エラン、「CSセット」の新規契約増・単価上昇、海外成長で通期は増収増益 新中計でROE25%を下限とする経営を加速
目次

峯崎友宏氏(以下、峯崎):代表取締役社長CEOの峯崎です。本日は、スライドの目次の内容に沿ってお話しします。
はじめに2025年12月期通期決算について、続いて2026年12月期業績予想についてです。また、今回は資本コストや株価を意識した経営、および新中期経営計画についてもお伝えします。説明資料の後半には参考資料を付けていますので、後ほどご確認ください。
2025年 ハイライト

2025年12月期の通期決算についてご説明します。まずは本日のハイライトです。2025年のハイライトは3点あります。
1つ目は増収増益についてです。売上高は前年比16.7パーセントの成長となりました。要因としては、「CSセット」の新規契約が260施設純増したこと、「CSセット」に追加する付加価値サービスや商品の普及により施設単価が40万円上がったこと、さらに海外売上が22億3,400万円加わったことが挙げられます。
2つ目は、新中期経営計画についてです。2026年から2028年までの新中期経営計画期間においては、資本コストや株価を意識した経営方針を明確化しました。また、「CSセット」の安定成長を基盤として、病院経営支援事業の推進、海外展開、M&Aの実施を目指します。
3つ目は、エムスリーとのシナジーです。2025年初めから動いていた共同事業が本格始動し、現在合計100件のサービスが始まっています。これらの新しいサービスの付加価値により、医療機関や介護施設から喜ばれ、「CSセット」の解約率低減につながっています。
2025年12月期 連結決算概要(損益計算書)

連結損益計算書です。売上高は前期比で約79億円の増加、営業利益は約7億円の増加となりました。この要因は主に「CSセット」の新規契約に伴う利用者数の増加、付加価値サービスや商品の追加による施設単価の向上、ベトナム子会社2社の売上約22億円によるものです。
売上総利益率低下の主な要因は、お客さま満足度の向上、施設、お客さまのファン化、解約阻止を目的に2023年から導入を開始したオリジナル患者衣「lifte(リフテ)」が、2025年には219施設に導入されたことによるものです。
「lifte」については、短期的には粗利を圧迫する要因となりますが、原価計上後は利益に寄与するものとなります。
販管費率は、昨年にベトナムでのM&A費用が約1億5,000万円、TOB関連費用が約3億6,000万円計上されているため、今年は昨年と比べて低くなっています。
セグメント別(国内/海外)

セグメント別の売上高と利益です。ベトナムの欄に記載している数値は、GREEN社とTMC社の2社分です。なお、のれん償却費約1億3,000万円をベトナムの費用として営業利益を計算しており、のれんを加味してもベトナムは営業利益で黒字となっています。
海外展開の状況

海外展開の状況です。前回の決算から変更はありません。現在の連結対象はベトナムの2社で、GREEN社は100パーセント、TMC社は51パーセントの出資比率となっています。
2025年12月期 連結決算概要(貸借対照表)

連結貸借対照表です。貯蔵品約3億6,000万円の増加は、「lifte」の自社在庫分です。また、ベトナムの子会社であるGREEN社とTMC社の連結開始により、スライドに記載のとおり、有形固定資産、のれん、借入金等に影響がありました。
契約施設数と解約率(期末月)

契約施設数と解約率の推移です。契約施設数は2,830施設で、前年同期比10.1パーセント増加しました。解約数は99施設で、解約率は3.4パーセントと若干低下しています。また、閉院等を除いた解約率は2.7パーセントです。
解約率の詳細を知りたいというお問い合わせが多かったため、今回からこちらの情報を追加しています。
月間利用者数(期中平均)

月間利用者数の推移です。契約施設数が前年同期比10.1パーセント増加した一方で、利用者数の伸びは7.2パーセント増にとどまり、1施設当たりの利用者数は減少しています。
これは、小規模施設や長期入所型施設の契約増加により、施設数の増加が必ずしも利用者数の増加に直結しない構造へ移行しているためです。この点については、後ほどさらに詳しくご説明します。
開拓率の年度推移

開拓率の年度推移です。主な営業先である大規模から中規模の医療施設については、スライド左上のグラフに示しているとおり、開拓率が20パーセントを超えました。また、病院に次いで優先度の高い介護老人保健施設と介護医療院の開拓率は、スライド左下のグラフで示しているとおり、10パーセントを超えました。
スライド右上および右下のグラフに示している小規模施設においても、契約数は増加しています。1施設あたりの売上規模は小さいものの、今後介護施設数が増加することから、有望な市場であると考えています。
営業対象施設等の施設数推移

