新田ゼラチン、FY24売上高は過去最高を記録、FY25は過去最高益へ 新中計の下で高収益企業への転換を目指す
2024年3月期決算説明
竹宮秀典氏:みなさま、こんにちは。新田ゼラチンの竹宮でございます。
本日は、2024年3月期の決算と、今般策定いたしました、新たな中期経営計画について、説明させていただきます。
まず、2024年3月期の決算について、説明いたします。
2024年3月期 連結損益計算書
売上高は、前期比プラス12億3,400万円の、404億2,000万円となりました。営業利益は、前期比マイナス4億2,200万円の、18億3,600万円となりました。北米の生産拠点であるニッタゼラチンユーエスエーにおける、生産性の悪化が主な要因で、営業利益率も低下いたしました。
経常利益は、営業外収益において為替差益を計上したことにより、増益となりましたが、ニッタゼラチンユーエスエーの閉鎖決定や、インドでゼラチンの原料を製造するバムニプロテインズの一時的な操業停止に伴う減損損失などを特別損失に計上したことにより、最終利益は、18億5,000万円の純損失となりました。
本年2月13日の第3四半期決算に合わせて発表した業績予想との比較はご覧のとおりです。
2024年3月期 販売概況
次に、販売概況について説明いたします。
販売区分別では、フードソリューションは、日本でのグミキャンディー向けゼラチンの需要増に加え、価格改定の進展が寄与し、増収となりました。
ヘルスサポートも、国内外でカプセル用ゼラチンが伸長したことなどにより、増収となりましたが、スペシャリティーズは、海外での副産物の販売が市場価格の低下により減少したことから、減収となりました。
地域別では、北米でインフレの影響による需要の低下や、価格競争の激化などにより売上が減少したものの、日本及びインドで大きく伸長いたしました。
2024年3月期 連結貸借対照表
次に、連結貸借対照表について説明いたします。
まず、資産の部です。現金及び預金は、売上高の増加と、資金効率の向上により増加しました。
棚卸資産は、コロナ禍でのサプライチェーンの混乱に対応するために原料在庫を積み増しした影響により、依然として高い水準にはあるものの、前期末からは減少いたしました。
その結果、流動資産は1億8,000万円減少しました。固定資産は、ニッタゼラチンユーエスエーとバムニプロテインズの減損損失などにより、有形固定資産が減少したため、14億7,200万円減少いたしました。
負債・純資産の部では、短期及び長期借入金等が減少したことなどにより、負債合計は16億6,500万円減少いたしました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことで、利益剰余金が減少したものの、非支配株主持分などが増加し、対前期では微増となりました。
以上の結果、総資産は前期末に対して16億5,200万円減少の、399億6,200万円となりました。
2024年3月期 キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書について説明いたします。
営業活動によるキャッシュ・フローは、経常利益の増加や、売上債権及び棚卸資産の減少などにより、増加いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、生産設備の維持・更新のための有形固定資産の取得などにより支出が増加し、マイナスとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少などにより、マイナスとなりました。これにより、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末から4億5,000万円増加の、32億9,700万円となりました。
連結子会社の生産停止の影響について
ここで、2024年3月期に発生した、2つの連結子会社の生産停止について、説明いたします。
ニッタゼラチンユーエスエーは、北米で豚皮ゼラチン、豚皮コラーゲンペプチドなどを製造・販売していましたが、生産性の悪化などにより、今後も安定的な収益確保は困難であると判断し、2024年1月をもって生産を停止いたしました。
2024年3月期には、多額の営業損失、特別損失を計上することとなり、連結業績に大きく影響しました。閉鎖後の施設に関しては、引き続き売却などの検討を進めております。
また、今後の北米での販売については、ニッタゼラチンユーエスエーで生産を行っていた分は減少しますが、もともと日本やインドから供給していた牛骨ゼラチンなどの販売は継続いたします。
拠点の閉鎖は大変厳しい経営判断ではありましたが、この決定により、2025年3月期には、グループ全体の収益性は大幅に改善する見込みです。
