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【QAあり】バリオセキュア、セキュリティトレンドは境界防御型からゼロトラストへ 戦略的な顧客開拓などで競争力を強化

投稿:2024/02/07 13:00

INDEX

梶浦靖史氏(以下、梶浦):バリオセキュア株式会社の代表を務めています、梶浦です。どうぞよろしくお願いします。

本日は、まず当社について簡単にお話しし、当社が今いる市場に関してお伝えした上で、当社が今取り組んでいる中期計画に関して触れたいと思います。続いて、2024年2月期第3四半期が終わりましたので、その決算についてご説明し、最後に2024年2月期の業績予想をお話ししたいと思います。

会社概要

当社についてお話しします。当社はバリオセキュア株式会社といい、創業は2001年6月21日で、現在は東京の神田に本社を構えています。大阪と福岡に事務所があり、日本国内すべての都道府県に対してサービスを提供するかたちで事業を運営しています。

事業概要 – サービスラインナップ

当社の事業は、大きく2つの柱を持っています。1つ目の柱はマネージドセキュリティサービスという事業です。こちらは、いわゆるリカーリング型(月額課金)のモデルです。ハードウェアあるいはソフトウェア、もしくはその両方を提供するだけでなく、それにまつわる運用・保守も同時にサービスとしてご提供するというモデルです。

このマネージドセキュリティサービス事業が当社の売上のほとんどを占めています。中でも、①の「統合型インターネットセキュリティサービス」は、当社が独自で開発したUTMであるVSRという機種を用いて、インターネットの出入口をお守りするというサービスです。

②の「VarioマネージドLAN / Wi-Fiサービス」は比較的新しく始めたサービスで、今やネットワークの外部からのアタックは、ゲートウェイだけでなく、企業内のLANや、みなさまがWi-Fiで使っているアクセスポイントにまで及んでいるため、そのようなところを当社の知見をもってお守りするというサービスです。

③はもしもの時のデータを保持・保全する「データバックアップサービス」、④はネットワーク上にあるデバイス機器をすべて見える化する「Vario-NSS(Network Security Suite)」、⑤は「Vario-EDRサービス」です。この5つのサービスでマネージドセキュリティサービス事業を構成しています。

もう1つの大きな事業の柱は、インテグレーションサービスです。こちらは一時課金型のサービスで、売り切り型のUTMを中小企業向けに販売するサービスと、ネットワークのインテグレーションサービスを提供する事業です。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):質問を挟みながらおうかがいしていきたいと思います。御社には2つの事業があるということで、サブスクリプションの売上は個人投資家にとって非常に興味があるところだと思いますが、売上の構成比率がどのくらいなのか教えてください。

梶浦:現在第3四半期が終わったばかりですが、この時点で約87パーセントがサブスクリプションモデルです。

坂本:ありがとうございます。この2つの事業のうち、マネージドセキュリティサービスの製品について、ざっくりとその用途をおうかがいしたいです。

①の「統合型インターネットセキュリティサービス」が主力製品の1つだと思いますが、インターネットを使う際にこの機器を使用することによってウイルスなどのいろいろな外部からの攻撃が遮断できる以外に、どのようなことができるのかを教えてください。

梶浦:UTMという機械ですので、セキュリティ向上の用途はもちろんあります。最近ではそれ以外にVPNの機能を持っていたり、リモートワークやリモート会議をするお客さまがけっこう増えていることを受けて、ネットワークの混雑が起きてトラフィックが滞留するのを解消するためのローカルブレイクアウトという機能を備えていたりします。

そのほか、ネットワークセキュリティを常駐化する機能など、常に安全にネットワークを利用いただける機能を備えています。

坂本:マネージドセキュリティサービスの課金体系は、1台につきいくら、人数につきいくら、などいろいろとあると思いますが、どのようなかたちになっているのか教えていただけますか?