当社が営業対象としている施設数の推移です。病院や介護療養型医療施設の数は年々減少傾向にある一方で、有料老人ホームなどの介護施設が増加しています。
有料老人ホームなどの介護施設は、病院に比べて1施設あたりのベッド数が少ないことに加え、長期の利用者が多いという特徴があります。そのため、当社の既存施設においても、利用者数の伸び率は小さくなる傾向にあります。
国内主要指標の年次推移

国内主要指標の年次推移です。2025年の国内売上高は532億1,400万円で、前年比12.6パーセントの成長となりました。期末契約施設数は2,830施設で、前年比10.1パーセントの成長です。国内売上高を施設数で割った施設単価は1,880万円と、年々増加しています。その要因については、次のスライドをご覧ください。
付加価値サービス&商品の導入率年次推移

付加価値サービスと商品導入率の年次推移です。「CSセットR」の導入施設数は354施設で、既存施設全体に対する導入率は12.5パーセントと徐々に伸びています。「CSセットLC」についても、導入施設数が徐々に増加しています。
オリジナル患者衣「lifte」は、2025年に471施設まで導入が進み、導入率は16.6パーセントと大幅に拡大しました。また、要望の多かったマタニティウエアを開発し、2025年より提供を開始しています。
介護施設向け衣類「スマイルウエア」は、2025年に本格的な提案を開始し、現在65施設で導入が進められています。
エムスリーとのシナジー実現件数は100件となりました。具体的な内容はまだお伝えできませんが、エムスリーとの協業による病院経営支援サービスとなっています。
2026年12月期 連結業績予想

2026年12月期の業績予想についてご説明します。まず、2026年12月期の連結業績予想です。2026年12月期は、「CSセット」の新規施設獲得や付加価値向上、新規事業、海外事業等により、売上高において9.7パーセントの成長を目指します。
営業利益率は8.2パーセントとなる見込みで、2026年から「lifte」の減価償却方法を一括償却から3年償却に切り替えることが影響します。
配当予想(2026年12月期)

配当予想です。2025年12月期の1株当たり配当は15円で、配当性向は32.8パーセントです。2026年12月期の1株当たり配当は16円で、配当性向は30.3パーセントを予定しています。
現状分析

資本コストや株価を意識した経営についてご説明します。まず、当社の資本コストとROEの現状認識についてです。2024年2月に開示した「資本コストや株価を意識した経営」に関して、今回あらためて現状認識と課題の再点検を行いました。
資本コストについては、CAPMや益回り法などの算出値に加えて、事業の安定性を考慮し、当社としては7パーセントから8パーセント程度と認識しています。一方、投資家との対話を通じて把握している投資家の期待リターンは8パーセントから9パーセント程度であり、ここには一定のギャップが存在すると認識しています。
この点について、当社の事業特性を簡単に整理します。当社はストック型のビジネスモデルを基盤としており、国内事業は年率約10パーセントで成長しています。また、景気変動の影響を受けにくく、比較的安定した収益構造を有しています。このような特性を踏まえ、資本コストを7パーセントから8パーセントという水準で見ています。
次に、ROEについてです。ROEは2025年に20.5パーセントと資本コストを上回る水準にはありますが、足元では低下傾向にある点を課題として認識しています。
以上を踏まえ、当社としては資本コストを意識しつつ、ROEの改善を今後の重要な経営課題として位置づけています。
現状分析:PBRツリー 継続的に点検を実施

こちらのスライドでは、当社のPBRの構造を、ROEとPERの両面から整理しています。まず、スライド左側のグラフをご覧ください。当社のPBRは2020年以降、継続的に低下しています。PBR低下の要因をROEとPERに分解して整理したのが中央の図です。
はじめにPERについてです。PERは2020年の約63倍から、2025年には約16倍まで低下しています。これは、国内入院セット事業が高成長局面を経て安定成長局面へ移行する中で、将来の成長イメージが投資家にとって見えにくくなっていることが主な要因と認識しています。
事業自体が停滞しているというよりも、成長の次の姿を十分に提示できていないことが、PERの低下につながっていると考えています。
次に、ROEについてです。ROEは2021年をピークに、現在は20パーセント程度まで低下しています。一方、スライド右上のグラフに示しているとおり、親会社株主に帰属する当期純利益は継続的に増加しています。
ROEが低下している主な要因は、利益率の低下と自己資本の積み上がりです。当社としては、PBRツリーを一過性の分析に留めず、継続的に点検しながら改善に取り組む方針です。
前中期経営計画(2023~2025年)の振り返り

