天昇電気工業<6776>は、以前より非自動車分野を推進している。現在は売上高の約60%が自動車向けとなっているが、この比率を約35%程度にすることを目標としている。これは自動車向けの売上高を減らすのではなく、非自動車の製品を拡充して全体の売上高を増加させることで、相対的に自動車向けの比率を下げようというものだ。このため、2022年3月期から2023年3月期にかけて積極的な投資を行う計画で、これにより同社の事業体質が今後どのように変化するかが注目される。
1. 竜舞プラスチックを子会社化
同社は2021年7月、竜舞プラスチックを100%子会社化した(買収金額は守秘義務により非開示)。竜舞プラスチックの主要事業は、各種プラスチック製品の射出成形加工で、年間売上高は約40億円となっている。2022年3月期は7月からの9ヶ月分が連結決算に寄与するが、2023年3月期以降は通年で寄与する見込みだ。
2. 米国子会社が45億円の大型設備投資:第三者割当の引受けで同社は約10億円の出資予定
同社の連結子会社である天昇アメリカコーポレーション(2021年10月よりSanko America Corporationに商号変更)が約45億円の設備投資計画を発表した。この計画は、同社の大株主でもある三甲との共同プロジェクトで、プラスチック成形製品を製造するメキシコ第二工場(約23,000m2)を建設するものとなっている。投資額45億円を賄うため、天昇アメリカコーポレーションは約17億円の第三者割当割当増資を行い、残りを借入金で調達する計画だ。この第三者割当のうち、同社が約10億円、三甲が約7億円を引受ける予定となっている。同社は、この増資後も天昇アメリカコーポレーションの持株比率60%を維持する予定で、引き続き連結子会社としていく。
この新工場の稼働開始は2022年9月の予定のため、2022年3月期の業績に与える影響はないが、2023年3月期以降は非自動車製品の売上として大きく寄与する見込みだ。現時点で売上計画等は発表されていないが、同社がこれだけの投資を決議したことは、将来に対する自信の表れと言え、今後の動向は多いに注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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