梶浦:基本的には、1台につきおいくら、という月額課金のかたちになっています。ユーザーさまのご利用状況によって、1台で済む場合もあれば複数台あったほうがいい場合もありますので、ケースバイケースです。

坂本:なるほど。もちろん人数が増えればある程度の台数を導入しなければいけないということですね。

梶浦:そのとおりです。当社の場合、1つのモデルではなくて複数のモデルがありますので、ユーザーさまの利用規模に応じてモデルを変えて提供しています。

坂本:ありがとうございます。また、例えば①を導入して③や④も組み合わせるといったパッケージにするパターンも含めて、売れ筋というか伸び盛りのサービスがあれば教えていただければと思います。

梶浦:今一番の売れ筋といいますか、お引き合いをいただいているのが、⑤の「Vario-EDRサービス」というサービスです。こちらは、みなさまがお使いのパソコンにソフトウェアをインストールして、端末に対して悪意のある攻撃等の侵入を検知するサービスです。

昨今はサイバー攻撃が増加しており、これまでみなさまがお使いであった通常のウイルスソフトだけでは検知できない脅威も増えてきています。「Vario-EDRサービス」は、PCが怪しい動きをしているかということを必ず見て、被害が拡大しないように対処していくサービスです。

事業概要 – 業務領域

梶浦:当社の事業領域についてです。セキュリティ対策にはいわゆる「セキュリティフレームワーク」というものがあり、それは構築、特定、防御、検知、対応、復旧という流れで定義されています。

当社の特徴は、このフレームワークのすべてにおいて、提供できるサービスをご用意しているという部分で、企業さまに対してワンストップでネットワークセキュリティを担保するサービスラインナップを持っています。

荒井沙織氏(以下、荒井):今うかがったとおり、セキュリティ対策を構築から復旧までワンストップで提供できるというのが御社の強みだと思いますが、ワンストップで構築することの利点や重要性を教えてください。

梶浦:当社の場合は、すべてを網羅したかたちでご提供するだけではなく、お客さまのニーズに合わせて部分的にご提供することも可能です。したがってユーザーさまから見て必要ない機能は提供されないということで、利便性は非常に高いと考えています。

また、複数のサービスラインナップを持っていますので、お客さまのニーズに合わせて必要なサービスのみをご提供できることが、お客さまにとっても非常に便利な点であると考えています。

坂本:このセキュリティの構築は、大企業であればシステム部門1つで担うことができそうな気がするのですが、やはり今の外部の侵入技術やインターネットの発達の状況下では難しくなってきているのでしょうか?

梶浦:実は当社も、すべてのものを自社で作っているわけではなく、サードパーティといいますか、他社の製品やソフトウェア等も利用してサービスを付加しています。

ご質問のあった、自社で管理等ができないのかという点については、もちろんそのようにしている企業さまもあります。ただし、やはり大企業さまであっても、導入から運用まですべてを自社で管理するというのは非常に難しいと思います。

特にネットワークセキュリティのエリアは、ソフトウェアのアップデートをする機会が非常に増えており、そのあたりが煩雑になってしまうということもあって、当社が提供するマネージドセキュリティサービスが評価をいただいています。

坂本:御社のサービスの一部を使っている会社もあるということですね。非常によくわかりました。ありがとうございます。

統合型インターネットセキュリティサービスのビジネスモデル

梶浦:当社のビジネスモデルについて簡単にお話ししたいと思います。当社は、ほとんどのビジネスを代理店さまから販売いただくというモデルで行っています。当社は多くの代理店さま、いわゆる通信キャリアさまと契約しており、彼らが自己自身のインターネット回線を販売される際に、そのセキュリティオプションというかたちで当社のサービスを販売いただくというモデルになっています。

坂本:代理店営業が基本ということですが、自前で販売するほうが利益が高くなりそうに思います。後からお話があるかもしれませんが、すべて自前では販売していないのか、一部は自前で販売しているのかも含めて教えていただければと思います。

梶浦:直販のほうが利益率は高いというのは当たり前なのですが、特に先ほどご説明したマネージドセキュリティサービスの①、統合型インターネットセキュリティサービスの「VSR-Vario Secure Router」という主力商材に関して言いますと、そもそもインターネット回線がないと意味のない商材ですので、原則、インターネット回線と一緒に販売いただくことになっています。したがって、通信キャリア等の代理店さまと一緒に動くというのが当社にとっては必要なアクティビティとなっています。