一方、インドのバムニプロテインズは、ゼラチンなどの最終製品ではなく、ゼラチンの原料となる牛オセインの製造を行っている会社で、現地の公害管理局の指示により、2024年3月中旬から操業を一時停止しております。
これにより、経営環境が悪化し、減損の兆候が見られたため、2024年3月期において、減損損失などを計上いたしました。
生産再開の時期については現時点で見通しが立っておらず、生産再開までの期間は代替生産に伴うコスト増が発生するものと想定しており、連結業績への影響については、次に説明いたします、2025年3月期の業績予想に織り込んでおります。
2025年3月期 業績予想
2025年3月期の業績予想について説明いたします。
売上高は、ニッタゼラチンユーエスエーの生産停止による販売減少により、全体では減少するものの、グミキャンディー向けやカプセル用ゼラチンの好調な需要を背景に、日本、インドでの売上が拡大すると予想しています。
利益面では、原材料価格や人件費をはじめとする各種コストの上昇や、高止まりが懸念されるものの、ニッタゼラチンユーエスエーの生産停止により収益性が大幅に改善し、営業利益は過去最高の30億円となる見通しです。
また、前期に計上していた特別損失がなくなることから、親会社株主に帰属する当期純利益は、16億円を予想しています。
設備投資・配当の状況
設備投資と配当の状況について説明いたします。
設備投資は、インドへのコラーゲンペプチドの生産能力増強や、ERP導入といった戦略投資と、各工場での安定生産・効率化などを目的とした更新投資に、21億円を投じる計画です。
減価償却費は、ニッタゼラチンユーエスエーの減損処理の影響などにより、前期より減少する見込みです。2025年3月期の年間配当は、前期の16円から2円の増配となる、18円を予定しています。
決算及び業績予想に関するご説明は以上です。
2024-2026中期経営計画
ここからは、今般策定いたしました、2026年度を最終年度とする3ヵ年の新たな中期経営計画について説明させていただきます。
2024-2026中期経営計画 目次
内容はご覧のとおりです。
1.本中計の概要(1)位置づけ
まず、本中計の概要について説明いたします。
当社は、「コラーゲンを通じて人々のQOL向上に貢献する」という2030年ビジョンの達成に向け、高収益企業への転換と、持続的な成長を実現するため、本年度より新たな中期経営計画をスタートさせます。
2030年ビジョンは、2022年6月に当社の事業戦略において公表していたビジョンはそのままに、前中計の結果や環境変化をふまえて戦略を見直し、売上高・営業利益の目標を上方修正し、かつ1年前倒しでの達成を目指す内容に変更したものです。
この2030年ビジョンの達成に向け、2027年3月期までの3年間を「収益力及びキャッシュ創出力の抜本的強化を図る期間」と位置づけ、取り組みを進めてまいります。
1.本中計の概要(2)テーマ
本中計の基本方針はご覧の3点です。
これらの施策に取り組むことで、「収益力及びキャッシュ創出力の 抜本的強化」を目指します。詳細については、後ほど説明いたします。
1.本中計の概要(3)KPI
本中計のKPIはご覧のとおりです。
本中計の最終年度である、2027年3月期の目標として、連結売上高430億円、連結営業利益35億円、親会社株主に帰属する当期純利益20億円を目指します。
また、収益力及びキャッシュ創出力の抜本的な強化を図るべく、ROE 9パーセント、ROIC 7パーセント、キャッシュ・コンバージョン・サイクル5ヵ月を指標に掲げてまいります。
2.前中計の振り返り(1)概要
前中計について振り返ります。
当社は、2022年3月期からの3年間、10年後の長期ビジョンとして、「コラーゲンを通じて人々のQOL向上に貢献する」ことを目指し、注力市場に経営資源を重点配分し、高収益な会社になることなどを経営方針に掲げ、取り組みを進めてまいりました。
2.前中計の振り返り(2)連結業績
連結業績につきましては、売上高は国内のグミキャンディー、国内外でのカプセル用ゼラチン等の伸長により中計2年目で目標を達成し、同じ年には営業利益も目標を上回ったものの、ニッタゼラチンユーエスエーの業績不振により、最終年度の利益目標は未達に終わりました。
2.前中計の振り返り(3)注力市場
重点戦略に掲げていた注力市場については、売上高・営業利益ともに目標未達となりました。「業務用市場」「新しい食ニーズ」「直販事業」といったBtoC市場では、商品力や開発力、認知度の向上など、課題が残る結果となりました。
一方、BtoB市場では、「海外コラーゲンペプチド市場」においては 「Wellnex」ブランドが着実に浸透し、また、「バイオメディカル事業」においても案件数が着実に増加するなど、一定の成果を収めることが出来ました。
2.前中計の振り返り(4)NGU生産停止
前中計における大きな反省点が、ニッタゼラチンユーエスエーの生産停止です。
