の工事を行わせていただいていることもあります。
ユニークなポジションを確立
私どもは早く、安く、住宅設備機器だけを愚直に取り扱っていますので、品質に関しても絶対な自信があります。したがって、よく比較される量販店や緊急駆けつけ、マッチングサイトとは違う領域で戦っています。
媒体の強み
私どもの強みは、まず最初にこの「交換できるくん」という媒体があることです。こちらのページ数は6万ページを超えており、各メーカーの商品をいろいろ掲載しているのは当たり前ですが、売れ筋のランキングや施工事例もリアルなものがあります。また、お客さまのレビューも日々アップロードしており、どんどん媒体を大きくしています。
これにより、「Google」などの検索エンジンから流入が増えます。それを見てきた方々に対して、なるべく見積りまで気軽に出していただけるようなサイト構成になっており、だいたい100ユニークユーザーに対して1件のお見積りの依頼をご送信いただけるような比率になっています。
そして、そのいただいた見積りのご依頼に対し、ネットでスピーディーに返答するのですが、成約は50パーセント以上になります。成約しますと、今度は私どもが自社で責任を持って施工まで行いますので、そこで発生した新しいデータをすぐに吸収し、媒体に回していったり、ノウハウに吸収していったりしてグルグル回します。
媒体自体も動かせば動かすほど大きくなってくるということで、そもそも住宅設備費用だけをこれだけ掲載しているサイトはまずないのですが、このような仕組みで非常にユニークな媒体となっています。
Web完結型の見積りで交換工事のDX
これが最もユニークかと思うのですが、私どもは見積りを現地出張せずに行います。そして、お客さまから見積りを依頼していただきます。サイトから好きな商品を選べるようになっています。
私どもは「リフォーム屋さんではなくECです」というスタンスなのですが、お客さまがサイトから商品を選んでいただけるようになっており、気に入った商品があったらとりあえず見積りを送り、その商品がお客さまのお宅に合うかどうかは我々がすべて判断します。ただ、商品はお客さまに決めていただくというスタイルです。
それをどうやって行っているかというと、気に入った商品があれば専用のWebページでご送信いただくことで自動的に反映されます。そこにお客さまがお使いの、トイレならトイレ、ガスコンロならガスコンロの情報をいただきます。写真を撮っていただいたり、型番を見ていただいたりなどのお手間はいただくのですが、それをいただいた上で、社内にいるセールス担当が適合判断してお見積りを行います。
したがって、「お見積りをしている」というよりは「適合を確認している」と言ったほうが正確なのですが、それをご提示して問題なければそのままWebでご注文いただけます。
このような仕組みをもう20年近く毎日行ってきていますので、「これで見積りができるの?」という声はよく聞くのですが、これで見積りして実際に工事ができないとなると、もちろんお客さまは納得できませんし、すぐにクレームになります。そのようなことが起きないように、いろいろなノウハウを蓄積しています。また、万が一のことが起きた場合にも即座に対応して直していきます。このようなことを続けてきて今の品質を担保しています。
途中でいくつかの壁もあったのですが、昨日今日始めたビジネスではないので、そのようなことも長い年月の中でノウハウとして蓄積しています。
施工のスケジュール管理で生産性向上
現場についてもいろいろな強みがありますので、いくつか紹介します。一般的には、リフォーム屋さんの職人さんというと、スライドの左のようなイメージです。例えば、月曜日はトイレと洗面台を交換し、火曜日から木曜日はお風呂の工事に入ります。そして金曜日に1件だけトイレが残ってしまったのでトイレを工事します。
もちろんこれはこれでよいのですが、どうしてもこの金曜日の工事のようなことがあると、職人さんが1日2万5,000円ぐらい貰っている場合、「1日2万5,000円を貰わないとご飯が食べられない」となります。そして「トイレ交換の半日工事でも2万5,000円欲しい」となるわけです。