代理店さまとの関係性も、「代理店さまが勝手に売ってください」というかたちではなく、当然、当社も代理店さまを支援する体制を持っていますので、販売の時点から販売後まで、当社のほうで責任を持って対応するというモデルになっています。

坂本:よくわかりました。

マネージドセキュリティサービス 強力な販売チャネル

梶浦:先ほども少し触れましたが、当社の代理店さまの多くは通信キャリアで、回線を取り扱っています。それ以外にも、SIerさまなどとパートナーシップを組んでいます。

市場シェア

梶浦:市場のシェアについてです。当社は従業員数300人から1,000人未満のいわゆる中小企業と言われている層のマーケットにおいて、ファイアウォール/UTM運用監視サービスの中ではトップのシェアを誇っています。

300人から1,000人未満のマーケットでは20.6パーセント、100人から300人未満では22.4パーセント、100人未満では35.0パーセントと、これらの層のお客さまに対して非常に強い企業です。

坂本:1,000人以上のマーケットでも販売していると思いますが、それは対象にならないのでしょうか?

梶浦:先ほどお伝えしたとおり1,000人未満のマーケットではトップシェアですが、当然、1,000人以上の企業のお客さまにも同様にサービスを行っていますし、取り扱いもしています。数万人のユーザーさまをお持ちのお客さまに対してもサービスを提供しています。

ネットワークセキュリティビジネス市場の動向

梶浦:当社が現在いる市場の環境と、その中において当社が今活動している中期経営方針に関してお話しします。

ネットワークセキュリティビジネス市場は、2021年度時点で5,779億円あると言われており、2027年度の予測では8,667億円に成長すると言われています。

また、みなさまもこの言葉を聞かれたことがあるかもしれませんが、ネットワークセキュリティ市場の中には「ゼロトラストセキュリティ」という市場があります。このゼロトラストセキュリティの製品は、2021年度時点で879億円の市場規模と言われており、これが2027年度には2,157億円まで大きく成長すると予測されています。

今までのセキュリティ市場では、境界防御型という侵入させずにブロックすることが主流でしたが、現在はゼロトラスト、いわゆる侵入ありきでどのように対応するかということに変化してきています。

経営課題

梶浦:このような環境の中で、当社はいくつかの課題を定義しています。まず、外部的な環境についてご説明します。従来の境界防御型の市場成長率は年率1.3パーセントと予測されており、鈍化してきていると見ています。

先ほど少しお話ししたとおり、「侵入させない」と同時に、「侵入ありき」という多層防御のゼロトラストセキュリティが今後の主流になると言われています。したがって今後は、ゼロトラストセキュリティのニーズが一層高まっていくと見ています。

一方で内部環境においては、中小企業向けのアプライアンス型UTM製品市場で安定成長してきました。ただし直近では成長が鈍化しており、新規の設置台数はほぼ横ばいです。

これまでの当社の主力サービスは境界防御型、つまり「侵入させない」を目的としたものだったのですが、今後、ゼロトラストセキュリティに移行していくと、境界防御型製品では防御できなくなっていきます。

マルウェア検知・防御およびランサムウェア対策は、現在2桁以上の成長実績があります。

当社としては、このような環境の中でさらに強みを進化させていくことと、成長市場への投資、さらに戦略的な顧客開拓を実行していくことでこの課題を乗り越えていきたいと考えています。

中期経営方針

梶浦:当社の中期経営方針は、中長期的な事業投資によってマネージドセキュリティサービスの対応領域を拡大させながら競争力を強化していくことです。

さらに、いわゆるゼロトラスト市場と言われている成長セキュリティ市場への参入や、回線キャリアを除いた既存の販売網も強化していかなければいけません。以上の3点を、大きな方針として掲げています。

坂本:オンラインマーケティングによって実際に獲得した顧客は直販なのでしょうか? それとも代理店をご紹介し、お任せするかたちでしょうか?