ここからは、新中期経営計画についてご説明します。前中期経営計画では、売上高・利益ともに計画未達となりました。その背景には、外部環境や競争環境の変化を十分に織り込めていなかったことに加え、人の力に依存したやや強めの計画設定を行っていた点が挙げられます。
この反省を踏まえ、今後は成長の質と資本効率をより重視した経営に取り組んでいきます。
新中期経営計画(2026~2028年)のサマリー

まず大前提として、CSセット事業は当社にとって当面の揺るがない収益の柱です。医療・介護という社会インフラに深く根ざしており、解約率が低く、継続性と収益予見性が非常に高いです。
しかし、私たちはこの事業を「守りの事業」とは捉えていません。オペレーションの改善、単価構成の見直し、付加価値向上を通じて、これからもお客さまに喜ばれ、着実にキャッシュを生み続ける事業だと考えています。そして重要なのは、この安定したキャッシュフローが次の成長に向けた投資余力を生み出している点です。
一方で、私たちはこの事業だけで永続的に成長できるとは考えていません。医療・介護を取り巻く環境は、制度、コスト構造、人材といった要素がすべて大きく変化しています。だからこそ、私たちは「見えてから投資する」のではなく、見える前から次の成長領域への投資を始めています。
もちろん短期的には利益が押し下げられる局面もあると思います。しかし、将来の競争力を創るための投資を先送りにすることのほうが、中長期の企業価値にとって遥かに大きなリスクだと考えています。
資本効率については、当社はROE25パーセントを目標ではなく下限として設定しています。この数字は単に高い水準を掲げているという意味ではありません。私たちは、事業投資・人材投資・株主還元のすべてにおいて、「この資本の使い方は妥当か」という問いを常に突きつける経営を行っていきます。
成長投資を進める一方で、資本効率を緩めることはありません。今後も安定した基盤でしっかりと稼ぎ、そのキャッシュで将来に投資し、それらすべてを高い資本効率で回していきます。これが、私たちの目指す経営の基本形です。
新中期経営計画(2026~2028年)の数値目標

新中期経営計画における数値目標です。本中期経営計画では、国内「CSセット」の安定成長を収益の基盤としています。足元では、年率約10パーセントの成長を見込む一方で、成長投資やM&A、新規事業を通じて次の成長を取り込んでいきます。
あわせて、価格転嫁の遅れを解消し、仕入れの効率化を進めることで、収益性の改善にも取り組みます。
本中計におけるCSセット事業の重点課題

ここでは、本中期経営計画で最も重要な基盤であるCSセット事業の課題を整理しています。海外を除いた売上高成長率は鈍化し、粗利率の低下や解約率の上昇傾向が見られます。これらは一時的な要因ではなく、事業構造上の課題だと認識しています。
本中期経営計画では、CSセット事業の立て直し、および成長と収益性の両立を実現することを最優先で取り組んでいきます。
中期経営計画におけるROEと人的戦略

本中期経営計画ではROE25パーセントを単なる数値目標としてではなく、経営と組織をどう動かすかを示す軸として位置づけています。
まず、ROEを分解し、売上成長、粗利率、解約率といったKPIを明確に設定しました。これらのKPIは、各執行責任者や部門責任者の成果責任として明確にひもづけています。誰が何で成果を出すのかを曖昧にしない設計です。
さらに、その成果が最終的に報酬に反映される仕組みとして、現在、成果連動型ストックオプションを設計しています。ベクトルを合わせてROEを高めることが、個人の成果として正しく評価される仕組みです。この中期経営計画は、戦略を描くだけではなく、実行と責任までを含めて設計しています。
M&A戦略

本中期経営計画では、M&Aを成長のための重要な選択肢の1つとして位置づけています。方向性は大きく3つあります。
1つ目は、国内での事業基盤強化です。既存事業との親和性が高く、効率化や付加価値向上につながる領域を中心に検討します。
2つ目は、「CSセット」を起点とした病院経営サポート領域です。現場の経営課題に踏み込むことで、提供価値の拡張を目指します。
3つ目は、海外展開です。衛生環境の改善や高齢化といった構造変化を捉え、将来需要が見込める地域に段階的に取り組みます。
キャピタルアロケーション

