インバウンド需要と内需の緩やかな回復という追い風の中、業績好調
化粧品大手。高級化粧品からプチプラコスメまで価格帯別にブランド展開。
化粧品業界はリーマンショック以降、それまでの右肩上がりの成長から減収基調に転じました。しかし、コーセーはいち早くコスト削減や専門店の強化などの事業改革を2009年3月期より開始。それまでの右肩上がりの需要増による成長依存ではなく、消費者の趣向の多様化にいち早く対応できるような体制や、利益の出やすい筋肉質の経営体質を構築。そしてその成果が出てインバウンド需要増、内需の緩やかな回復という追い風の中、業績の躍進が続いています。
2015年3月期の業績は売上高が9.4%増の2078億2100万円、営業利益が19.6%増の226億4700万円、経常利益が16.8%増の251億600万円、当期純利益が8.3%増の120億5700万円。売上、純利益共に過去最高を更新しました。
高価格帯のアルビオンが好調。主力ブランド雪肌精は中国人に人気でインバウンド需要が伸び、ブランド売上は過去最高レベルになっています。アジア圏での2015年3月期の売上高は前年からの伸長率は7.5%の255億9800万円となりました。ネット通販へのチャネルシフトを加速しEC市場の拡大にも対応。免税強化をすすめるなど需要の取り込みが積極的です。
また、タルト社を買収した事で海外事業拡大が一歩進んだようです。タルト社は北米で天然由来成分配合のスキンケア品を手掛けています。タルト社はネットやテレビ通販経由の販売ルートを持っているため、この流通チャネルを利用した販路拡大に注目したいところです。
2016年3月期の通期予想は、売上高が3.9%増の2160億円、営業利益が6.0%増の240億円、経常利益が2.0%減の246億円、当期純利益が16.1%増の140億円です。年間配当金は10円増の74円とする方針で、配当性向は30%程度と高水準です。
間もなく発表される第1四半期業績にも注目したいところ。為替レートを通期平均で1米ドル=114円、1台湾ドル=3.7円 1中国元=18.6円と保守的に設定しているので、このまま円安基調がつづけば収益の押し上げが期待できると思います。