梶浦:現時点では直販扱いですが、今後は代理店も新規代理店を拡大する際の1つの武器になると考えています。立ち上げのために当社のオンラインマーケティングをご利用いただき、引き合いにタッチするような戦略も考えています。

中期経営目標

梶浦:中期経営目標についてです。今年度から2027年2月期までの4年間で売上収益を42.8パーセント、営業利益を58.3パーセント成長させるという大きな目標を掲げています。

その中でも、全体の売上収益のうち約85パーセントを占めるマネージドセキュリティサービスを、2027年2月期が終わるまでに94.3パーセントにまで上げていきたいと考えています。

方針① マネージドサービスの対応領域拡大・競争力強化

梶浦:先ほどお話しした3つの大きな方針について、もう少し詳しくお話しします。

1つ目の方針は、マネージドサービスの対応領域の拡大および競争力の強化です。当社はゲートウェイセキュリティという境界型の防御からビジネスを始めており、現在ではLAN、アクセスポイント、Wi-Fi、今後はクラウドまでを含めて対応領域を拡大していきます。

さらに他社商材をうまく活用し、マーケットにサービスを素早く展開していくことも考えています。

どちらかと言いますと、マネージドサービス自体は労働集約型のビジネスです。規模が大きくなるほど人件費も大きくなっていくため、現在はAIを適切に活用しながら、次世代の運用基盤の構築を進めています。そのような流れで、安定した収益基盤を作っていこうと考えています。

坂本:他社商材とはどのようなものでしょうか?

梶浦:ここでいう他社商材とは、例えば海外のメーカーが作っているネットワークセキュリティ機器や、それらを利用している企業の運用監視を想定しています。

坂本:マネージドサービスの運用コストの最適化のためには、どのようなことに取り組まれるのでしょうか?

梶浦:先ほども少し触れましたが、現在はどんどん進化するAI技術を活用し、運用監視の省力化を進めています。

具体的に言いますと、当社が提供しているファイアウォールには設定作業や導入後の設定変更作業がありますが、このあたりのオペレーターの教育コストなどを低減するためにAI技術を活用しています。

方針② 成長セキュリティ市場への参入

梶浦:2つ目の方針は、成長セキュリティ市場への参入です。こちらは先ほどからお話ししている、ゼロトラスト領域への参入を指しています。

ゼロトラストには明確な定義がないと言われていますが、当社ではゲートウェイセキュリティ、EDR、ID認証、ログ監視を含めてゼロトラストセキュリティであると定義しています。

今まで持っていた技術や商材・サービスに新たなものを付加することで、ゼロトラストセキュリティ市場へ参入しようと考えています。

方針③ 既存販売網と異なる新規営業体制の強化

梶浦:3つ目の方針は、既存販売網と異なる新規営業体制の強化です。冒頭にお話ししましたが、当社のモデルは代理店さまがベースとなっています。基本的に、代理店さまのほとんどが通信事業者です。

オンラインマーケティングやインサイドセールスを活用し、通信事業者以外の新規販売代理店も増やしていかなければゼロトラストセキュリティ市場では勝ち残れないと考えているため、こちらにも力を入れていこうとしています。

今後のIDaaS事業~中堅・中小企業向けのゼロトラスト展開について

梶浦:こちらは参考資料ですが、今後の当社のゼロトラストビジネスの展開についてです。先ほど少し触れましたが、ゼロトラストを定義する上で、まずは「Vario SASE」というクラウド型ネットワーク・セキュリティの開発を進めています。

現時点では、業務アプリケーションポータルとしてシングルサインオンやアクセスコントロールを提供するIDaaSおよびEDRを加えた3点セットでゼロトラストを展開していこうと考えています。

坂本:中小企業や大企業、中堅企業も御社のボリュームゾーンの1つだと思います。ゼロトラストセキュリティを含めた対策が必要であることは非常によくわかったのですが、中小企業も対策が必須になってくるのでしょうか?

