G-7ホールディングス<7508>は、「オートバックス」「業務スーパー」のフランチャイジーとして国内最多店舗数を運営する子会社を有する持株会社。1人当たり生産性、在庫回転率などを重視した店舗収益力に強みを持つ。農産物直売所「めぐみの郷」や食品加工・卸売事業のほか、長期的な成長を見据えて東南アジア市場への展開を進めている。積極的なM&Aにより事業規模を拡大中。
1. 2020年3月期の業績概要
2020年3月期の連結業績は、売上高で前期比8.3%増の132,642百万円、経常利益で同19.5%増の5,995百万円となり、過去最高業績を連続更新した。オートバックス・車関連事業は2019年10月の消費税引き上げによる消費マインドの冷え込みや、暖冬の影響による冬用タイヤの販売低迷、新型コロナウイルス感染症拡大による来店客数の落ち込みなどが影響して減益となったものの、業務スーパー・こだわり食品事業が「業務スーパー」の販売好調により2ケタ増収増益と好調に推移したこと、その他事業も農産物直売所「めぐみの郷」の収益改善効果により増益となり、オートバックス・車関連事業の落ち込みをカバーした。国内グループ店舗数も「業務スーパー」「お肉のてらばやし」「めぐみの郷」の積極出店により前期末比30店舗増の433店舗に拡大した。
2. 2021年3月期業績見通し
2021年3月期の業績は売上高で前期比28.2%増の170,000百万円、経常利益で同16.7%増の7,000百万円と2ケタ増収増益を見込んでいる。既存事業の収益拡大を継続するとともに、新規に子会社化した(株)99イチバとアンデス食品(株)の寄与を見込んでいる。新規子会社の連結業績への影響額は売上高で約190億円の上乗せ要因となる(利益の影響は軽微)。99イチバは東京、神奈川でミニスーパー73店舗を展開しており、今後、グループ子会社で製造する冷凍食品のほか精肉や産直野菜などを供給していく予定にしており、グループでのシナジー効果を見込んでいる。また、アンデス食品は食肉の卸販売等を展開しており、(株)G-7ミートテラバヤシの子会社となることで、精肉事業の更なる拡大を目指す。既存事業については、生産性向上や売上粗利益率の改善に取り組むことで収益力を強化していくとともに、新規出店も「業務スーパー」「お肉のてらばやし」「めぐみの郷」を中心に積極に進め、グループ店舗数で前期末比64店舗増の587店舗まで拡大することを目標としている。直近は新型コロナウイルスの影響によるマイナスの影響がオートバックス・車関連事業で出ているものの、「業務スーパー」などの好調事業でカバーするほか、M&Aについても継続して進めていくことで、会社計画の達成を目指していく方針となっている。
3. 成長戦略
同社は中長期の成長戦略として、投資効率の高い新規事業・新業態の開発とM&A戦略によって事業規模を拡大・多角化するとともに、1人当たり売上高、利益の向上、売上粗利益率の改善等に取り組むことで収益力を強化し、市場変動に左右されない安定的な収益成長と、すべてのグループ会社の黒字定着を目指している。また、長期的にはASEANを中心としたアジア市場への本格展開も見据えており、組織力の強化と人材育成にも注力している。新業態の開発ではアウトドア用品専門店「FIELD SEVEN(フィールドセブン)」の1号店を2020年3月にオートバックス明石店内に新規出店しており、収益モデルを確立しながら店舗拡大を進めていく予定となっている。
4. 株主還元策
業績が順調に拡大していることを受け、2021年3月期の1株当たり配当金は前期比実質5.0円増配の50.0円(配当性向30.3%)と6期連続の増配を予定している。配当性向の水準としては30%程度を目安としており、今後も収益成長が続けば増配が期待される。
■Key Points
・2020年3月期は「オートバックス」の失速を「業務スーパー」「お肉のてらばやし」の好調でカバー
・財務基盤の拡充と収益性の向上が着実に進展、ネットキャッシュは過去最高水準に積み上がる
・生産性向上と不採算店舗の一掃により収益力を強化、M&Aも進めながら持続的成長を目指していく
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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