こちらのスライドでは、キャピタルアロケーションの方向性を示しています。配当については、これまでどおり配当性向30パーセントを維持します。還元を強める局面ではなく、今は成長に資本を使いたいと考えています。
社会環境は大きく変化しており、病院経営や人手不足、社内外を含めたDXの遅れといった課題が確実に深刻化しています。
このような変化に対応し、将来の成長につなげるため、この中期経営計画では成長投資やシステム投資、将来を見据えたM&Aに資本を活用したいと考えています。資本コストや株価、ROEを意識した経営の再点検を継続していきます。
以上をもちまして、2025年12月期通期決算の説明、2026年12月期の業績予想および新中期経営計画についての説明を終了します。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答:粗利率改善の具体的なアプローチについて

質問者:中期経営計画の中でKPIの設定などについてお話ししていただき、力強さを感じました。一方で、粗利率の改善について、どのような方法でどの程度達成しようとしているのかが見えづらいと思っています。粗利率の改善は重要なポイントだと思いますので、考えを教えてください。
峯崎:粗利率の改善に関しては、中期経営計画でも課題として明示しています。当社は単価について、他社と競合した際に値下げを行うことはしていません。その代わりに、いかに付加価値を付けるかに注力しており、単価が上がっても「エランさんがいい」と選んでいただいている状況です。この流れは今後も継続していきたいと考えています。
こちらについて現在は「lifte」や「CSセットR」「CSセットLC」で対応していますが、昨年からエムスリーとの協業を進めており、エムスリーグループとのシナジーを活用した新たなサービスを「CSセット」に付加していく取り組みを開始しました。具体的な内容は現時点では開示できませんが、今後、件数が増えてきた際に公表したいと考えています。
また、若干遅れ気味ではありますが、あらためて価格転嫁を進めていきたいと考えています。金額に関しては、現在のインフレ率などをしっかり加味しながら、病院と打ち合わせを行い、値上げを進めていきたいと考えています。
質問者:端的に言うと、御社は価格設定は変えていないものの、インフレによるコスト増を吸収しきれていない点が大きいと理解しており、値下げ交渉は難しいと思っています。一方で、エムスリーとの協業による共同購入などがあるかはわかりませんが、そのようなグループ戦略が今後1つの要因として期待できるのでしょうか?
峯崎:そちらは販管費に比較的影響を与えると考えておりますので、検討を進めているところです。
質問者:エムスリーとの協業に関する詳細はまだ開示していないとのことですが、トップライン成長に寄与すると考えられるため、今後いろいろな情報が出てくることを楽しみにしています。
質疑応答:中期経営計画における販管費の方向性と戦略について
質問者:販管費について、中期経営計画における今後3年間の方向性や戦略を教えてください。具体的な内容が難しい場合は、定性的なお話でかまいません。
峯崎:先ほどお話ししたとおり、当社はDXの推進がやや遅れていると考えています。一方で、「CSセット」をご利用いただいているお客さま向けの請求システムなどは、2年前にすべてシステム化を完了しています。
あわせて社内作業についてもペーパーレス化を積極的に進めることで、販管費の抑制を図っていきたいと考えています。したがって、システム化をさらに進めていく方針です。
質疑応答:2025年12月期における計画未達の要因について

司会者:「2025年12月期の実績が計画に対して未達となった要因は何でしょうか?」というご質問です。
峯崎:端的にお伝えすると、新規獲得が想定以上にうまく進まなかったというのが正直なところです。こちらを踏まえ、新規獲得および既存顧客のファン化を進めることで、解約阻止に注力していきたいと考えています。
質疑応答:2026年12月期における「lifte」とベトナム事業の方針について
司会者:「2026年12月期の計画について、オリジナル患者衣の投入とベトナム事業について教えてください」というご質問です。
峯崎:オリジナル患者衣「lifte」に関しては、引き続きニーズが非常に高まっているため、それにお応えできるように準備を進めていきたいと考えています。
ベトナムの事業については、ハノイ市にあるTMC社とホーチミン市にあるGREEN社のどちらも、基本的にリネン事業を展開しています。今後の方向性として、「CSセット」やその他事業の可能性について、2026年はしっかりと見極めていきたいと考えています。
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