梶浦:当然ながら企業規模に関係なく攻撃されているため、今後は中小企業においても、このような概念が必要になってくるだろうと考えています。

先ほど、EDRが伸びているとお話ししましたが、EDRのマーケットについても、蓋を開けてみると大企業から中小企業に移ってきているため、数年後には当然のように使われているサービスになっているだろうと考えています。

2024年2月期第3四半期 決算ハイライト

梶浦:2024年2月期第3四半期の決算が終わりましたので、こちらについてもご説明します。まずは決算ハイライトです。

売上収益は19億7,400万円で、現時点での進捗率は予算比73.5パーセントです。営業利益は4億3,600万円で進捗率は95.6パーセント、当期利益は2億8,800万円で進捗率は93.6パーセント、負債比率は24.6パーセントです。

リカーリング型の収益モデルであるマネージドセキュリティサービスの売上が順調に増えてきています。特に、運用面の手厚いサポートが好評のEDRが前年同期比103.6パーセント増と大きく成長しています。

また、一時課金型モデルであるインテグレーションサービスのネットワーク構築などの案件数もかなり増えており、売上拡大に大きく貢献しました。

2024年2月期第3四半期 業績サマリー

梶浦:業績サマリーです。売上収益は、概ね計画どおりに進捗しています。営業利益と当期利益は、中期経営方針に基づいた人材採用やマーケティング強化などの成長投資により、減益を計画しています。

進捗率については、採用コストの低減が寄与して過達で推移していますが、今後は概ね計画どおりに推移するだろうと見ています。

営業利益の増減分析

梶浦:営業利益の増減に関するご説明です。営業利益は、中期経営方針に基づき、サービス企画、エンジニア、運用サポートなどの人員を多く採用していく計画を立てており、今後はゼロトラスト領域において新たなサービスを創出していくための成長投資を推進しています。

2024年2月期第3四半期の営業利益は前年比マイナス22.7パーセントの4億3,600万円、営業利益率は22.1パーセントです。成長のためのさまざまな投資をしつつ、営業利益は十分に確保しています。

2024年2月期第3四半期 サービス別業績

梶浦:サービス別業績です。マネージドセキュリティサービスは安定的に売上が拡大しています。インテグレーションサービスも計画どおり進捗しています。ストック型ビジネスであるマネージドセキュリティサービスが売上全体に占める割合は、前年同期比2ポイント増の87パーセントで推移しました。

マネージドセキュリティサービス概況 ①解約率の推移

梶浦:解約率1パーセント以下と低い水準で推移している点が、当社の大きな強みの1つです。第3四半期が終わった時点の解約率は0.56パーセントでした。

坂本:この解約率はかなり低いと思います。この理由を教えてください。

梶浦:当社のサービスのほとんどが、インターネットに付帯して利用されています。インターネットが利用されている限り必要となるため、前提として解約率が低いのだろうと考えています。

もう1つは、当社はさまざまなキャリアと代理店契約を結んでいます。キャリアの回線が変わっても、当社の機器やサービスは継続して利用されるケースが多々あることも寄与していると考えています。

マネージドセキュリティサービス概況 ②エンドユーザー企業数の推移

梶浦:マネージドセキュリティサービスのエンドユーザー企業数は、第2四半期から第3四半期にかけても順調に増えています。

マネージドセキュリティサービス概況 ③サイバー脅威対策ソリューションの進展

梶浦:データバックアップサービスについてです。現在、いわゆるランサムウェア対策として、バックアップのソリューションをプロモートしています。事業継続の備えとなるデータバックアップサービスである「Vario Data Protect」は、売上収益が前年同期比15.4パーセント増と順調に成長しています。

マネージドセキュリティサービス概況 ③サイバー脅威対策ソリューションの進展

梶浦:また、先ほどからお話ししている「Vario Endpoint Security」(Vario-EDRサービス)はマルウェア対策に有効です。こちらも売上収益が前年同期比で103.6パーセント増と非常に好調にお引き合いをいただき、成長している領域です。

2024年2月期業績予想

梶浦:2024年2月期の業績予想です。売上収益は概ね計画どおりに進捗しています。営業利益、当期利益については、採用コストの低減が寄与して過達で推移しています。

投資に関しては中期経営計画に基づいて、積極的な事業投資を行っていますが、こちらは人材採用がほとんどを占めています。それに加えて、マーケティングを強化する点で広告宣伝費が増加しており、現時点では概ね計画どおりに推移しています。

