2. 財務状況
同社の財務状況は、総資産が6,774百万円となり、前期末から690百万円減少した。主に、現金及び預金が758百万円増加した一方で、売掛金及び契約資産が2,023百万円減少したことによる。負債合計は3,003百万円となり、同986百万円減少した。特に買掛金が532百万円、短期借入金等が315百万円、長期借入金が155百万円減少した。この結果、有利子負債は470百万円減少し、財務健全性が向上した。純資産は3,771百万円となり、同295百万円増加した。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益342百万円の計上及び、配当金60百万円の支払いによる。
流動比率は、前期末の184.8%から206.2%へと21.4ポイント改善している。流動比率の向上は、短期的な支払い能力が高まったことを示している。短期借入金等や買掛金の減少が流動負債の縮小に寄与した。このことから、同社は短期的な財務リスクを抑えつつ、運転資本の管理を強化していると言える。自己資本比率も55.4%と前期末比9.1ポイント上昇しており、健全な財務基盤を維持していることが伺える。
3. キャッシュ・フロー計算書
同社のキャッシュ・フローにおいては、営業活動によるキャッシュ・フローが大幅に改善している点が特筆される。1,733百万円の資金流入は、売上債権の効率的な回収と仕入債務の適切な管理によるもので、同社の営業運営の健全性が示されている。投資活動によるキャッシュ・フローは441百万円の資金流出となった。これは主に有形固定資産への積極的な投資によるものであり、将来的な成長に向けた基盤強化の一環と捉えられる。財務活動によるキャッシュ・フローは534百万円の資金流出となった。特に短期借入金の減少や長期借入金の返済が影響している。これは、同社が財務健全性を維持しながら、負債の削減に取り組んでいる姿勢を示している。全体として、同社は営業活動から得たキャッシュをもとに、適切な投資と財務戦略を展開しており、現金及び現金同等物の増加によって、短期的な資金繰りの安定性を確保していることが評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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