ただ、リフォーム業者さんから言わせると「半日の工事で2万5,000円も払ったら赤字になってしまうので、半分で工事してください」となります。そうすると、職人さんとしても「そのような工事はしたくない」となりますし、業者側も「そんなこと言って職人さんにブーブー言われるなら受けたくない」となり、我々が扱っている住宅設備がどんどん邪険に扱われることになります。
スライドの右にあるように、私どもは住宅設備だけを取り扱っており、スケジュール組みも毎回職人さんに確認して「いつ空いていますか?」ということは行わず、注文が入った瞬間に、在庫状況や注文のエリア、あるいは空いている職人さんやスキルなどを考慮し、キレイに埋めていきます。
そうすると、「1日いくら」という単価ではないのですが、例えばトイレの交換1件につき1万5,000円を職人さんにお支払いするとしても、私どもの会社は3件入るのです。3件工事すると4万5,000円になるため、2万5,000円で1日入るよりも割がよいです。したがって、やる気があって優秀な人たちは「ここでやりたい」と、私どものところに入ってきます。
私どもはもともと現場から来ていますので、値段交渉などのややこしいことはしなくてよく、商品もすべて用意し、彼らが一番仕事がしやすいかたちを作っています。
また、トイレ系であればトイレを中心にし、材料もトイレの工具にすると、ほかの雑器具の工具は降ろせますので、車両にトイレ3台分が積めるなど、そのような細かいことを日々積み重ねながら工事を運営しています。
このようなことから、最終的には1件あたりの職人さんの原価を抑え、お客さまに安く提供できます。さらに同じことを行っていますので、品質もどんどん上がっていきます。どんなに優秀な人でも普段慣れていないことをすると、時間がかかったり、説明書を見ながらだったり、間違えてしまったりするのですが、私どもは同じことを行っていますので、品質よく仕上げることができる仕組みとなっています。
多能工化による生産性向上
もう1つご紹介します。例えば、50万円くらいの、私どもの中では大きいと言われているようなシステムトイレとトイレの内装といった工事は、通常リフォーム屋さんが行おうと思うと、まず設備屋さんがトイレを外し、電気屋さんが配線して、大工さんが下地をつくり、内装屋さんが壁紙を張り、最後にもう1回設備屋さんが取り付ける流れになります。場合によっては、さらにもう一度電気屋さんが作業に来るなど、いろいろ行っているわけです。
大規模工事の中の1つだったらこれでよいです。「水回りを全部工事します」という中の1つだったらよいのです。ただ、トイレ単体だけでこのような複雑な工事を受注すると、それぞれの職人さんへの支払いが2万5,000円なのか1万5,000円なのかというお話になってしまい、非常に段取りに苦労します。
私どもは、これを1人でできる職人さんを多く抱えていますので、1人で1日で仕上げることができます。これは主に大工さんが行っていますが、大工さんはやはり手先が器用ですので、大工さんを中心に設備、電気を覚えてもらい、資格も取ってもらいます。このようなプログラムがあり、そこで育っていってもらっているのです。
すると、先ほどのような1日3件回るわけではなくても、1日1件でも2万5,000円ではなく4万円をお支払いしても十分利益が出ます。お客さまにとっても安くなります。このような「Win-Win」の関係を作っていることにより、優秀な職人さんがやる気をもって定着し、お客さまにとっても品質がよく、工事の時間も短く済むということを実現しています。
見積り比較例①
見積り金額の例です。ビルトイン食洗機と言われるような、キッチンに組み込まれている食洗機を交換しようと思うと、通常、値引き30パーセントで14万2,800円だとすると、そこから撤去費や配管改修、設置工事などいろいろなものが付き、最後に税金も入って22万3,080円と出ます。
