1. 2024年3月期の業績概要
G-7ホールディングス<7508>の2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比9.1%増の192,992百万円、営業利益で同6.4%増の6,920百万円、経常利益で同7.4%増の7,318百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同35.3%増の5,175百万円となった。売上高は業務スーパー事業や精肉事業がけん引して過去最高を連続更新し、会社計画比でも4.3%上回って着地した。一方、利益面では車関連事業が暖冬による冬用タイヤの販売低迷等により減益となったことが響き、会社計画には届かなかったものの、業務スーパー事業を中心にその他の事業が伸長したことにより2期ぶりの増益に転じた。
売上構成比の変化により売上原価率は前期比0.8ポイント上昇したものの、販管費率が増収効果によって同0.7ポイント低下し、営業利益率は同0.1ポイント低下の3.6%となった。販管費の主な増減要因は、光熱費が電気料金の高騰による補助金制度によって6億円減少した一方で、従業員の処遇向上や教育費の増加等により人件費が10億円増加したほか、建築資材高騰に伴う出店コストの上昇等により減価償却費が6億円弱増加した。EBITDA(償却前営業利益)マージンは、前期から0.1ポイント上昇している。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が大きくなっているのは、前期に特別損失として計上した役員退職慰労金500百万円が無くなったほか、減損損失が455百万円減少したこと、2024年3月期に投資有価証券売却益127百万円を計上したことなどが要因だ。
2024年3月期の出退店動向については、新規出店が24店舗、退店が13店舗となり期末店舗数は608店舗と前期末から11店舗の増加となった(前期は新規出店が27店舗、退店が30店舗)。新規出店の内訳は、「業務スーパー」9店舗、「お肉のてらばやし」12店舗、マレーシアの「バイクワールド」2店舗、「シャトレーゼ」1店舗となっている。
(1) 車関連事業
車関連事業の売上高は前期比6.3%増の43,386百万円と過去最高を連続更新したものの、経常利益は同28.0%減の1,598百万円と2期連続で減益となった。売上高は、G-7.CrownTradingの海外向け中古自動車販売の好調により増収となったが、利益面ではG-7・オート・サービスやG-7バイクワールドが足を引っ張った格好だ。
G-7・オート・サービスの業績は、前期から売上高で約1%の減収、経常利益で2ケタ減益となった。暖冬の影響で好採算の冬用タイヤやタイヤチェーンなど冬季用品の販売が低調に推移したことや、これに伴うタイヤ取付工賃などのサービス収入の減少が主因だ。月次売上高の前年同月比の伸び率は、2023年12月及び2024年1月がそれぞれ10%を超える減少率となっており、冬季商戦が低調だったことが窺える。
主なカテゴリー別の前期比売上増減率は、タイヤが5.1%減、カーAVが7.5%減、サービスが1.7%減、アクセサリーが0.9%減となった一方で、ドライブ需要の回復によりオイルが8.5%増、バッテリーが7.4%増と消耗品については伸長し、車買取・販売についても2.2%増と堅調だった。店舗の出退店はなく期末の「オートバックス」店舗数(国内)は、前期末比横ばいの69店舗となった。なお、既存店売上高は前期比1.1%減で、オートバックスグループ全体の国内既存店売上高(同0.2%減)とほぼ同様の動きとなった。「オートバックス」以外では、洋菓子の「シャトレーゼ」を1店舗出店して合計2店舗となったが業績への影響は軽微であった。
G-7バイクワールドは前期比で1割弱の減収となり、利益面でも減収に伴う売上総利益の減少が響いて減益となった。新型コロナウイルス感染症拡大の収束に伴いバイク通勤需要がピークアウトしたことや、夏場に酷暑が続き客足が低迷したことが減収要因となった。既存店売上高は前期比8.7%減となったが、月次売上高の前年同月比伸び率は、2024年3月に0.7%増と17ヶ月ぶりにプラスに転じるなど、直近は下げ止まってきたように思われる。期末の店舗数は、前期末比横ばいの15店舗となった。
海外事業のうち、自動車輸出販売を行うG-7.CrownTradingは為替の円安が追い風となり前期比約2倍の増収となり、利益も増益となった。一方、マレーシアで展開している「バイクワールド」も順調に収益を伸ばしており、2023年7月及び2024年3月に各1店舗を出店し、合計5店舗となった。マレーシアの「オートバックス」については増収となったものの想定よりも伸びは鈍く、3店舗のうち収益化しているのは1店舗にとどまった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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