2. 財務状況
2023年9月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比315百万円増加の3,746百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現預金が54百万円減少し、営業債権及びその他債券が33百万円増加した。また、非流動資産は使用権資産が241百万円、無形資産が68百万円、繰延税金資産が51百万円それぞれ増加した。無形資産は新「Knowledge Suite」の開発進展に伴うソフトウェア資産の増加となる。
負債合計は前期末比245百万円増加の2,653百万円となった。契約負債が53百万円、リース負債が239百万円増加した一方で、有利子負債が97百万円減少した。また、資本合計は前期末比70百万円増加の1,093百万円となった。主に親会社の所有者に帰属する当期利益30百万円の計上と、新株発行20百万円によるものである。
経営指標を見ると、親会社所有者帰属持分比率は前期末比0.6ポイント低下の29.2%となったものの、有利子負債比率は借入金の返済により同20.0ポイント低下の154.1%となり、財務体質はやや改善した。同社はストック型のビジネスモデルで安定した営業キャッシュ・フローが見込まれることから、財務面でのリスクはないと判断される。実際、営業キャッシュ・フローから投資キャッシュ・フローを引いたフリーキャッシュ・フローは159百万円と2期連続でプラスとなっている。SaaS収入の積み上がりにより営業キャッシュ・フローが増加したことに加えて、M&Aなどの投資が一段落したことが要因だ。
収益性に関しては既述のとおり、減損損失を計上したことから一時的に低下したものの、実際の収益力は低採算事業からの撤退や人材投資の方針を転換したこともあり向上しており、2024年9月期の目標として設定した営業利益率10%の達成も視野に入っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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