●2025年3月期第2四半期の業績概要
2025年3月期第2四半期は、売上高が前年同期比0.8%減の21,108百万円、営業利益が同15.3%増の1,028百万円、経常利益が同1.0%増の1,072百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同26.5%減の617百万円と、営業利益で大幅な増益を達成し好調を維持した。
売上高は見かけ上減収となったものの、その要因は物流・食品加工事業での販売手数料の処理方法変更の影響が大きく、その影響(528百万円)を除くと前年同期比1.7%増と堅調である。中食事業は、ほっかほっか亭の既存店売上高が前年同期比でプラスに推移したことなどにより、売上高は同0.8%増の8,344百万円となった。店舗アセット&ソリューション事業は、不動産販売はなかったものの、テナント入れ替え収入の発生や店舗リース数及び不動産管理テナント数の拡大によるストック収益が順調に伸長し、同0.3%増の6,092百万円となった。物流・食品加工事業は、高稼働が続くカミッサリー事業、クレージーソフトナッツなどのブランドが好調の菓子製造・販売事業が堅調に推移する。同セグメントは収益認識に関する会計基準(販売手数料処理)の影響により、売上高で同3.3%減の7,848百万円となったが、同会計処理の影響を除くと前年同期比3.4%増と増収基調で推移した。
営業利益は、前年同期比15.3%増の1,028百万円。2024年5月15日に公表していた業績予想700百万円に対し46.9%増328百万円の増益と上振れ着地となった。セグメント利益では、テナント入れ替えが活発だった店舗アセット&ソリューション事業(前年同期比68.9%増)とカミッサリー事業の稼働率向上や原材料調達コストの低減などが奏功した物流・食品加工事業(同76.0%増)の貢献が大きい。中食事業は、米価を中心とする諸コスト上昇よる利益圧迫により営業損失103百万円となった。なお、中間純利益の減益は税負担の増加が原因であり一過性である。
2025年3月期第2四半期は、店舗アセット&ソリューション事業及び物流・食品加工事業の収益力が増し、事業ポートフォリオ全体の“稼ぐ力”の向上が顕著となっている。
●2025年3月期の業績見通し
2025年3月期は、売上高は前期比4.8%増の49,000百万円、営業利益が同0.6%増の2,450百万円、経常利益が同10.1%増2,850百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.4%増の1,800百万円と、4期連続の増益を計画しており、期初予想から変更はない。物流・食品加工事業は引き続き好調に推移し、最大の売上高になると予想される。営業利益に関しては、2024年3月期並みの予想である。前期にあった大型不動産売却の一時的な特需は剥落するものの、新型コロナウイルス感染症拡大を契機に進めてきた事業構造改革により、相対的に収益性の高い事業へのシフトが進むことで、利益拡大が予想される。営業利益の第2四半期進捗率は42.0%(前期は36.6%)と通期目標に対して順調に推移している。なお、2025年3月期中のM&A(後述)の業績貢献分は現在の予想には反映されていない。
●成長戦略:国内チルド焼売市場シェア1位の株式会社ホソヤコーポレーションの株式の取得(子会社化)
同社は、2024年11月13日開催の取締役会において、株式会社ホソヤコーポレーション(本社:千葉県佐倉市、以下「ホソヤコーポレーション」)の株式100%を取得し、子会社化することを決議し、株式譲渡契約を締結した。 ホソヤコーポレーションは1907年創業の老舗食品メーカーで、贅沢焼売、贅沢餃子、贅沢春巻を主力に「安健美楽(安全・健康・美味しい・楽しい)」な食品を開発・製造し、全国の食品スーパー マーケットを中心に自社ブランドやプライベートブランドで販売している。なかでも「贅沢焼売」は国内チルド焼売市場シェア1位、「贅沢餃子」は首都圏や関東外郭にてチルド餃子市場シェア1位を誇るなど、商品力を背景に高いリピート率により幅広い世代から支持されている。ホソヤコーポレーションの直近の業績は、売上高で7,337百万円、営業利益で463百万円であり、近年順調に業績を伸ばしている。
同社では、2024 年6月に“食のインテグレーション企業”を標榜する中期経営計画を発表し、その中で成長戦略として、「成長投資による経営基盤の強化(足場固め)」による利益拡大を掲げてきた。具体的には、物流・加工食品事業を中心に食品製造・冷凍食品製造などの事業領域に成長投資178億円(うちM&A120億円)を行うとしている。惣菜市場は、少子高齢化、女性の社会進出や共働き、単身世帯の増加などライフスタイルの変化を背景に近年拡大しており、安定成長が見込まれる。今回の子会社化により、安定的な成長が見込まれる惣菜市場において確固たるポジションを確立しつつ、ホソヤコーポレーションと同社とのシナジー(製造拠点や販路の相互活用等)の創出を狙う。
●株主還元策:「前年を下回らない増配」が基本方針。2025年3月期は2円増の26.0円予想
同社は安定的な配当の継続を基本方針とし、将来に向けた成長投資に利益を配分するとともに、株主への利益還元重視の姿勢をより明確にするため、1株当たり当期純利益の伸長に合わせて「前年を下回らない増配を目指す」としている。中期経営目標では最終年度の2028年3月期に年間配当35.0円とする目標を掲げており、毎年2.0円から3.0円前後の増配ペースが期待できる。自己株式の取得については、資本水準や株式市場の環境に加え、ROEや1株当たり当期純利益が伸長する効果を総合的に勘案し、機動的に実施するとしている。2025年3月期は、年間配当26.0円(同2.0円増配)、配当性向26.7%を予想する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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