ニッタゼラチンユーエスエーは、北米の拠点として、ゼラチンとコラーゲンペプチドの生産を行ってまいりましたが、業績不振が続いており、今後も安定的な収益確保が困難であることから、今後の成長分野にリソースを集中させていくことが、当社グループ全体の企業価値向上に資すると判断し、2024年1月をもって生産を停止いたしました。
ここに至った背景としては、設備の老朽化や、アメリカの高い離職率により現地スタッフの習熟が進まなかったことなどによる生産性の悪化、近年のエネルギーコストや人件費などの高騰に加え、北米における市況が急速に悪化したことなどにより、収益性が著しく悪化し、グループ全体の業績にも影響を及ぼす結果となりました。
生産停止により、足元の業績は回復する見込みですが、将来に向けた持続的成長を実現するためには、グループ全体の収益を安定させるための経営基盤の強化に注力していく必要があると考えています。
2.前中計の振り返り(5)有利子負債増加
有利子負債の増加も大きな課題であると認識しています。
コロナ禍でのサプライチェーンの混乱に起因する在庫水準の上昇に加え、ニッタゼラチンユーエスエーの業績悪化に対する支援を行ったことにより、新田ゼラチン単体の有利子負債は増加いたしました。
経営を安定化させるためには有利子負債の削減が喫緊の課題であり、スピード感をもって取り組む必要があります。
3.本中計の基本方針 収益力及びキャッシュ創出力の抜本的強化
ここからは、本中計の基本方針について説明させていただきます。本中計のテーマは、収益力及びキャッシュ創出力の抜本的強化です。
図にお示ししているのは、事業収益性・効率性と中長期的な成長性の2軸において、当社の4つの事業をマッピングしたものです。
ゼラチンは生産体制の最適化、コラーゲンペプチドは戦略的投資によるコスト競争力の拡大、食品材料は商品構成の見直しによる効率性の向上、バイオメディカルは売上の拡大など、各事業の収益性・効率性の課題に取り組むことで、バイオメディカル以外の3つの事業について、5パーセント程度と推計される当社のWACCを超過し、7パーセント程度の資本効率性を目指します。
なお、当社ではこれまで、フードソリューション、ヘルスサポート、スペシャリティーズという、販売区分別での事業戦略をお示ししておりましたが、よりスピード感のある業績管理を実現するため、2025年3月期より、ゼラチン、コラーゲンペプチド、食品材料、バイオメディカルの4つの製品区分別での情報開示を行う方針に変更いたします。
3.本中計の基本方針(1)収益力の抜本的強化 1)生産体制の再編によるコスト競争力の強化と供給能力の拡大
基本方針の1つめ、収益力の抜本的強化に向けた取り組みについて説明いたします。
1点目は、生産体制の再編によるコスト競争力の強化と供給能力の拡大です。
具体的には、収益性の低いニッタゼラチンユーエスエーでの生産を停止するとともに、コスト競争力の高いインド拠点の生産能力を拡大することで、ゼラチン事業とコラーゲンペプチド事業の収益構造を強化するものです。
コラーゲンペプチドについては、ニッタゼラチンインディアにおける現在の年間600トンの生産能力に対し、2025年6月までに550トンの増強を行います。
ゼラチンについても、詳細は計画中ではありますが、本中計期間中に生産能力の拡大に着手する予定です。
そして、ゼラチンについては、日本で生産する牛骨ゼラチンと合わせ、「高品質」又は「高レベルのハラル基準」が求められる市場へ、高付加価値のゼラチンを拡販していく計画です。
また、コラーゲンペプチドについては、海外の代理店との緊密な連携のもとで、当社の機能性コラーゲンペプチドである「Wellnex」ブランドのさらなる浸透を図るとともに、次世代高機能品の開発にも取り組みます。
3.本中計の基本方針(1)収益力の抜本的強化 2)バイオメディカル事業の黒字化
2点目は、バイオメディカル事業の黒字化です。
バイオメディカルについては、日本における専門家ネットワークを活用した医療分野でのさらなる利用拡大と、中国をはじめとする海外での拡販により営業利益の黒字化を実現いたします。
2022年12月に新設した「みらい館」の本格稼働により、生産能力は拡大しており、海外向けの販売拡大を中心に売上高を伸ばしていくことで、固定費を吸収し、2027年3月期での収益貢献を目指します。
同時に、自社における研究開発とともに大学や企業とのネットワークも活用することで、医療用途における複数のパイプラインを着実に推進してまいります。
3.本中計の基本方針(2)財務戦略 1)設備投資
ここからは、基本方針の2つめに挙げております財務戦略について説明いたします。
まず、設備投資については、将来の成長に向けた事業基盤を強化すべく、3ヵ年で100億円の戦略・更新投資を行う計画です。
