1. ゲノム編集とOMNIプラットフォームの特徴
ゲノム編集とは、特定の塩基配列(ターゲット配列)のみを切断するDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)を利用して、思い通りに遺伝子を改変する技術を指す。以前からゲノム編集技術はあったが、2012年にこれまでの技術よりも短時間で簡単に標的とするDNA配列を切断できるCRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)と呼ばれる革新的な技術が登場したことで、製薬業界においてもゲノム編集技術を用いた開発が活発化した。ただ、これらの技術は狙った遺伝子とは異なる箇所(標的DNA配列と似た配列)を切断してしまう「オフターゲット効果」があり、安全性という面で課題となっていた。
これに対して、Emendoが独自開発したOMNIプラットフォーム技術では、標的のDNA配列を高精度に切り取る独自のヌクレアーゼ(OMNIヌクレアーゼ)を数多く作出し、これらの中から適切なヌクレアーゼを選択して、それを標的配列に対して最適化することで、「オフターゲット効果」のない安全性の高いゲノム編集を可能としている。ゲノム編集による医薬品の開発を進める場合には、効率性だけでなく安全性も強く求められるため、OMNIプラットフォームの持つ特徴は優位性があると評価される。
また、もう1つの特徴としてはアレル特異的遺伝子編集が可能であるという点が挙げられる。アレル特異的遺伝子編集とは、対をなすアレル(対立遺伝子)の一方を傷つけることなく、異常のある遺伝子のみをターゲットにして編集することを言う。ヒトは父型と母型の2つのアレル(対立遺伝子)を一対として持っており、片方のアレルが異常配列となることで発症する遺伝病を優性遺伝(機能獲得型変異/ハプロ不全)、両方のアレルに必要な遺伝子が欠損することで発症する遺伝病を劣性遺伝(複合型ヘテロ接合体/ホモ接合体)、または伴性遺伝(性別によって発症の仕方が異なる遺伝病)と呼ぶ。遺伝性疾患のうち、アレル特異的遺伝子編集の対象となるのは優性遺伝と劣性遺伝のうちの一部で、遺伝性疾患の過半を占めることになる。これはOMNIプラットフォームを活用したゲノム編集による治療薬の開発領域が幅広いことを意味している。Emendoの調べによれば、遺伝性疾患の治療薬の市場規模は全体で約2兆円の規模があり、このうち1.1兆円がOMNIプラットフォームの対象領域になりうると見ており、潜在的な成長ポテンシャルは大きい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
この銘柄の最新ニュース
アンジェスのニュース一覧- 行使価額修正条項付新株予約権の月間行使状況に関するお知らせ 2025/02/03
- 第45回新株予約権(行使価額修正条項付)の大量行使に関するお知らせ 2025/01/28
- [PTS]デイタイムセッション終了 15時30分以降の上昇1298銘柄・下落973銘柄(東証終値比) 2025/01/24
- 前日に動いた銘柄 part2 商船三井、グリーンモンスター、ロゴスHDなど 2025/01/17
- アンジェス---ゲノム編集技術による新規がん治療法の開発に関し、米国スタンフォード大学医学部と共同研究契約締結 2025/01/16
マーケットニュース
- 明日の株式相場に向けて=「トランプVS習近平」第1Rのゴング鳴る (02/05)
- 東京株式(大引け)=33円高、後場切り返すも方向感定まらず上値重い地合い (02/05)
- 欧米為替見通し:ドル・円は底堅い値動きか、米中協議や米経済指標を注視 (02/05)
- 5日香港・ハンセン指数=終値20597.09(-192.87) (02/05)
おすすめ条件でスクリーニング
アンジェスの取引履歴を振り返りませんか?
アンジェスの株を取引したことがありますか?みんかぶアセットプランナーに取引口座を連携すると売買履歴をチャート上にプロットし、自分の取引を視覚的に確認することができます。
アセットプランナーの取引履歴機能とは※アセプラを初めてご利用の場合は会員登録からお手続き下さい。