今週の新興市場では、日経平均の続伸劇が週後半まで続くなか個人投資家心理も改善し、マザーズ指数は週間ベースで続伸。米5月雇用統計の結果を受けた米長期金利の上昇が警戒されたが、金利上昇幅が限定的だったことやナスダック総合指数の底堅さが続いたことで、新興株も堅調推移が続いた。週末の6月限先物取引に係る特別清算指数(SQ)算出を前にした買い戻しも背景にあったとみられる。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.23%であったのに対して、マザーズ指数は+2.50%、東証グロース市場指数は+2.60%だった。
個別では、週間でフリー<4478>が+10.6%、ウェルスナビ<7342>が+14.7%、TKP<3479>が+13.1%と上昇し、Appier Group<4180>は+3.4%、弁護士ドットコム<6027>は+4.3%と主力株が全般堅調だった。売買代金トップには直近IPOのトリプルアイズ<5026>が入ったが、+1.6%と伸び悩んだ。東証グロース市場値上がり率トップはエッジテクノロジー<4268>で、今期の大幅増益見通しが好感され週末に急伸した。1日に発表した臨床試験の進捗をきっかけとした上値追いが続いたキャンバスも上位にランクイン。一方、業績予想を下方修正したイメージマック<7793>が急落し、値下がり率トップとなった。ほか、前の週までの上昇の反動売りが出たフロンティアI<7050>が値下がり率上位に入った。
■金融政策イベント相次ぎ押し目買いは期待薄か
来週の新興市場では、マザーズ指数の下落が予想される。今週末に発表された米5月消費者物価指数(CPI)の伸びは前年比と前月比で揃って予想を大幅に上回り、前月からも大きく加速した。また、変動の激しい食品・エネルギーを除いたコア指数でも前年比と前月比で揃って予想を上回った。3月でインフレはピークアウトしたとの期待はほとんど打ち消されており、週末の米株市場では主要株価3指数が揃って大幅に続落している。投資家心理が急速に悪化するなか、マザーズ指数も週初から下落を余儀なくされるだろう。14~15日には米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、政策金利見通し(ドットチャート)も公表される。CPIの結果を受け、タカ派な結果が警戒されているため、押し目買いも期待しにくい。インフレのピークアウトが見通せないなか、FOMCイベント通過後もあく抜け感は高まりづらく、安易な押し目買いは避けた方が無難だろう。
金融政策の動きを反映する短期債に比べて米10年債利回りの上昇率は限定的だったが、それでも、米長期金利は10日に3.16%と、5月6日の3.14%を上回ってきている。来週はFOMCのほか英国でも金融政策委員会が開催予定で、金融政策イベントが目白押しの中、金利動向に敏感な新興株は厳しい展開が続きそうだ。こうした中、今週東証グロース市場に新規上場したANYCOLOR<5032>が連日で急伸している。こうした直近IPOのほか、ANYCOLORの上場をきっかけに関連株として注目されるUUUM<3990>などに物色が波及することが予想されよう。
今週は坪田ラボ<4890>やイーディーピー<7794>など合計6社がブックビルディング(BB)期間入りとなった。また、新規にINTLOOP<9556>の上場承認が確認されている。今週上場したANYCOLORは上場初日は初値形成が持ち越しとなり、2日目、3日目は2日連続で取引時間中に買いが殺到して値が張り付くなど、個人投資家人気が殺到した。
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