2025年5月期第1四半の売上高は前年同期比16.3%減の1,573百万円、営業損益は170百万円の黒字で着地した。メディア事業では、収益性の状況や広告市況の不確実性を踏まえて引き続き広告宣伝投資を抑制して事業を運営しているなか、パリ五輪や気象情報などユーザーの興味関心の高いニュースが多くあったためユーザー数は前四半期同水準を維持。また、ゲームエイト事業も前四半期が好調に推移した反動があったが、引き続き国内メディアソリューション事業が安定推移したことに加え、海外事業においても引き続き高い収益性を維持したようだ。海外メディアでは円安の追い風もあったもよう。そのほか、事業ポートフォリオの整理や事業運営コストの改善を進めて前四半期比で約140百万円のコスト削減を実現したことで、第1四半期の営業黒字転換を果たした。通期の売上高は前期比14.2%減の6,300百万円、営業利益は同6.3倍の450百万円を見込んでいる。
同社は、時価総額1000億円を中長期の方針として成長を目指しており、2027年5月期に事業サイドで営業利益/EBITDAが900百万円、ROICが15%以上、投資サイドでIRR30%以上を目指す。まず既存のメディア事業においては「グノシー」の収益性の向上及びKDDIとの協業アプリである「auサービスToday」「ニュースパス」の同社との連携強化に注力し、アクティブユーザー数の維持から拡大を推進する。また、ゲームエイト事業は国内最大のPV数を誇るゲームメディアとして競合も少ない。大きなヒットタイトルがない中でも国内・海外ともにPVは堅調に推移しており、高い収益力を有している。国内の底堅い成長に加えて、特に海外においてはまだまだ成長余地が残っており、SC(Store and Commerce)事業の開始と相まってゲームエイト事業も業績を押し上げる柱として寄与するだろう。さらに、投資事業に関しては、インドの「slice」が持分法適用関連会社から除外されることになったと発表しているが、投資に関してはグループの中長期における成長の重要な柱であることに変わりはないとして、従前と同様に長期保有する方針であるとしている。インドのクレジットカード普及が遅れているなかで、「slice」の成長はかなり注目しておきたいところ。株価は低迷が続いているが、総じて、前年同期比6億円とかなりのコスト削減が進んでいるなか、グノシー単体の営業黒字化・ゲームエイト事業の好調・「slice」の将来性が実態として表れてきており、業績の転換点を迎えている同社の今後の動向にはかなり注目しておきたい。
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