7. セグメント別の推移
セグメント別売上高と営業利益(全社費用等調整前)の過去3期(2022年6月期~2024年6月期)の推移は以下のとおり。売上高は保険販売事業の法人営業部門・RM部門を除いて拡大基調である。保険販売事業の直営店部門とソリューション事業のFC部門は、新規出店効果やブランド認知度向上効果などで「保険クリニック」の集客数が増加し、売上高が拡大基調である。保険販売事業の法人営業部門・RM部門は、大型案件によって変動する可能性がある。ソリューション事業のAS部門は「ASシステム」「AS-BOX」導入増加・ID数増加に伴い、またシステム事業は「スマートOCR」導入増加により、いずれも売上高が拡大基調となっている。
なお2024年6月期の全社ベースのストック売上(保険契約からの継続手数料、「AS」シリーズのID利用料、FC月額利用料、「スマートOCR」のサブスクリプション並びにリカーリング収益など)比率は前期比3.2ポイント低下して34.2%となった。これは、契約時の手数料収入が主力でフロー比率の高い保険販売事業とFC部門の売上高が大幅に伸長したためであり、ストック売上高自体も伸長(同20.6%増の2,711百万円)した。利益面は新規出店投資、プロモーション投資、開発投資などによって変動する傾向が見られるが、今後は全体としての売上規模拡大やストック収益の積み上げによって、利益の拡大と利益率の向上が期待できると弊社では考えている。
8. リスク要因と課題・対策
保険販売事業における一般的なリスク要因としては、市場環境悪化や競合激化などによる保険契約者数減少、保険会社による営業政策の変更や保険手数料率の変更、個人情報保護、税務当局による保険商品の税務取り扱いの見直し、法的規制・自主規制などが挙げられる。
市場環境として、保険販売における加入チャネル比率(出所:(公財)生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」)は、かつては90%前後を占めていた生命保険営業員からの加入比率が2021年度には55.9%まで低下した一方で、保険代理店からの加入比率は2021年度には15.3%まで上昇した。保険代理店の存在感が高まっており、同社にとって市場環境は良好と言えるだろう。また大規模プロモーションなどによってブランド認知度も向上している。保険販売の市場は競合が多いが、同社は自社開発システムやワンストップソリューションによって競合優位性を維持していると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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