キャッシュインは、後ほど説明いたしますキャッシュ効率化の効果20億円も含めた営業キャッシュ・フロー130億円に、インドでの戦略投資に向けた資金調達10億円を合わせ、3ヵ年累計で140億円となる見込みです。
これを、インドでの生産設備拡張やERP導入といった戦略投資、安定生産の確保や効率化、環境対応などを目的とした更新投資と、有利子負債の返済及び株主還元に充当していく考えです。
3.本中計の基本方針(2)財務戦略 2)配当方針
次に、配当方針です。
配当については、従来の方針である、DOE 1.5パーセント以上の水準を安定的に確保したうえで、本中計最終年度において2.0パーセント以上に引き上げることを目指します。
2025年3月期の年間配当については、前期から2円の増配となる18円を配当予想としております。
3.本中計の基本方針(2)財務戦略 3)PBR改善 -目標値-
次に、PBRの改善に向けた取り組みについて説明いたします。
まず、目標値ですが、2024年3月末時点の当社のPBRは0.7倍と、1倍に満たない水準にあります。
これを、本中計でお示ししている方針に沿って、収益力およびキャッシュ創出力の抜本的強化を図ることで、本中計期間中にPBR 1倍以上に改善し、さらなる向上を目指します。
2027年3月期のROEが、目標である9パーセントを達成すると仮定した場合、PBRを1倍にするための株価水準は、1,100円以上となります。収益力の強化とともに、株主・投資家の皆さまからの評価も意識した経営戦略を推進してまいります。
3.本中計の基本方針(2)財務戦略 3)PBR改善 -取り組み方針-
PBR改善に向けた取り組み方針はご覧のとおりです。
ROEは、ニッタゼラチンユーエスエーの閉鎖に伴う利益水準の回復により大幅に改善する見込みであり、営業利益率の向上、財務レバレッジコントロールにより、さらなる改善を目指します。
一方、PERは業界平均値を下回っており、株式市場とのコミュニケーション強化による期待成長率の向上や、事業リスクの低減といった改善施策に取り組んでまいります。
3.本中計の基本方針(2)財務戦略 4)キャッシュ創出力の強化
財務戦略の最後に、キャッシュ創出力の強化については、運転資本の効率化を進め、キャッシュ・コンバージョン・サイクルを現状の5.9ヵ月から、中計最終年度において5.0ヵ月まで短縮することで、3ヵ年で20億円のキャッシュを創出する考えです。
3.本中計の基本方針(3)収益安定のための経営基盤強化 1)事業基盤の再構築
基本方針の3番目として、収益安定のための経営基盤強化について、説明いたします。
まず、事業基盤の再構築です。ニッタゼラチンユーエスエーなど、前中計の反省を踏まえ、収益を安定させ、持続的な成長を実現するための事業基盤の再構築を図ることが急務であると考えています。
原料調達においては、原材料の安定的調達と、価格変動への対応力強化に取り組みます。生産設備の面では、生産キャパシティの拡大による安定生産体制の構築を進めます。
生産工程では、スタッフの習熟度に依存しない生産体制を確立いたします。販売においては、法・規制リスクの抑制と、収益性を意識した販売戦略の推進に努めます。
3.本中計の基本方針(3)収益安定のための経営基盤強化 2)グローバルガバナンスの強化
次に、こちらも前中計において課題が明確になったグローバルガバナンスを強化すべく、各施策を推進します。
グループ全体のリスクを抑制するため、コンプライアンスをはじめとするグループ全体の方針や規程の浸透を徹底するとともに、本社による子会社への品質指導などにより、品質管理体制の強化を図ります。
また、迅速な経営判断を行うべく、事業別ROICの導入による事業評価と投資判断の高度化や、業績管理区分の変更に取り組みます。このように、攻めと守りのガバナンスの双方を強化することで、本社と子会社が一体となった、持続的な企業価値の向上を目指します。
これらの取り組みに並行して、将来にわたるグローバルガバナンスの強固な仕組みを構築すべく、本社による子会社のモニタリング強化や、ERPの導入も進めてまいります。
3.本中計の基本方針(3)収益安定のための経営基盤強化 3)人的資本の価値向上
最後に、人的資本の取り組みについて説明いたします。
企業にとって、人材は重要な資本であり、当社グループの価値観をグループ全体で共有し、従業員と組織を活性化していくことで、持続的な成長を実現できるものと考えています。
やる気を引き出す人事制度への改正、学び、挑戦する機会の提供、計画的な後継者育成 といった施策を進めることで、従業員と組織の双方を活性化させ、持続的成長と企業価値の向上を目指してまいります。
以上で私からの説明を終わります。ご視聴いただき、ありがとうございました。
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