品川リフラクトリーズ<5351>は、株主への安定した配当を確保しつつ将来の増配を心掛け、併せて企業体質の強化のため内部留保の充実を図ることを利益配分の基本方針としている。2024年3月期は、2023年10月1日に普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行った。分割修正後の中間配当金は1株当たり32.0円(修正前160円)とし、期末配当金を36.0円(修正前180円)、年68.0円(修正前340円)とした。前期の分割修正後の1株当たり配当金は40.0円(修正前200円)であり、28.0円の増配となる。1株当たり年間配当金は、第5次中期経営計画前の2021年3月期との比較では3倍強になる。
第5次中期経営計画より配当性向の基準を20%から30%に引き上げ、2022年3月期は期初に予定していなかった環境対策引当金繰入の特別損失が発生したものの、1株当たり配当金は当初計画どおりで配当性向を33.5%となった。2023年3月期は22.5%と基準となる30%を下回ったが、特別利益の固定資産売却益の影響を除外すると実質的におおむね30%となった。2024年3月期も20.7%と基準の30%を下回るが、固定資産売却益の影響額を除外すると実質的におおむね30%となる。特別利益・損失の発生が配当性向を変動させるものの、配当政策に沿って安定配当と本業の利益拡大により増配を心掛けていることが見て取れる。さらに、株式市場の高騰を利用して政策株の売却を進め、得られた資金を活用して2023年11月から2024年3月末までに自己株式1,220千株、2,249百万円を取得した。自己株式の取得も含めた総還元性向の観点から株主還元の充実を進めていく強い姿勢がうかがえる。
第6次中期経営計画においては、配当方針として配当性向の目標を40%に引き上げることとした。一方、同社はキャッシュ・フローをM&Aを含めた成長投資に優先的に振り向ける考えだ。また、のれんの償却の増加により利益が圧縮され配当性向を40%としていても配当金の総額が変動することも想定されるが、基本的に利益還元の総額を維持すべく、キャッシュ・フローの状況を踏まえながら自己株式取得を機動的に行い、総還元性向の観点から持続的な利益還元の充実を図る方針だ。2025年3月期の1株当たり年間配当金は前期比22.0円増配の90円(中間45.0円、期末45.0円)、配当性向は41.0%としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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