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2024/09/09 - コンコルディ(7186) の関連ニュース。・日経の統合報告書アワードで、2023年のグランプリにコンコルディア・フィナンシャルグループ<7186>、東京応化工業<4186>、野村総合研究所<4307>が選ばれた。今年2月に選定されたものであるが、改めて熟読してみた。株式投資を考えた時に、いかに役立つかという視点を重視した。・コンコルディア・フィナンシャルグループ(コンコルディアFG)は、PBR1倍割れにどう取り組むのか。ROEの向上、資本コストの抑制が本当にできるのか。それを担う経営戦略、人財

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統合報告グランプリを投資に活かす

著者:鈴木 行生
投稿:2024/09/09 10:48

・日経の統合報告書アワードで、2023年のグランプリにコンコルディア・フィナンシャルグループ<7186>東京応化工業<4186>野村総合研究所<4307>が選ばれた。今年2月に選定されたものであるが、改めて熟読してみた。株式投資を考えた時に、いかに役立つかという視点を重視した。

・コンコルディア・フィナンシャルグループ(コンコルディアFG)は、PBR1倍割れにどう取り組むのか。ROEの向上、資本コストの抑制が本当にできるのか。それを担う経営戦略、人財戦略が素晴らしいと評価された。現在、PBR 0.75倍=ROE 5.85%×PER 12.8倍である。

・東京応化工業(TOK)は、競争優位性が発揮できるビジネスモデルを確立し、企業価値の向上策をしっかり遂行しうると評価された、非財務資本の長期的資産化も明解に語った。現在、PBR 2.26倍=ROE 10.2%×PER 22.2倍である。

・野村総合研究所(NRI)は、成長ストーリーが一貫しており、ビジネスモデルが進化している。社会的課題の解決にむけて提言する具体策も評価された。現在、PBR7.08倍=ROE 21.7%×PER 32.7倍である。

・この3社について、筆者(アナリスト)の視点で評点してみた。コンコルディアの片岡社長は2年前に就任し、収益力の向上に取り組んでいる。PBR 1倍割れに対処するには、ROEの向上と資本コストの引き下げが必須であると判断し、その具体策を明確に掲げた。

・地域金融機関としてのビジネスの基本は、顧客にソリューションを提供できる関係構築にある。これは30年後も変わらないという認識である。そのためのグループ人財戦略を立案し、サステナブルファイナンスを軸に事業の拡大を目指す。

・リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)の高度化をテーマに、これを「資本コストと株価を意識した経営」に直結させようとしている。自社の資本コストを6.0~9.0%と試算した。現在5%台のROEを中期計画では6~7%に上げ、将来は9%以上を目指す。

・ROEの向上に5つの方策、株主資本コストの抑制に3つの方策を掲げている。人材戦略では、営業人員の強化とともに、1人当たりソリューション収益の向上を目指す。

・全体のフレームワークは整合的に明示されている。2024年度は中期計画の3年目を迎える。成果は上がりつつあるが、その実効性をもう少し見極めたいところである。

・東京応化(TOK)は、種市社長のもと、「社会の期待に化学で応える」を実践している。フォトレジストの世界的トップ企業で、シェア26%を有する。高純度化を推進し、顧客密着のロングランR&D体制を確立し、事業ポートフォリオのフルラインアップを目指している。

・社員の幸福度の追求を明確に掲げ、人的、知的、製造資本の一体化、営業、製造開発の三位一体化を実践している。土井専務は営業本部長兼開発本部長である。「光を、熱を、表面をコントロールする材料」作りを通して、イノベーションへ貢献し、社会的価値を創造する。

・ROE 10%以上を実現すべく、目先の好不況にとらわれない経営を追求する。「取締役協議会」を設け、取締役、執行役員、関係部署長が自由に議論する場を通して、戦略遂行の実効性を上げている点もユニークである。グローバルな伸びしろという点で極めて有望と感じる。

・野村総研(NRI)は、コンサルとITソリューションが一体化することで、時代を先取りする「コンソリューション」を追求している。人材の質の高さ、此本会長の社長時代のストーリーの書下ろし力も高く評価できる。グローバル展開も着実に進めており、いかに収益性を高めるかが次の課題である。

・DX1.0(顧客のビジネスプロセスの変革)からDX2.0(業界横断型プラットフォームによる増価蓄積)を経て、今やDX3.0向かっている。社会そのものがDXによって変革されていく。このDX3.0時代にあって、20のテーマを掲げ、その中からNRIが価値提供でリードできるものを実践していく。

・営業利益率、生産性でITソリューション業界トップである。日本取締役協会のコーポレートガバナンスイヤー(2023年)を受賞した。特定の経営者に依存しない経営継承手法の実践が高く評価された。

・実際、4月に此本氏から柳沢氏へ8年ぶりに社長が交替した。柳沢社長はコンサル出身の女性社長で17人抜きの抜擢人事であった。プロ集団のマネジメントを誰に任せるか。その実践の仕組みが高く評価された。

・V2030のビジョンでは、未来社会、最適社会、安全安心社会との共創を図り、営業利益で年率9%成長、2026年3月で売上高8100億円、営業利益1450億円、ROE 20%以上を目指す。シンクタンクとしての会社提言を、自社の経営にも見事に活かしている点に大いに注目したい。

・3社を1)経営者の経営力(構想力と戦略性)、2)事業の成長性(イノベーション)、3)業務のリスクマネジメント、4)経営のサステナビリティ(ESG)という点で筆者なりに評価すると、コンコルディアFG 83点、東京応化(TOK)100点、野村総研(NRI)92点であった。いずれもAクラスである。伸びしろの違いに着目しつつ、継続的にパフォーマンスをみていきたい。

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

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