これは私どもとしてはかなり安い業者さんではないかという見積りですが、スライドの右側にありますように、私どもは食洗機本体のこの商品であれば50パーセント以上引き、10万9,956円です。工事費は3万8,500円ですべて入っています。出張費や配管などが全部入っており、税金も入っています。それで14万8,456円です。およそ3分の2の価格で工事ができます。逆に「余分な項目がなくて大丈夫なの?」と言われるのですが、私どもは全部入っているため工事が可能です。
見積り比較例②
例えば、食洗機の交換だけではなく、新規に取り付ける場合もあります。この場合、一般的には見積りがさらに複雑になるのですが、私どもは先ほどの見積りに、Webサイトに掲載しているちょっとしたオプションを足していただきます。それも全部見積り段階で「この工事費とこの工事費が別途かかります」とご説明します。
その上で、納得していただいてご注文いただければよいというだけの仕組みであり、これも3分の2程度の7万円から8万円となっています。そのような費用の差が出ており、それでいて速く、品質もよいということです。
コスト優位性
このようなかたちで、私どもはコスト優位性を持っており、非常に価格競争力があります。にもかかわらず、適正な粗利を確保できるということです。
その要因としては、広告コストはネット、営業人件費はネット見積り、施工の人件費は先ほどお伝えした生産性向上、原価は当然交渉していくということを積み重ねていることです。したがって、これは単なる安売りのECではなく、収益の構造を変えているということです。
リフォーム市場の規模拡大
こちらは資料のとおりですが、6.5兆円と言われているリフォーム市場が今後12兆円になります。これは政府の指針ですが、実際はここまで成長していないだろうと思っていますので、あくまで参考です。
ただ、新築着工件数がどうやっても伸びていかないことに関してはもう変わらないと考えています。いずれにしてもこの業界に力を入れていくことにはなりますので、少なくとも減ることはないと捉え、今後市場も発展していくだろうということです。
EC市場の規模拡大
これは言うまでもないお話で恐縮ですが、全産業においてEC化率は当然上がってきています。住宅設備はネットで買うには少し敷居が高いものですが、コロナ禍においてデジタル化でネットを使うことにみなさま慣れてきており、「住宅設備なんてとんでもない」と思っていた人が、今は「住宅設備くらいだったらよいのではないか」と、マインドの変化が来ていると思います。
そのような中で、私どもはこの分野でもう10年、20年と先行しており、ノウハウもためているということで、チャンスが広がっていると考えています。
テクノロジー投資 – AI導入
こちらは何度も出している資料ですので割愛しますが、このようなAIを含めたシステム投資、開発、あるいはCRM、顧客、カスタマーのリレーションを向上させるような仕組み、アプリも含めて順次開発していこうと動いています。
利益・コスト構造の成長イメージ
今回は5.5パーセントの営業利益率ですが、できればこれをできるだけ早い段階で10パーセントを超えたいと考えています。そのためには、より一層生産性を高めたり、トップラインを伸ばしていかなければいけません。ブランド力をまだまだ知られていませんので、上げていかなければいけないのです。
そのようなことと同時に、私どもはまだまだ価格競争力が非常に強く、広告宣伝費も含めてかなり安くしているのですが、それもしっかりと市場価格を見ながらアジャストしていただく余地は十分にあります。下にも上にも広げていくことで利益率を高めていきたいと考えています。
成長イメージの総括
このようなかたちで、市場が拡張基調にある中、生産性を高めていくようなテクノロジー投資、ノウハウをさらに有効に活用していく投資を行っていきながら、ブランド力も向上させていきます。このようなことで、もともとなかったマーケットを開拓し、私どもがそこのリーダーになっていくことを目指しています。
以上となります。どうもありがとうございます。
質疑応答:子会社の設立における業務内容のイメージについて
質問者1:説明資料15ページの子会社の設立に関して「BtoB/BtoBtoC事業」と記載されていますが、この業務内容のイメージをもう少し補足していただけませんでしょうか?
