(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業では、特定市場や特定業界向けにシステム開発、アプリケーション・パッケージ、テスト・ソリューション、クラウドサービスなどの事業を展開している。対象分野はCRM、ビジネスソリューション、SE、教育の4つの分野である。2024年3月期の売上収益構成比では、CRM分野、ビジネスソリューション分野、SE分野でそれぞれ約3分の1を占めた。2021年より新規事業として参入した教育分野の売上構成比はまだ小さい。
a) CRM分野
CRM分野では、企業の顧客サービス向上を支援するコンタクトセンターCRMシステム/FAQナレッジシステム「FastSeries」をオンプレミス及びクラウドサービスで提供している。オンプレミス版についても3年前よりサブスクリプション課金モデルへの移行を進めており、2024年3月期は売上収益の約6割をストック売上高で占めるまでになった。CRMシステム市場では、パッケージ製品で国内トップシェアとなっており、SaaSではセールスフォース・ジャパン
主要パートナーは、(株)ベルシステム24(ベルシステム24ホールディングス<6183>子会社)のほか、NEC<6701>や伊藤忠テクノソリューションズ(株)など大手SIerがあり、各企業のコンタクト(テレマーケティング)センターや顧客サポートセンターに導入されている。また、製薬業界では日本製薬工業協会(製薬協)において提唱されている「くすり相談窓口」を各製薬企業が設置しているが、その多くに同社のCRMシステムが導入されている。
b) ビジネスソリューション分野
ビジネスソリューション分野では、主に金融ソリューション、学術・公共ソリューション(学術研究事業支援)、BI(ビジネス・インテリジェンス)ソリューションのサービスを提供している。金融ソリューションでは、アレクシアフィンテックが金融機関向けに開発・販売する金融取引統合管理システム「ARECCIA」シリーズのほか、海外有力ベンダーの金融商品評価・分析、ALMリスク管理ツールなどの導入支援、保守・運用などを展開している。学術・公共ソリューションでは、国立研究開発法人(日本医療研究開発機構、科学技術振興機構など)向けに、研究課題管理システムや論文、研究データに登録するDOI※の発行・管理システムの開発、運用・保守などを行っている。また、連結子会社のカサレアルでインターネットサービスに関連するシステム開発や技術者向けの教育研修サービス、クラウドネイティブ開発向けコンサルティングサービスを行っている。
※ DOI(Digital Object Identifier)とは、インターネット上のドキュメントに恒久的に与えられる識別子のこと。学術論文の分野で利用されることが多い。
c) ソフトウェア品質保証分野
SE分野では、ソフトウェアの品質向上や開発工程の生産性向上を目標に、開発過程での全ライフサイクルを支援するベスト・オブ・ブリード※の開発支援ツール(テストツールなど)及びコンサルティングサービスを提供している。取扱製品のなかでは、Parasoftのソフトウェアテストツールが組み込み系ソフトウェア開発の分野で高シェアを握っている。
※ 同一メーカーのシリーズ製品を使うのではなく、メーカーが異なっても最良と思われる製品を選択し、その組み合わせで利用すること。
対象となるのは、デジタル家電や情報通信機器、自動車、医療機器、ロボットなどソフトウェアが組み込まれる機器のほか、金融システムのようなミッションクリティカルなソフトウェアなども含まれる。市場別売上収益では、AD(自動運転システム)やADAS(先進運転システム)、カーナビ、パワートレインなど様々な車載システムの開発需要が旺盛な自動車業界向けが最も大きい。ここ数年は、開発支援ツールをクラウド基盤に載せてSaaSとして提供することに注力しており、2024年3月期は売上収益の約8割をストック売上高で占めるまでになっている。
d) 教育分野
新規事業として、教育機関向けクラウドサービス「ツムギノ」の提供を2021年4月より開始した。子どもの主体的かつ対話的な深い学びをサポートすることを目的に開発したスクール・コミュニケーション・プラットフォームをベースに、校務支援システムを実装したプラットフォームサービスである。今まで蓄積してきたクラウドサービスや情報セキュリティシステムの構築ノウハウを生かして開発された。特長としては、マルチプラットフォームに対応可能なこと、子どもが中心だが保護者や地域の住民なども参加できるプラットフォームとして設計されていること、情報基盤事業で培ったノウハウを生かして堅牢な情報セキュリティ対策が施されていることなどが挙げられる。特に、情報セキュリティ対策については教育機関にとっても重要な評価ポイントであり、競合サービスとの差別化要因になると考えられる。事業開始以降、アクティブラーニングを指向する先進的な教育理念を持つ私立の中高一貫校や一部の国・公立校で導入が進んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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