16日の米株式市場でダウ平均は431.20ドル安(-1.26%)と大幅反落。米週次失業保険申請件数が減少したほか、米1月卸売物価指数(PPI)が予想を上回ったため、利上げ長期化を警戒した売りが先行。一時下げ渋ったが、米連邦準備制度理事会(FRB)
高官らのタカ派発言を受けて、利上げ幅が再び0.5ptまで拡大されるリスクが意識される中、引けにかけては再び売りが加速した。ナスダック総合指数は-1.77%と4日ぶり大幅反落。米株安を引き継いで日経平均は211.84円安からスタート。一方、為替の円安が一段と進んだことを追い風に27500円割れでは押し目買いが入り、その後は27500円を意識した一進一退が続いた。
個別では、レーザーテック<6920>、ソフトバンクG<9984>、キーエンス<6861>、ソニーG<6758>、イビデン<4062>、ローム<6963>などのハイテク株のほか、エムスリー<
2413>、リクルートHD<6098>、Appier Group<4180>、マネーフォワード<3994>、Sansan
<4443>などのグロース株が軒並み下落。一方、日本製鉄<5401>、神戸製鋼所<5406>、JFE<5411>の鉄鋼が揃って大幅高。コマツ<6301>、三菱商事<8058>のほか、住友鉱<5713>、三菱マテリアル<5711>など資源関連の一角が堅調。トレンド<4704>は前期下振れ着地も、自社株買いが下支えとなり上昇。増益・増配計画を発表したブリヂストン<5108>、業績予想を上方修正した三菱ケミG<4188>も高い。国内証券がレーティングを引き上げたフリュー<6238>は急伸。
セクターでは鉱業、電気機器、サービスが下落率上位となった一方、ゴム製品、鉄鋼、水産・農林が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の65%、対して値上がり銘柄は31%となっている。
前日の米株式市場はインフレ・利上げの長期化に対する懸念が強まり、金利が上昇する中、久々に主要株価3指数そろって大きく下落した。前日に2000ptを超えたばかりの東証株価指数(TOPIX)も再び2000pt割れに押し戻されており、株式市場の上値の重さが意識される。
前日に発表された米1月卸売物価指数(PPI)は、前年比+6.0%と12月(+6.5%)
から鈍化したものの、市場予想(+5.4%)を大きく上回った。モメンタムを示す前月比も+0.7%と予想(+0.4%)を大幅に上振れ、12月(-0.2%)から加速に転じた。
食品・エネルギーを除くコア指数でも前年比+5.4%と12月(+5.8%)から鈍化したが、予想(+4.9%)は大きく超過。前月比も+0.5%と予想(+0.3%)および12月
(+0.3%)を上回った。
また、本年の米連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を持たないが、米クリーブランド連銀のメスター総裁が前回会合で0.5ptの利上げを支持していたことを明らかにしたほか、米セントルイス連銀・ブラード総裁は3月会合でも0.5ptの利上げは選択肢にあると言及した。米1月雇用統計の発表以降、強まっていた利上げ長期化懸念は、今週の米1月消費者物価指数(CPI)と米1月PPI、そして連銀総裁のタカ派発言を受け、一段と強まる形となった。また、CPIより先行性の高いPPIの大幅な上振れは特に印象が良くない。決算発表も一巡し、市場エネルギーが後退する中、年始からの株高を創出してきたインフレ鈍化傾向の一服は今後、市場の重しとして長く働きそうだ。
(仲村幸浩)
<AK>
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