栗原:業務内容のイメージはいくつかありますが、例えばメーカーでは非常に優良な顧客を抱えていたり、あるいはメーカーが直接工事をしたいと考えていたりします。そのまま販売店に紹介しても優良顧客を他社に取られてしまうという状況から、各メーカーはけっこう危機感を感じており、直販したいというニーズ、あるいはどこかとしっかりと提携をして、安定的に受注を担っていきたいというニーズがあります。
私どもの名前で表立って入っていけるパターンもあるかと思うのですが、お伝えしたように、私どもは非常に価格が安く、名前を検索すると私どものサイトに来てしまうということで、企業によってはあくまで自社の直営ブランドとして行いたいといったニーズもあります。
そのようなニーズに対して、「交換できるくん」というブランド名を使わない専門会社を設立して一緒に事業を作っていきたいと考えています。例えば、優良顧客がいれば、そこにマーケティングを行い、あとは私どもが提案から見積り・工事まで行わせていただいて一緒に開拓していくなどといったイメージです。
また、メーカー以外にも各業界でいろいろなニーズがありますので、例えば、不動産会社、量販店など、それぞれの企業あるいは領域により提携のかたちは変わってくると思います。親会社の交換できるくんで賄えるところは賄いますし、そうではなく、子会社ということで違う名前で私どもが黒子に入るほうがよいパターンもあるわけです。それに対して臨機応変に対応できる態勢を作ったかたちです。
質疑応答:新任の取締役の佐藤浩二氏について
質問者1:新しく取締役になられた佐藤さんについてです。テクノロジー領域とM&A領域ということで、先ほどご説明いただいたとおりなのですが、もう少しミッションについてご説明いただいてもよいでしょうか?
栗原:先ほどお伝えしたテクノロジー領域の部分は、専門家として即戦力になっていただければと考えています。また、上場し、経営陣メンバーは本当に手探りのところから取り組んできています。社外には上場企業を運営してきた経験がある方もいますが、社内のリソースとしてはまだまだな部分がありますので、上場企業を含めて長く経営に関わってこられた佐藤さんに入ってもらうことにより、よりいっそう安定度、成長性を高めることができます。
つまり、私がすべて行っていた部分を分担し、私で言えばマーケティングなのですが、お互いの得意領域でそれぞれ事業を伸ばし、強固にしていくということです。
また、少し畑違いに思えるのですが、いろいろなお話をしていくと、これは昔から感じていたのですが、システム領域と住宅設備の交換領域には非常に近しいものがあります。現場の方々を扱い、基本的には細かいものをずっと積み上げてこられました。そのようなマネジメント力にも大いに期待しております。
質疑応答:職人について
質問者2:23ページの従来型のビジネスフローと「交換できるくん」のビジネスフローということで、交換工事についてお伺いします。御社のホームページ上では、従業員94名、契約職人65名、合計で159名の体制となっています。契約職人というのは、自社エンジニアという認識でよろしいでしょうか? また、提携先パートナーはどれくらいいるのか、差し支えなければ数字を教えていただければと思います。
栗原:私どものサイトがわかりにくくて申し訳ありませんが、65名は2020年3月末のパートナー数です。足元ではもっと増えており、80名から90名近くいます。その方々で基本的にはすべて回しています。また、従業員94名の中の15名ほどが社員職人であり、彼らも現場に出ていますので、合わせて100名ほどの施工体制で、今期で言えば4万件近い工事を行っていることになります。
質問者2:今の展開の度合いからいきますと、交換工事される職人の数が追いつくのかという心配があるのですが、そのあたりについて教えてください。
栗原:これもよくご質問いただくことなのですが、私どもは1件あたりの単価が小さく、1日3件、4件回ることができる職人さんも多数います。今期であれば4万1,000件ですが、これはパーヘッドで割ってもさほど大した件数にならず、十分回せる数になっています。
同時に、最近は職人さんの定着率が非常に高くなっています。昔は低い時期もあったのですが、定着率向上のための仕組みをいろいろ作ってきましたので、今は優秀な方々はほとんど定着します。
さらに、しっかりと覚えれば1日工事でも4万円、月収で100万円くらい取れる人もいるのですが、それはよくあるいろいろな会社から仕事を受けてやりくりしていたり、何人も下職を使って100万円となるのとは違い、私どものもとで毎日段取りに則っていただくだけでできます。
このようなことに憧れて、と言ったら言い過ぎかもしれませんが、優秀な職人さんの周りには優秀な職人さんがいますので、リファラルも充実させることで、優秀な方々が随時募集で入ってきています。
現状、私どもがパートナー契約を待ってもらっていたり、お断りしているほうが多いくらいの状況ですので、今くらいの規模感でもまったく問題ないという認識です。
質問者2:今の契約職人の平均年齢について教えてください。教育して、どんどん若くしていかれるというお話でしたが、今はどれくらいの年齢層の方が働いているのですか?
