栗本鐵工所、国土強靭化を追い風に成長戦略を加速 老朽化する社会インフラの更新需要を取り込み増配へ向け堅調に推移
目次

菊本一高氏:本日はお忙しい中、クリモトグループの2025年度第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長の菊本です。
本日の流れはスライドのとおりです。よろしくお願いします。
2025年度 第2四半期業績概要

それでは、2025年度第2四半期決算についてご説明します。足元の日経平均は本日も5万円を超えており、金融市場は活況が続いています。
一方で、エネルギーや原材料価格の高騰などによる物価上昇が続き、依然として先行き不透明な状況下にあります。
このような中で、当社グループは中期経営計画に基づき、持続的な成長と企業価値の向上を目指し、収益力強化に向けた施策に取り組んできました。
結果として、2025年度第2四半期の実績は、前年同期比で売上高が4億5,700万円減収の584億5,300万円、営業利益が2億1,700万円増益の31億8,500万円、経常利益が1億2,100万円増益の33億1,300万円、四半期純利益が5億1,300万円増益の30億1,500万円となりました。
なお、期初予想に対しては、利益面で増益となっています。
セグメント別業績

各セグメントの業績についてはスライドのとおりです。グループ売上高の構成割合は、ライフラインセグメントが約50パーセント、機械システムセグメントと産業建設資材セグメントがそれぞれ約25パーセントです。
事業セグメント別概況

それでは、セグメントごとの概況について、スライドを用いてご説明します。
ライフラインセグメントにおいては、売上高はパイプシステム部門でグループ会社を含め好調に推移しましたが、バルブシステム部門で昨年度に利益率の高い大型の民需案件があり、今期はその反動の影響により、前年比4,600万円減収の293億700万円となりました。
営業利益は販売管理費の増加などが影響し、前年比9,800万円減益の17億6,100万円となりました。
事業セグメント別概況

機械システムセグメントについてですが、売上高は素形材部門で破砕機本体や鋳物部品が順調に推移したものの、機械部門における前年度の受注減少の影響を受け、前年比10億3,200万円減収の138億3,600万円となりました。
営業利益については、利益率の改善や販売管理費の削減があったものの、減収の影響を補い切れず、前年比1億9,100万円減益の7億3,900万円となりました。
事業セグメント別概況

産業建設資材セグメントについては、建材部門での空調および産業消音関連の増加に加え、化成品部門で小水力発電向け導水管や下水道関連製品が順調に出荷したこと、さらにグループ会社の増収が寄与し、売上高が前年比6億2,100万円増収の153億900万円となりました。
営業利益は、増収に加え、前年同期に建材部門のグループ会社で発生した追加工事費用の先行計上がなかったことで粗利率が大幅に改善し、前年比4億7,900万円増益の7億6,600万円となりました。
2025年度 通期業績予想

続きまして、2025年度の通期業績予想についてご説明します。売上高、営業利益、経常利益は前年比で減収減益を予想していますが、当期純利益については政策保有株式の縮減に伴う特別利益の計上などにより、前年並みを計画しています。
セグメント別業績(通期)

各セグメントについて、スライドを用いてご説明します。
ライフラインセグメントは、引き続き物価高や水道事業に携わる人材不足などの諸問題が継続しているものの、国土交通省が進める上下水道耐震化計画の影響が少しずつ表れることも期待されるため、増収増益を見込んでいます。
機械システムセグメントは、原材料・エネルギー・輸送コストの高騰や労務費の上昇に加え、2024年度に受注を予定していた複数案件において、お客さま都合による見送りや延期が影響し、減収減益の見込みです。
産業建設資材セグメントは、インフラ更新需要の取り込みによる増収を見込む一方で、前期に建材部門のグループ会社で発生した追加工事による特別利益計上案件などがないため、減益となる見込みです。
昨年公表した中期経営計画の目標値に対しては、セグメントごとの増減はあるものの、調整額を含めた合計値に変更はありません。
株主還元

続きまして、株主還元についてご説明します。当社は、株主のみなさまへの利益還元を最重要政策の1つと位置づけ、中期3ヶ年経営計画の株主還元目標に基づき、配当性向50パーセント以上を目指しています。
今年度の配当は57.6円としており、2022年度以降、4期連続の増配を予定しています。
なお、10月1日に1対5の株式分割を実施しており、過年度の配当額は便宜上、修正して記載しています。
国土強靭化実施中期計画

