少子高齢化と労働人口の減少が叫ばれる一方で、まだまだ働ける、働きたいシニアは多い。2016年に政府が「1億総活躍社会の実現」のスローガンを発表して以降、企業側の行動にも変化が見られるものの、受入体制や業務内容のミスマッチにより、シニア就労の機会はまだまだ十分とは言い難い。その一方で介護市場では人出不足がますます深刻化している。人材派遣・人材紹介を通じて、日本社会の抱える課題を解決する「高齢化社会型人材サービス」が同社のビジネスモデルだ。
シニアに就労機会を創出するシニアワーク事業と、人出不足に悩む介護施設に安定的に人材を提供するシニアケア事業が同社の主要事業だ。シニアワークとシニアケアの売上構成比は4対6である。リーマンショック直後の2009年に設立以来、2016年にはマザーズ上場を果たし、現在までに全国に28拠点を展開、順調に売上を伸ばしている。
「シニアの得意な仕事を発掘することが当社の使命です。また、当社はシニアに特化した人材派遣業ですから、顧客企業の業務フローを細分化することで、シニアの特性に合った作業を抽出して仕事全体の生産性を上げ、コストダウンを図ることができるんです」と語るのは同社の川嶋一郎(かわしま いちろう)代表取締役会長兼社長だ。
「例えば、人生経験が豊富で他人の話を聞くことができるシニア人材は、コールセンター業務に向いていると言えます。また、フルタイムの勤務でなくてもできます。一方で、引越しなど重い荷物を運ぶ仕事は、一般的に若い人の方が向いていると思われていますが、細かく見てみると、食器の梱包作業などはシニア人材の方が向いています。そうした経験とノウハウの積み重ねが当社の強みだと思います」
シニアワーク事業の内訳は、ビルメンテナンスとベッドメイキング、オフィスワークからロジスティクスに及ぶが、近年、コールセンターに派遣を拡大、前年比で20%以上成長している。直近では、新規開発業種としてコンビニエンスストアへの派遣を開始した。
シニアケア事業では、キューボを子会社化したことで、大きく売上を伸ばした。直近では、鹿児島市に出店し新規エリアへ商圏を拡大している。3月には訪問介護事業にも進出した。
「シニア人材の就業機会の創造と介護市場の人出不足解消、2つの課題解決に向けたムーブメントをつくるのが私たちの使命です。今後も企業に対してシニア人材の活用を啓蒙していくことで、シニアビジネスのリーディングカンパニーであり続けたいと考えています」と語る川嶋会長の言葉は確信に満ちていた。
<SF>
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