個別では、前述のメルカリが週間で4.0%高。転換社債型新株予約権付社債の発行を発表したが、株価への影響は限られた。マザーズ時価総額上位ではJMDC<4483>も同10.9%高と堅調だった。一部証券会社の投資判断付与が観測された。また、前の週に上場した日本電解<5759>が週間の売買代金、上昇率でマザーズトップ。ステムセル研究所<7096>やアイドマ・HD<7373>といった直近IPO銘柄も大幅高となった。一方、フリー<4478>が同3.9%安、BASE<4477>が同2.3%安と軟調で、オンコリスバイオファーマ<4588>などのバイオ株が下落率上位に多く顔を出した。ジャスダック主力では、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同7.3%高、東映アニメーション<4816>が同7.8%高と堅調。スリー・ディー・マトリックス<7777>は止血剤の米承認取得で賑わい、アイビー化粧品<4918>が週間のジャスダック上昇率トップとなった。一方、6月既存店売上が減収だったワークマン<7564>は同6.1%安となり、積極投資で赤字拡大の出前館<2484>は大きく下落した。IPOでは5社が新規上場し、いずれも公開価格を上回る初値を付けた。ただ、やはりIPOラッシュ前と比べると伸び悩んだ印象も強かった。
来週の新興市場では、引き続き株式相場全体に上値の重いなか、値動きの大きさから直近IPO銘柄に物色が向かいやすいと考えられる。マザーズ指数へのプラス影響は限られるかもしれない。しかし、そうは言っても相対的に見ればマザーズ指数の動きはしっかりという印象。米ハイテク株高などを背景に、IT関連を中心とした中小型グロース(成長)株の優位が期待できると従前に予想したが、こうした見方に変わりはない。
前回取り上げた日本電解など直近IPO銘柄の賑わいは相当なものだが、一部で過熱感も漂ってきた。ただ、決算期末前後に上場した高成長銘柄は、来期(あるいは既に始まった今期)の業績の伸びを織り込み切っていない感がある。アイドマ・HDやEnjin<7370>、ベイシス<4068>といったところで、市場予想を見ても成長期待が持てる。なお、来週は7月7日にフロイント産業<6312>、9日にブロッコリー<2706>などが決算発表を予定している。
IPO関連では、7月6日にBCC<7376>が、8日にコラントッテ<7792>がマザーズへ新規上場する。大手IT企業への営業支援サービスやヘルスケアビジネスを手掛けるBCCは、公開規模が非常に小さいこともあって初値を飛ばしてきそうだ。一方、コラントッテはやや軽量感に乏しいものの、家庭用磁気治療器で知名度が高い。直近IPO銘柄の賑わいも追い風となる可能性がある。
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