テクノロジーソリューション事業の売上高は同10.3%増の424.91億円、セグメント利益は同34.8%増の93.25億円となった。AESテクノロジーソリューションの売上高は市場環境の変化による影響を受けて前年同期を僅かに下回った一方で、EMRテクノロジーソリューションの売上高はOEM提供先の需要が増加したことから、全体の売上高は前年同期を上回った。セグメント利益は、増収による粗利増に加えて、為替円安によるプラス影響(売上高及び原価ともに主にドル建て取引による粗利の円安換算影響)等を含め、前年同期を上回った。
ブランド製品事業の売上高は前年同期比13.2%減の148.24億円、セグメント損失は11.06億円(前年同期は20.17億円の損失)となった。主力のクリエイティブソリューションは、低価格帯への需要シフト加速など市場環境の変化による影響を受けるなか、プロ向けモデルはディスプレイ製品の新製品投入等による需要の増加が見られた一方で、プロ向けモデル以外ではディスプレイ製品の中低価格帯モデルやペンタブレット製品の中価格帯モデルともに販売が減少し、全体の売上高は前年同期の売上高を下回った。ビジネスソリューションは、流動的な市況や案件進捗の動向の影響があるなか、全体の売上高は前年同期を僅かに下回った。セグメント損失は、前年同期より一時費用(売上原価)の計上が減少したことや販管費の削減により前年同期から縮小した。
2025年3月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比1.0%増の1,200.00億円、営業利益が同20.4%増の85.00億円、経常利益が同13.7%減の85.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同35.9%増の62.00億円とする2024年5月9日付の期初計画を据え置いている。
ワコムは、決算発表同日に行った決算説明会において、ブランド製品事業の構造変革プランの進捗状況と、2025年5月発表予定の次期中期経営方針「Wacom Chapter 4」の検討進捗について説明した。同社は、次期中期経営方針において「ペンとインクの統合体験」という新たな価値を提供するための積極的な投資を検討していることを明らかにした。一方で、全社組織及びブランド製品事業の構造改革を推進するため、グループ全体の15%から20%に当たる人員ポジションの閉鎖や運営費用の見直しを行うなどの20億円以上の費用削減プランを2025年3月期中に計画している旨にも言及した。ブランド製品事業の構造改革に伴い、今期下期には特別損失が計上される可能性はあるが、同社では具体的な影響額は現在算定中であり、現時点の2025年3月期連結業績予想には反映されておらず、影響額が確定次第、業績予想の修正を含め、適切なタイミングで開示するとしている。 <ST>
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