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ワコム Research Memo(1):2025年3月期は大幅営業増益。4ヵ年「Wacom Chapter 4」を公表

配信元:フィスコ
投稿:2025/06/11 13:31
*13:31JST ワコム Research Memo(1):2025年3月期は大幅営業増益。4ヵ年「Wacom Chapter 4」を公表 ■要約

ワコム<6727>は、デジタルペンとインクの事業領域で、技術に基づいた顧客価値の創造を目指すグローバルリーダーである。プロ向け製品は、映画制作や工業デザインのスタジオで働くデザイナー、アニメーターなどのクリエイターから広く支持されており、高いブランド認知度とグローバルな市場シェアを持つ。スマートフォンやタブレット・ノートPCなど完成品メーカー向けに独自のデジタルペン技術をコンポーネントとして供給する「テクノロジーソリューション事業」と、自社ブランドで「ディスプレイ(液晶ペンタブレット)製品」や「ペンタブレット製品」等を販売する「ブランド製品事業」の2つのセグメントで事業を展開している。

1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比2.6%減の115,681百万円、営業利益が同44.7%増の10,210百万円と、微減収ながら大幅な増益となった。売上高は、中低価格帯モデルの苦戦が続く「ブランド製品事業」が落ち込んだものの、円安や好調なOEM需要を背景として「テクロノジーソリューション事業」が伸びたことにより、微減収となった。損益面で大幅な増益を実現したのは、円安効果及び「テクノロジーソリューション事業」による収益の底上げに加え、事業構造改革(コロナ禍での負の遺産の整理が前期で一巡したことや販管費削減等)に伴う「ブランド製品事業」の損失幅改善が主因である。活動面では、新中期経営計画「Wacom Chapter 4」に向けて事業構造改革プランを完遂したほか、事業ドメイン拡大及び技術獲得のための資本提携でも一定の成果を残した。

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績予想について、同社は米国関税問題や円高進行などの外部要因と、事業構造改革に伴う「ブランド製品事業」の黒字転換等の内部要因を踏まえて、売上高を前期比4.9%減の110,000百万円、営業利益を同12.6%増の11,500百万円と、減収増益を見込んでいる。

3. 新中期経営計画「Wacom Chapter 4」の概要
2025年5月に4ヶ年の新中期経営計画「Wacom Chapter 4」を公表した。戦略軸は、デジタルペンやインクがデジタルコンテンツの創作にとどまらず、教育、日常業務のワークフロー、医療分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)など、持続的成長が見込めるユースケース領域に存在するという認識に基づいている。同社を『究極の「かく」体験を追求する道具屋』として定義し、これらのユースケース領域での究極の「かく」体験を実現するための技術革新とコミュニティとの共創により、新たな体験価値を提供するとしている。その価値提供の循環のための新しい組織構造やソリューションポートフォリオの構築にも取り組む方針である。

事業計画の概要としては、最終年度(2029年3月期)の目標として、売上高1,500億円、営業利益150億円、ROE 20%以上、ROIC 18%以上を掲げた。そして、企業価値のさらなる向上へと導く資本政策として、R&Dや設備投資、技術資本提携に積極的に資金投入する一方、株主還元についても総還元性向50%以上(年間配当22.0円を下限とした累進配当制度の導入+機動的な自己株式の取得)を目指す。

■Key Points
・2025年3月期は大幅な営業増益。テクノロジーソリューション事業の収益の底上げとブランド製品事業の構造改革完遂が奏功
・2026年3月期は外部要因によるマイナスの影響を織り込みつつ、事業構造改革効果の発現により2ケタ増益を見込む
・新中期経営計画「Wacom Chapter 4」では、『究極の「かく」体験を追求する道具屋』として、技術革新とコミュニティとの共創によりさらなる企業価値向上を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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配信元: フィスコ

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