(2) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の売上高は前期比11.8%増の106,310百万円、経常利益は同24.7%増の4,835百万円と2ケタ増収増益になり、売上高は会社計画を上回ったほか過去最高業績を更新した。物価上昇に伴う節約志向の高まりを背景に、「業務スーパー」の来客数が増加したほか、価格改定効果もあって既存店売上高が同7.9%増と想定以上に好調に推移した。また、9店舗を新規出店(1店舗退店)したことも増収に寄与した。新規出店9店舗の内訳は、北海道1店舗、関東3店舗、中部4店舗、九州1店舗となり、期末の店舗数は前期末比8店舗増の191店舗となった。
経常利益率が前期比0.4ポイント上昇の4.5%となったが、改善要因としては売上総利益率が値上げ効果等により同0.1ポイント改善したほか、販管費率も減価償却費の増加を光熱費の減少と増収効果によって吸収し同0.4ポイント改善した。
既存店の月次売上高前年同月比伸び率は、期を通して安定して伸びており、2024年3月も8.4%増と好調が続いている。なお、神戸物産の直轄エリア全体の既存店伸び率もほぼ同様に推移しており、全国的に「業務スーパー」が好調だったと言える。
(3) 精肉事業
精肉事業の売上高は前期比7.2%増の21,174百万円と過去最高を連続更新したほか、経常利益も同24.6%増の398百万円と3期ぶりの増益に転じ、会社計画を上回って着地した。売上高は「お肉のてらばやし」の新規出店効果に加えて、2023年9月以降取り組んだ価格改定や品揃えの見直し効果もあって、既存店売上高が同3.4%増と堅調に推移したことも増収要因となった。利益面では、増収効果や価格改定による売上総利益率の改善及び増収効果によって人件費増を吸収し増益となった。ただ、経常利益率は1.9%と2021年3月期の4%台と比較するとまだ低水準にあり、円安による輸入肉の仕入コスト上昇が引き続き圧迫要因となっている。
出退店の動向については、新規出店が12店舗(北海道1店舗、関東3店舗、中部4店舗、近畿1店舗、九州3店舗)、退店が3店舗となり、期末の店舗数は前期末比9店舗増の174店舗となった。また、業務用の卸販売を行うアンデス食品事業部において不採算だった店舗を1店舗退店し、13店舗となった。既存店の月次売上動向については、2022年秋以降に実施した値上げ効果により、2023年8月までは前年同月比で1ケタ台後半の伸びが続いていたが、値上げ効果が一巡した2023年9月以降は1ケタ台前半に伸び率が鈍化している。
(4) その他事業
その他事業は売上高で前期比4.1%増の22,122百万円、経常利益で185百万円(前期は8百万円の損失)と2期ぶりに黒字転換した。
事業別では、ミニスーパー事業の売上高が前期比約3%増と増収に転じ、損失額も縮小した。2023年3月期に6店舗退店したのに続き、2024年3月期も下期に5店舗退店するなど不採算店舗の整理を進めたことや、商品戦略の見直し並びに価格改定効果により既存店売上高が同5.4%増と増収に転じたことが要因だ。また、本社及び物流コストの削減に取り組んだことも損失縮小要因となった。期末の店舗数は前期末比5店舗減の58店舗となったが、店舗の過半が損益分岐点に達しておらず、店舗当たり売上高の拡大とコストの最適化が課題となっている。
アグリ事業は2023年3月期に不採算だった中部・関東の店舗(21店舗)をすべて整理したほか、2024年3月期も第4四半期に3店舗(大阪府)退店したことにより、売上高は前期比約8%減となったものの、不採算店舗が減少したことに加え既存店売上高が同3.7%増と堅調に推移したこともあって増益を確保した。既存店では、お盆やお彼岸などで使用する生花の販売が好調だった。期末の店舗数は前期末比3店舗減の20店舗となっている。
こだわり食品・プライベートブランド事業は、売上高で前期比約4%増と堅調に推移したものの、2023年7月にミツワ酒販を子会社化した際の関連費用20~30百万円を計上したことで減益となった(同費用を除けば増益)。こだわり食品については引き続き地域の物産展に出展するなど顧客開拓を進め、売上につなげている。ミツワ酒販については売上高で1億円強、経常利益で若干の損失を計上したと見られる。そのほか、女性向け健康体操教室「カーブス」(25店舗)は、会員数の回復傾向が続き同約5%の増収となり、経常利益も初めて1億円を超えたもようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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