栗原:これも日々変わりますので、正確な数字は記憶していないのですが、少し前は40歳ちょっとくらいの平均値でしたが、今はそこから少し若くなってきています。
質疑応答:現状の職人の人数でこなせる最大の件数について
質問者3:現状の職人の人数でこなせる最大の件数について教えてください。年間4万1,000件ということではありましたが、これが最大なのでしょうか?
栗原:件数という最大値の意味で言いますと、1日回れる人で4件くらいです。エアコンの工事屋さんみたいに5件、6件となると品質が下がってしまいますので、ある程度そこを見た上で3件、人によっては4件くらいで収めています。
また、全員が1日3件、4件回るというものではなく、お伝えしたように、中には「1日1件しっかりと回りたい」という人も増えており、そのような方もミックスされていますが、現状の人数でも今期の目標達成が可能です。
また、私どもは長くやっていますので予実にズレがなく、年次で計画できます。そこに合わせて各エリアで採用も並行してかけていくことになります。
現状の人数でも実際はこの件数であれば回れてしまうのですが、さらに成長していくために必要な人材を積極的に増やしています。
質疑応答:競合との差および価格における競争力について
質問者3:御社の競争力についてです。ご説明いただいた仕組みはなんとなくわかったのですが、「Yahoo!ショッピング」などで見ていると御社と似たような業者がいますので、このような業者との差、御社の強みは何か教えてください。
また、先ほどご説明にあったビルトイン食洗機の例で、御社は5割引だということですが、そもそもなぜ5割引にできるのでしょうか? 価格競争力の源泉なのですが、メーカーから安く仕入れられているのか、御社側でそれだけ引けるのか、このあたりについて今後の競争力が維持できるかどうかという観点でお伺いします。
栗原:ご説明した住宅設備機器は、いろいろな業者がいろいろなところで売っています。例えば、都市ガス屋さんもあればハウスメーカーでも売っているのです。これはものすごく高くなりますので、私どもがお見積りを出すとお客さまはびっくりして「そんなに安くて逆に心配だ」と言われます。
一方、住宅設備機器自体に換金性があります。極端な話、仕入れて商品だけ横流しすれば、自分で商いしている職人さんや小さな工務店さんの一部は、それを買ってしまうのです。したがって、換金性があるものがゆえに、インターネット上にもかなり安く出回ったりします。ものによっては、私どもの仕入れを下回るようなものもあったりするのですが、そのような極端な価格のレンジが市場にあります。
私どもはこの業界においてはある程度長くやっていますが、後発の企業はいろいろ生まれているのだろうと思います。今、私どもがご説明したこの仕組みは、一瞬見た目での同じかたちを作ることはできるのですが、一つひとつの積み重ねです。自社でサイトを作り、そこで広告コストを浮かせ、あるいは自社の仕組みで回すことによって、スピード感や品質を高めた上で、最後に利益を出せるというのがミソだと思っているのです。
換金性がありますので、住宅設備は利益なしで売上だけ上げることは誰でもできるのです。そのような意味では、いろいろな会社が入り、値段が下がるということはあります。その領域においては、私どもは当然最安値ではないです。私どもの価格が下がればそのような方々も下げてきます。
そこについては、ポータルサイトで見て「一番安いところで買ったよ」という方々は、ある意味すごく自信がある方です。とにかく安ければよく、工事の品質は何かあっても自分で交渉もできる方です。
