1. セグメント
同社グループは、持株会社である同社と、(株)ベルシステム24、CTCファーストコンタクト(株)、(株)ベル・ソレイユ、Horizon One(株)、BELLSYSTEM24 VIETNAM Inc.、(株)シンカーの子会社6社で構成される。コンタクトセンター業務を中心とするCRM事業を主たる事業として、日本全国及びベトナム・タイ・台湾で事業を展開している。同社グループの報告セグメントは、CRM事業とその他の2つである。
(1) CRM事業
ベルシステム24(同社100%子会社)によるCRM事業には、クライアント企業の商品やサービスに関する質問などに対応するカスタマーサポート業務、クライアント企業の商品・サービスなどの販売促進をサポートするセールスサポート業務、クライアント企業のIT製品などの操作方法などに関する質問に対応するテクニカルサポート業務、クライアント企業のデータ入力やWeb制作などを請け負うBPOなどがある。いずれも電話での対応を軸に、Webやメールのほか、近年は成長が著しいソーシャルメディアやチャットにも対応している。CTCファーストコンタクトは、サービスデスクやコンタクトセンターなどのBPOを展開する子会社で、BPO分野でのビジネス拡大を目的に同社が株式の51%、伊藤忠テクノソリューションズ(株)が49%を保有している。テクニカルヘルプデスク等、ITをベースとしたBPOサービスをはじめ、マニュアル作成サービス/教育・研修サービスなども行っている。Horizon Oneは、同社が51%、経営コンサルティング事業の(株)レイヤーズ・コンサルティングが49%保有する。人事・経理分野におけるコンサルティングとBPOを提供している。2023年7月には、データマーケティング事業やAIソリューション開発を手掛けるシンカーの株式70%を取得した。持分法適用関連会社では、凸版印刷<7911>(現 TOPPANホールディングス)が51%、同社が49%出資した(株)TBネクストコミュニケーションズが、2020年10月にコンタクトセンター業務を中心とするアウトソーシングサービス、コンサルティングサービス業務を開始した。
海外にも事業展開をしており、2017年7月にはベトナムのコンタクトセンター最大手であるBellsystem24-Hoa Sao Group Joint Stock Companyへ出資し(持分比率49.0%)、2023年3月には持分比率を80.0%に引き上げて連結子会社化し、社名をBELLSYSTEM24 VIETNAM Inc.に変更した。同子会社は、ベトナム国内12拠点でコンタクトセンター事業を展開している。さらに、2020年1月にはタイのコンタクトセンター事業者大手のTrue Touch Co., Ltd.に出資し(49.9%保有)、同年2月には台湾最大手の総合通信会社である中華電信股フン有限公司の子会社と業務提携契約を締結するなど、CRM事業の海外展開を活発化している。
(2) その他事業
その他事業は、モバイル・PC等を通じ、一般消費者向けの月額課金によるコンテンツ販売や、事業者向けに気象予報コンテンツの販売を行う同社のコンテンツ事業のほか、子会社であるベル・ソレイユの事業である。ベル・ソレイユは、同社の100%子会社で、「障がい者の雇用の促進等に関する法律」による特例子会社の認定を受け、オフィスカフェ運営、チョコレート製造、野菜・胡蝶蘭栽培、事務・清掃作業を展開する。
CRM事業が売上及び利益のほとんどを占める
2. 収益構造
(1) 売上収益の内訳
これまでの事業再編によるCRM事業への経営資源集中の結果、全社売上収益に占めるCRM事業の比率は2016年2月期の92.7%から年々拡大を続け、2025年2月期中間期には99.7%を占めている。その結果、その他事業の比率は、同期間に7.3%から0.3%に大きく縮小した。
CRM事業の内訳を見ると、2025年2月期中間期では基礎業務が全社売上収益の97.9%、コロナ等国策関連業務が同1.8%を占めている。2023年2月期は政府によるコロナ禍対策の一環であるワクチン接種や給付金など、各種支援に関する案内対応業務の増加に伴って、コロナ等国策関連業務が大幅増収で同社の好業績に貢献したが、2024年2月期からはワクチン関連業務の減少に伴い大幅減収となった。一方、基礎業務は新規・既存業務が拡大するなか、連結子会社化したBELLSYSTEM24 VIETNAMの売上収益も加わり着実な増収を続けている。
税引前中間利益では、CRM事業が減益ながら大幅利益を計上しているのに対し、その他事業は小幅利益にとどまっている。2022年3月にスマートフォン向けアプリ開発及び運営を展開する(株)ポッケをベルシステム24が吸収合併するなど事業再編を進めたことで、2025年2月期中間期にはCRM事業が全社利益に占める比率は99.7%に拡大し、その他事業は0.3%にとどまる。このように同社グループでは、コア事業であるCRM事業に集中する体制を整えてきたことが確認できる。
(2) CRM事業の業種別売上収益
CRM事業における2025年2月期中間期の売上収益上位300社の業種別構成比を見ると、サービス業が27.3%、運輸・通信業が24.5%、金融・保険業が21.6%、卸売・小売業が13.7%、製造業が6.3%、その他が6.6%となっている。サービス業は、新規案件の増加もあったが、人材紹介及びネット関連サービスの大口案件減少に伴い前年同期比5.7%減であった。運輸・通信業では、通信キャリアが個人向けサービスを中心に減少したことで、同6.3%減であった。金融・保険業では、大口スポット取引の反動減はあったが生損保関連は堅調に推移し、同10.1%増であった。卸売・小売業では、通販・Eコマースの健康食品関連が増加したものの、全体としては同6.4%減であった。製造業では、医薬関連は堅調に推移したが、電気料金引き上げ対応等の業務縮小等により同15.6%減であった。その他では、自治体関連のDX化支援業務や新電力サービス業務が着実に増加し、同8.1%増であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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