天昇電気工業<6776>は、以前より非自動車分野の強化を経営課題の1つに挙げている。現在は売上高の約60%が自動車向けとなっているが、この比率を約35%程度にすることを目標としている。これは自動車向けの売上高を減らすのではなく、非自動車の製品を拡充して全体の売上高を増加させることで、相対的に自動車向けの比率を下げようというものだ。このため、2022年3月期から2023年3月期にかけて積極的な投資を行ってきたが、これにより同社の事業体質が今後どのように変化するかが注目される。
まず、同社の連結子会社であるSanko America Corporation(旧 天昇アメリカコーポレーション)が約45億円の設備投資を行った。これは同社の大株主でもある三甲との共同プロジェクトで、プラスチック成形製品を製造するメキシコ第2工場(約23,000平方メートル)を建設したものだ。総投資額45億円のうち約17億円をSanko America Corporationの第三者割当増資(同社が約10億円、三甲が約7億円を引受け)で賄い、残り28億円を借入金で調達した。この結果、この増資後もSanko America Corporationの持株比率は60%を維持しており、引き続き連結子会社となっている。
この新工場は2022年10月から稼働を開始したため、前期(2023年3月期)の売上高への寄与は限定的であったが、既報のように今期から米国子会社の売上高に寄与している。会社は「近い将来、米国子会社の売上高が60億円に達する可能性は高く、全体の連結売上高が300億円になる可能性は十分にある」と述べており、今後の動向がさらに注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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