特に現役世代のネットリテラシーが非常に高い方々の中には、そのような方もいらっしゃると思うのです。ただ、私どもが求めているのは、安さだけではなく「安心」も提供したいということです。家に上げて工事を行い、アフターサービスもお願いしたいということをお客さまがイメージした時に、「会社が長く存続し、アフターメンテナンスもきちんとしてくれて、工事もきちんとしてくれることを含めた上で安いものを探したい」という思いに応えることです。
もちろん、そのようなニーズが大半なのですが、このお客さまたちは一度気に入っていただけたら、また私どもに頼んでいただけると思っています。最安値を常に探す方は次も最安値を探しますので、私どもの継続的なリピーターというよりは、また少し違った領域になってくるだろうということです。
したがって、ファストカンパニーのように、安くて品質もよく、そしてシンプルなイメージです。そのようなところでブランド力を上げていき、無印良品やIKEAなどのイメージを我々がブランド力として持っていきたいというのが今後の目標になっています。
質疑応答:粗利益率が上昇した背景について
質問者3:2021年3月期の業績についてです。粗利益率が上昇した背景について、もう少し詳しく教えてください。
栗原:上昇した原因は、まず一番は仕入れの交渉に当然ながら非常に力を入れているためです。一昔前までは、インターネット販売に対してはメーカーに完全にそっぽを向かれていました。しかし「できれば卸したくない」「どこでどう売られるかわからないし、工事もきちんとしないでしょう」「クレームが全部自分たちに返ってくる」ということに対して、「私どもは違うのです」とずっと言ってきた結果、今は多くのメーカーの信頼を得ていると自負しております。
これは業界的には非常に珍しいことであり、我々の施工力を認めていただくようなかたちになっています。そのような中で、もちろん売上が上がれば上がるほど仕入れの交渉力は上がるのですが、それ以上にメーカーは関係性を重視されます。
そのようなことも含めて、「私どもに卸していただければ安全です」「きちんと正規品をお客さまのお宅に設置し、施工に問題が起きても我々が先頭に立って対応します」「メーカーに迷惑は一切かけません」ということを積み重ねていった結果、いろいろな調査をすれば必ず分かるのですが、今はメーカーも「どのみち住宅設備がネットで売れるのはもう仕方ない」「でも、どうせ売るのであれば信用できるところに売ってほしい」という考えに変わってきています。
そのような中、先ほどお話ししたような価格競争もありますので、メーカーといろいろ対応しながら私どもが販売していく上で、「価格は最安値にしないですが、利益は必ずいただく必要があります」という交渉の中でより有利な条件をいただきます。
また、仕入れが安くなったことにプラスアルファで、ご説明した生産性の向上を常に行っています。売上に対する費用など、人数もだんだん必要なくなってきます。また、商品ごとに価格の値動きがありますので、どこに価格を設定すればよいのかという値決めの設計は私自身も関わって細かくチェックしています。
そのようなことを積み重ねていくと利益は上がってくるということです。よって、まだまだその余地があるだろうと考えています。
質疑応答:今期の営業利益率の想定について
質問者4:今期も営業利益率が上がる想定になっていますが、これは先ほどの「粗利率の上昇の余地がまだある」ということを織り込んでいるということでよろしいでしょうか?
栗原:おっしゃるとおりです。事実、上場準備を始めた3年くらい前は20パーセントくらいでした。「これを年々上げていこう」ということで、今25パーセントくらいまで届いています。30パーセントまでいけるだろうと考えていますので、引き続き取り組んでいきます。そうすると、私どもの販管費は20パーセント以下ですので、単純計算で10パーセントの営業利益率が可能になります。
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