3. 同社の強み
新晃工業<6458>は、ビル建築工事の中でもニッチな二次側空調機市場を深掘りすることでリーディングカンパニーとなった。そうしたポジションを得ることができた背景には、設備工事という独特の世界で培われた、同社の製販体制と事業運営の強みがある。
同社の強みとして、「高い環境価値」「建物の価値向上」「信頼性の高い稼働」「充実したサービス」の4つの付加価値サービスの提供が挙げられる。例えばデータセンターでは、24時間常時稼働し、不具合が生じた場合には即対応するなど、製品の信頼性と充実したサービスが競争力になっており、過去の納入実績やサービス対応は高い評価を受けている。さらに、同社の強みは、設計から製造、販売、工事・サービスまでの製販一貫体制にある。具体的には、同じ建物でも1台ごとに仕様・能力・サイズが異なるため、そうした個別設計に応える製品開発力・設計力、個別設計がゆえにばらつく生産を生産現場が柔軟に対応して工場をフル稼働させるノウハウ(生産量を安定化できないため過去に大手メーカーが撤退し、現在では新規参入もない理由である)、長年の実績を背景とする製品や作業の品質の高さ、営業から技術・製造・サービスまで緊急時でも一体となった迅速な動きなど、各部署の強みが有機的に結合した体制にある。事業運営面では、長年の実績に基づく案件情報量や設計段階で得られる早期情報に基づいた需要予測精度の高さが強みとなっている。さらに、必要に応じて更新案件や小口案件を取り込むことで営業面から各工程をコントロールし生産量を安定化するノウハウ、長年の経験と科学的管理手法に基づく細やかな現場調整や生産物流計画なども大きな強みと言える。ただし、同社の実績を支えてきた強みも、人口減少やベテランの退職、需要構造の変化などにより中長期的に希薄化する可能性がある。
そのために実行してきたのがSIMAプロジェクトである。SIMAプロジェクトは、個別対応の多い空調機製造において、できるところは効率化や標準化を進めていくという考え方に基づいて進められている。製造面ではBOM(部品構成表)を中心としたデジタル設計・生産体制の新・デジタル工場を構築、販売面では需要予測の精度向上とインパクト営業の実行など新・営業スタイルを確立することで、新しい製販体制の構築を目指す。既に効果は現れており、後述するが次期中期経営計画「move.2027」を支える基盤にもなっている。SIMAプロジェクトを含めた強みを背景に、同社の更新案件比率は約50%と非常に高く、新国立競技場やあべのハルカス、スーパーコンピュータ「富岳」(理化学研究所)、海外では上海タワーやザ・ペニンシュラ香港など、有名施設への納入実績が大変に多い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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