次に、当社事業に関連するトピックスをご紹介します。まず、2025年6月に閣議決定された国土強靱化実施中期計画の概要についてご説明します。
この計画は、自然災害に強い国づくりや地域づくりを目指した国家的な取り組みで、政府が策定した5つの基本方針に基づきます。2026年度からの5年間で、約20兆円規模の施策が計画されています。
5つの基本方針の中で、当社が大きく貢献するライフラインの強靭化には、約10.6兆円の投資が予定されています。
国土強靭化実施中期計画

ライフラインの強靱化とは、災害時においても人々の生活や社会機能を維持するために、電気、ガス、水道などの基盤インフラを強化する取り組みです。当社が貢献できる製品およびサービスは、ライフラインセグメントと産業建設資材セグメントに存在します。
国内水道事業の市場環境

まずは、ライフラインセグメントの市場環境についてご説明します。
日本国内の上水道管の総延長は約74万キロメートルで、地球18周分に相当する長さです。そのうち、当社を含む国内メーカーが製造するダクタイル鉄管が約40万キロメートルで、総延長の54パーセントを占めています。
水道管の多くは高度経済成長期に埋設されており、国土交通省によると2022年時点で耐用年数を超えた上水道管が20パーセントを超えている一方で、更新率は0.6パーセントにとどまっています。このペースでは、すべてを更新するのに150年以上を要する計算になります。
ニュースでも水道管の破裂が多く報道されており、老朽化は深刻な社会問題となっています。耐用年数を超えた水道管は、20年後には69パーセントにまで上昇すると予想されています。
水道管路DB方式 (Design-Build=設計と施工を一括受注)

水道管の更新率が低迷している要因の1つとして、水道事業に携わる人員の減少が挙げられます。エンドユーザーである地方自治体では、2001年から2022年までの約20年間で人員が約3割減少しています。
そこで当社は、複数の企業と連携し、水道管のDB方式での受注を増やしています。DBとはデザインビルドのことで、設計から施工までを一括で受注する方法です。DB方式のメリットは、主要公共自治体の業務負担やコストを軽減し、工期の短縮にもつながることです。
当社は2024年度までに15件の受注をいただいており、今年度もすでに2件を受注しています。着実に実績を積み重ねることでノウハウを蓄積し、お客さまの課題解決につなげていきます。
DB方式以外にも、老朽化した水道管の更新や、近い将来予想される大地震などの災害対策として耐震化を進め、引き続き国土強靭化に貢献していきます。
道路インフラの現状

続いて、産業建設資材セグメントについてです。老朽化が進んでいるのは水道管だけではなく、道路インフラも同様です。高度経済成長期に大規模なインフラ整備が行われた影響で、日本国内には橋梁がおよそ73万ヶ所存在し、2024年度末にはその42パーセントが建設後50年を経過しています。
さらに、今後10年間で約65パーセントまで上昇すると予想されています。国土交通省が推進する予防保全型メンテナンス方針に合致する製品として、今年度より販売を開始した「FSグリッド」をご紹介します。
FSグリッド(道路床版の延命工法)

建設後50年を経過した橋梁が多数存在していると、特に劣化が著しい部分では道路床版の取り替えが必要となり、長期にわたる道路封鎖や交通規制が必要になるなど、大量のヒト・モノ・カネを要します。
そこで、当社はこのような課題を解決するために、株式会社IHIさまのグループ会社と共同で「FSグリッド」を開発しました。スライド左の図は橋梁部分を下から見たもので、薄い緑色の部分が「FSグリッド」を示しています。「FSグリッド」を使用することで、床版を交換することなく下から支える工法が可能となり、長期間にわたる延命が実現します。
また、スライド右の図に示されているとおり、従来の工法に比べ、ひび割れから抜け落ちまで幅広い損傷度に対応しています。この技術はすでに首都圏の有料道路で採用されており、2030年には数十億円の売上が見込まれています。老朽化が進む床版の延命工法として注目を集めています。
今後、大きな需要が見込まれる「FSグリッド」を製造している滋賀県の湖東工場では、量産化に向けて大規模な投資を進めています。
菊本氏からのご挨拶
私たちクリモトグループは、今後もチームクリモト一丸となってさらなる企業価値の向上を目指し、焦らず、力まず、諦めずに一歩ずつ着実に歩を進めていきます。ステークホルダーのみなさまには、今後ともご高配を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
以上をもちまして、2025年度第2四半期のクリモトグループ決算説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。
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