1. 2018年6月期第2四半期業績
ネットマーケティング<6175>の2018年6月期第2四半期の決算は、売上高が前年同期比(前年同期は未上場)8.0%増の5,021百万円、営業利益が同47.4%増の304百万円、経常利益が同53.5%増の315百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同59.2%増の220百万円となり、各利益において引き続き大幅な増益を達成した。前年同期比での増収増益とも、もっぱら成長ドライバーであるメディア事業の伸長による。第2四半期の業績予想に対する達成率は、売上高が△3.8%、営業利益が+19.8%、経常利益が+24.9%、親会社株主に帰属する四半期純利益が+26.9%となっており、通期業績予想に対する進捗率は、売上高が44.5%、営業利益が56.3%、経常利益が58.6%、親会社株主に帰属する当期純利益が59.5%となっている。
広告事業の売上高は前年同期比1.4%減の3,514百万円と減収になったが、全社費用224百万円を配分していないセグメント利益は前年同期比6.3%増の266百万円と増益になり、セグメント利益率は前年同期比0.6ポイント改善し7.6%となった。単四半期(2017年10月−12月)で見た場合、前四半期(2017年7月−9月)比での減収は季節要因によるが、前年同期(2016年10月−12月)比でも減収となった。
メディア事業の売上高は前年同期比39.1%増の1,507百万円、全社費用を配分していないセグメント利益は同119.5%増の261百万円と大幅に伸長した。Omiaiは2017年12月末における累計会員数を同46.3%増の269万人と順調に伸ばし、累計マッチング組数は同95.2%増の1,343万組、月額サービスを利用している有料会員数は44,949人となった。積極的なプロモーション投資によって会員数の増加を図るとともに、各種KPI(重要業績評価指標)を日次でチェックして様々な内部施策を打ちながらKPIを改善するオペレーション体制が構築されていることで、広告宣伝費率を一定水準に維持しながら継続的にトップラインを成長させることができており、トップラインの成長とともに収益性も向上している。ただし、単四半期(2017年10月−12月)で見た場合、売上高は前四半期(2017年7月−9月)比3.5%増となっており、売上高の増加ペースの鈍化が見られる。
2018年6月期第2四半期末において、純資産合計は、親会社株主に帰属する四半期純利益計上に伴う利益剰余金等の増加により、前期末比242百万円増加して1,856百万円となり、自己資本比率は前期末の41.3%から51.0%へ向上した。資産合計は、売掛金が同438百万円減少したこと等により同270百万円減少した。負債合計は、買掛金が534百万円減少したこと等により、同512百万円減少した。
2. 2018年6月期通期業績予想
2018年6月期通期業績の会社予想は、売上高が前期比14.5%増の11,296百万円、営業利益が同22.4%増の540百万円、経常利益が同27.2%増の538百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同25.0%増の371百万円と、引き続き2ケタ台の増収と20%台の増益を見込んでいる。第2四半期の実績は、売上高が第2四半期の期首予想を下回り、各利益は同予想を上回ったが、通期業績予想は据え置かれている。
広告事業では、大型案件を取り扱う特定企業との取引の見直しの影響が2017年6月期末までに解消されたことで、その他の既存クライアントを維持しながら、2017年6月期と同水準の新規クライアント獲得ペースを維持する計画であり、アフィリエイト広告代理店業界のトップを目指すことを方針として掲げている。セグメント毎の通期業績予想は開示されていないが、第2四半期の売上高が前年同期を下回っていることから、計画を下回って推移したものと推測され、新規クライアントの獲得が計画どおりに進捗していないものと見受けられる。従来どおりインターネット広告市場全体の成長と連動してアフィリエイト広告市場も成長を持続しているとすれば、下期(2018年1月−6月)、とりわけ季節的要因から単四半期で最大の売上げが見込める第4四半期(2018年4月−6月)での挽回は、可能な範囲にあると考えられる。
メディア事業では、Omiaiにおいて2017年6月期と同ペースでの売上拡大を計画するとともに、2018年6月期中にFacebookユーザー以外もOmiaiを利用できるようにすることで対象ユーザーの拡大を図る。また、オンラインマッチングサービスにおけるサービス領域の拡大として、2018年6月期末にデーティングアプリ「QooN」を新たにリリースすることを決定しており、開発は当初予定どおり順調に進捗しているとのことである。
メディア事業の成長により各利益とも通期業績予想比50%超の進捗率を示しているが、Facebookユーザー以外へのサービス拡大、新サービスQooNの開始のいずれも直ちに利益貢献するものではなく、Omiaiからの利益が新サービス開発の投資に充てられていることから、通期では業績予想どおりの利益進捗を現時点においては予想する。また、メディア事業において短期的な収益性を犠牲にしてユーザー獲得のための集中的なプロモーション投資を行うことは現時点において想定されていないことから、全社売上高も通期業績予想どおりの進捗を予想する。
なお、業績予想には織り込み済みだが、2018年3月に本社を移転する予定で、地代家賃が増加するほか、新卒採用により4月以降の人件費も増加する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 廣田重徳)
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