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※2026年2月26日15時に執筆
『hinaの株ブログ』を執筆しておりますhinaと申します。ニッポン放送【飯田浩司のOK!Cozy up!週末増刊号】、J-WAVE【GROOVE LINE】レギュラー出演。TBS、テレ東ゲスト出演。CAMPFIREコミュニティにて投資情報配信サロン「hinaの株プレミアム」を開設、市場営業日には毎日メルマガを配信しています。株の入門書『超ど素人が極める株』は翔泳社から出版。年内改訂版を出版予定。株のオンラインスクールで講師も務め学習動画配信や毎月セミナー開催中。Yahoo!特設掲示板にて、「ピストン西沢とhinaの投資部屋」運営中。
今回は足元の株式市場で起きている大きな変化を確認しておきましょう。
テーマは「SaaSの死」とも言われ始めた、生成AIによるソフトウェア産業への衝撃です。
SaaSとは「Software as a Service」の略で、インターネット経由でソフトウェアを利用できるサービス形態のことです。従来は企業ごと、あるいは1ID(利用者アカウント)あたり月額いくら、という課金モデルが主流でした。たとえば会計ソフトや人事管理、セキュリティ対策ソフトなど、多くの業務がSaaS型で提供されています。
しかし、ここに生成AIが入り込んできました。便利なAIが、人間の操作を前提とした従来ソフトの代わりに、業務を自動で完結させてしまう可能性が出てきたのです。
もしAIが1台で数百ID分の作業を代替できるのであれば、企業は大量のID契約を結ぶ必要がなくなります。つまり、これまでの「人数連動型の課金モデル」の前提が揺らぐということです。
きっかけの一つとなったのが、米Anthropic社(Claudeの開発元)の動きでした。同社のAIエージェント機能が、セキュリティの脆弱性(システムの弱点)を自動検出し、修正案まで提示できるという報道が出たことで、「従来型のセキュリティソフトは不要になるのではないか」という懸念が一気に広がりました。ブルームバーグからも「次はサイバーセキュリティ株にAI脅威論」という趣旨の記事が配信され、市場心理は急速に悪化しました。
その結果、サイバーセキュリティ関連銘柄が大幅安となりました。網屋<4258>、グローバルセキュリティエキスパート<4417>はストップ安、FFRIセキュリティ<3692>は14.2%安、トレンドマイクロ<4704>は13.8%安、サイバーセキュリティクラウド<4493>は9.0%安と、関連株が軒並み売られました。
影響はセキュリティ分野にとどまりませんでした。ベイカレント<6532>は13.8%安、野村総合研究所<4307>は7.1%安、富士通<6702>は8.7%安、NEC<6701>は6.2%安、マネーフォワード<3994>は9.5%安、フリー<4478>は8.4%安と、SaaS関連やITサービス株が広範囲に崩れました。特に富士通<6702>は3700円前後で下げ止まりかという雰囲気が出ていたところで再度大きく下落し、短期で入った投資家も評価損を抱える厳しい状況となりました。
株式市場の特性として、懸念が浮上した瞬間が最も値動きが荒くなります。私は24日引け後の自身のメルマガで「下げ止まりの兆しが出るまでは試し玉は小さく」とお伝えしました。試し玉とは、相場の様子を見るための小さな打診買いのことです。
一方で同日、日本経済新聞から「野村総合研究所<4307>が米Anthropicの生成AI導入を支援」という報道が出ました。ここに私は注目しました。AIは脅威であると同時に、導入支援や運用支援という新たなビジネス機会を生むからです。その視点から、翌日の寄り付きで野村総合研究所<4307>、NEC<6701>、富士通<6702>を購入しました。本日はこれらの主力どころがそろって急反発を演じました。
ここで改めて整理したいのが、IBM株の急落です。背景には、Anthropicが「AIでCOBOL移行作業を自動化できる」と打ち出したことがありました。COBOLとは、銀行などの基幹システム(企業の中枢業務を担うシステム)で長年使われてきた古い言語です。解析や移行が難しいこと自体が参入障壁となり、IBMはその保守や近代化で安定収益を上げてきました。しかしAIが「理解して移す」工程を圧縮できるなら、企業は高額な保守契約を見直す選択肢を持つことになります。
ただし重要なのは、基幹システムは単なるプログラムではないという点です。
富士通<6702>、野村総合研究所<4307>、NEC<6701>といった企業が長年担ってきた基幹システムは、コードの集合体ではなく、企業の業務フローそのものと一体化しています。
会計処理、人事管理、受発注、在庫、金融取引など、企業活動の中枢が複雑に結びつき、さらに法規制対応やセキュリティ基準、他システムとの接続仕様まで重層的に組み込まれています。
そこには長年蓄積されたデータと運用ノウハウがあり、「止められない」「失敗できない」という前提のもとで設計されています。仮にAIがコード解析や移行支援を高度に行えるようになったとしても、責任の所在、稼働保証、監査対応といった観点から、即座に全面的な置き換えが進むとは考えにくいのが実情です。
だからこそ、基幹インフラを握る企業と、単機能型SaaS企業とでは、AIの影響の受け方が異なる可能性があるという視点が重要になってきます。
いま市場で起きているのは「実際の業績悪化」よりも、「将来の利益率が下がるかもしれない」という期待値の修正です。株価は未来を織り込みます。だからこそ一気に売られるのです。
大切なのは、自分が見ている企業が「AIでコストが下がれば得をする側」なのか、「価格決定力を失い単価が下がる側」なのかを冷静に点検することです。
野村総合研究所<4307>、NEC<6701>、富士通<6702>のように業界標準や基幹インフラを握る企業は、SaaS一括りで売られましたが、パイそのものを大きく失うとは限りません。むしろAI導入支援という新たな収益源を持つ可能性もあります。
もちろん、小型の専業SaaS銘柄については今後の競争環境を慎重に見極める必要があります。下げ止まりの確認がない段階での大きなポジションは避けるべきでしょう。
今回の一連の動きが示している大枠のテーマは、「ソフトウェア企業の価格決定力がAIによって揺らぐ可能性」です。これが本格的な構造変化になるなら、個別銘柄だけでなく、セクター全体の評価の付け方が変わります。
市場は常に極端に振れます。しかし、その振れの中にこそ機会があります。恐れるのでも楽観するのでもなく、収益モデルがどう変わるのかを一社ずつ確認していく。決算、受注残、利益率、AI投資の方向性を見ながら、ポジションサイズを調整することを丁寧に。
AIは脅威でもあり、同時に新たな成長ドライバーでもあります。変化の波は怖いものではなく、きちんと向き合えば必ず味方にもなってくれます。次のチャンスをつかむのは、静かに、そしてしなやかに読み解いていける投資家なのだと思います。
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執筆者名:hina
ブログ名:hinaの株ブログ
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