6日の米株式市場でダウ平均は350.76ドル安(−1.03%)と大幅続落。利上げ長期化を懸念した売りが先行。また、ゴールドマン・サックスの最高経営責任者(CEO)が景気後退に備えてボーナス減額や人員削減を示唆。バンク・オブ・アメリカやJPモルガンなどの金融各社のCEOも来年の経済に悲観的な見方を示したため、景気後退懸念が強まるなか一段と売りが広がった。ナスダック総合指数は−2.00%と大幅に3日続落。米国株安を引き継いで日経平均は215.58円安からスタート。一方、為替の円安進行を支援要因に寄り付き直後からは下げ渋る展開となり、前場中ごろには27786.25円(99.62円安)まで下げ幅を縮めた。ただ、景気後退懸念も根強く、その後は騰勢一服となり膠着感の強い展開となった。
個別では、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の下落を受けてレーザーテック<6920>、東エレク<8035>、ソシオネクスト<6526>など半導体関連株が大きく下落。自動運転計画のネガティブな報道を背景に米アップル株が下落したことを受け、イビデン<
4062>、新光電工<6967>、TDK<6762>など関連株が大幅安。メルカリ<4385>、SHIFT<3697>などグロース株も冴えない。東京一番フーズ<3067>は立会外分売実施による需給悪化懸念で急落。
一方、三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>、みずほ<8411>、りそなHD<8308>の銀行や、東京海上<8766>、第一生命HD<8750>の保険などが堅調。大阪チタ<5726>、東邦チタニウム<5727>が揃って大幅高で、三菱マテリアル<5711>、住友鉱<5713>などその他の非鉄金属も上昇。日本製鉄<5401>、JFE<5411>の鉄鋼は中国の経済再開期待から続伸。韓国子会社が大手鉄鋼メーカーポスコ子会社とイオン交換膜スタックモジュールの供給に関する基本合意書を締結したダブル・スコープ<6619>は急騰。著名個人投資家の保有比率の拡大が判明した住石HD<1514>も急伸している。
セクターでは鉱業、電気機器、海運が下落率上位となった一方、非鉄金属、電気・ガス、銀行が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の29%、対して値上がり銘柄は66%となっている。
日経平均は反落も、前日と同様、朝安後は切り返して下げ渋る展開となっている。
日足チャートでは引き続き75日移動平均線がサポートラインとして機能している形だ。米国株が連日で大きく下落したのに対して下落率が軽微にとどまっているのは、為替の円高進行が一服していることが大きいだろう。先週末には一時1ドル=133円台を付ける場面があったが、本日は137円程度まで戻している。
一方、米国株は厳しい状況が続いている。前日の米株式市場で主要株価指数は寄り付きから取引終盤までじわじわと下げ幅を広げる展開となった。米大手銀行の各CEOから景気の先行きに対して悲観的なコメントが相次いだことなどを背景に、ロングオンリー(買いのみで空売りをしない)の長期目線の投資家による現物株の持ち高削減が粛々と進められたほか、ショートカバー(空売りの買い戻し)をしていたヘッジファンドなども午後は再度売りに転じていたとの指摘が聞かれた。
一昨日にはブルームバーグ通信が匿名条件の関係者の話として、電気自動車大手テスラが需要動向を勘案して、中国・上海工場で減産に踏み切る方針とも報じていた。12月に入って、大手企業から雇用削減や需要鈍化のメッセージが増えてきている点は非常に気掛かりだ。
また、直近の7−9月期決算の際には、SaaS型のクラウドサービスなどを提供する米国のIT企業の多くが、決算説明会にて景況感の悪化を背景とした契約サイクルの長期化を口にしていた。米国で不況の音は確実に近づいているようだ。
5日に大きく反発した米10年債利回りは景気後退懸念が重くのしかかる中、6日は再び低下した。米長期金利が再び急ピッチで上昇してこない限り、株価収益率(PER)の低下を通じた株価下押し圧力は限定的だろう。しかし、企業から景気先行きに対する悲観的なメッセージが止まないと、年明けに控える10−12月期決算への警戒感から、予想一株当たり利益(EPS)の低下を通じた株価の下落が続くことになりそうだ。
(仲村幸浩)
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