質疑応答:復配の見込みについて

坂本:「復配の見込みについてお聞かせください」というご質問です。予想ベースかつお話しできる範囲でかまいませんので、ご回答をお願いします。

梶浦:昨年「2022年から2027年2月期までの4年間は無配とさせていただく」というお話を公表しました。先ほどお話ししたように、現在は中期経営計画を実行していく上での投資活動を行っています。今後、復配を行うかどうかは、中期経営計画の進捗状況を見ながら判断していきたいと考えています。

質疑応答:得意な業界や注力したい業界について

坂本:「得意な業界、注力したい業界はありますか?」というご質問です。基本的に代理店営業だと思いますので、その代理店がどの業界を得意としているのか、あるいは特化しているかということによって、かなり売上のベースも変わってくると思うのですが、いかがでしょうか? 特徴的なものがあれば教えていただきたいと思います。

梶浦:まず、ネットワークセキュリティという特性がありますので、業界に特化しているというわけではなく、あらゆる業界に提供しているということが大前提にあります。

ただし、昨今は医療業界からデータのバックアップやデータの復旧について関心が高まっている傾向があり、当社としても取り扱いを増やしていきたいと考えています。

質疑応答:提案先や方針決定について

坂本:「エンタープライズに関して、官公庁向けの提案はしないのでしょうか?」というご質問です。こちらに関しても代理店が影響すると思いますが、御社から代理店に「このようなところに営業に行ってください」と提案することはあるのでしょうか? それともすべて任せるかたちになっているのでしょうか? 

梶浦:代理店さまとのお付き合いの長さや関係性にも依存する部分があると思います。代理店さまによっては、当社から「一緒にこのようなところを攻めていきましょう」と働きかけ、先方の経営層の方とディスカッションを進めていくこともあります。

坂本:「一緒に訪問したいので技術の方を貸してください」というようなこともあるのでしょうか?

梶浦:それはありますね。

質疑応答:機器の生産やカスタマイズについて

坂本:御社では機器の生産はファブレスなのですか? それとも自社で作られているのですか?

梶浦:機器の生産は台湾から引いています。ただし、当社の仕様に合うようにカスタマイズしています。

坂本:そのカスタマイズは一律で行うのですか? 使用する会社が大きければ、「この会社用にしてください」というような、カスタマイズもあるのでしょうか?

梶浦:当社はハードウェアのカスタマイズはほとんど行っていませんが、ソフトウェアは自社で作っていますので、ソフトウェアのカスタマイズはかなり行っています。

質疑応答:UTMの優位性について

坂本:「UTMの販売は回線業者による代理店方式という説明がありましたが、事業者への供給は独占なのでしょうか? 仮に回線事業者が複数社のUTMを販売可能だとすると、事業者が御社のUTMを顧客に販売する際の優位性について教えてください」というご質問です。

梶浦:当然、回線事業者さま、特に大手の代理店さまは複数のUTMを取り扱っています。その中でエンドユーザーさまのニーズや用途に応じて選択されるケースがあります。

当社の場合は売り切り商材ではなくほとんどマネージド型で展開していますので、エンドユーザーのニーズがその点にあれば、代理店は当社のサービスを販売することになります。

質疑応答:海外展開について

坂本:「事業は国内が中心なのでしょうか? もし海外で売上があれば、その比率を教えてください」というご質問です。

梶浦:現時点では、国内のみのサービス提供となっています。

坂本:加えて「海外展開は今後お考えでしょうか?」というご質問です。

梶浦:現時点では、国内を中心に攻めていくと考えています。

坂本:ビジネスをチェックするうえで、為替の変動が事業に影響するかどうかという観点があると思いますが、国内に特化されているということは、御社が為替の影響を受けるのは台湾から買ってくる機器の金額がぶれるくらいでしょうか?

梶浦:そうですね。その調達に関してはどうしても為替の影響が出てしまいます。

坂本:台湾ドルベースで行われるのですか?

梶浦:いいえ、USドルベースで行っています。

坂本:その仕入れの部分が変動する可能性があるため、円安のほうが不利だということですね。

質疑応答:競合他社について

坂本:「業界のことを詳しく知らないのですが、競合他社はどのようなところがあるのでしょうか?」というご質問です。その競合他社との差別化についてや、機器を自前で作っている競合他社があるのかについても教えていただければと思います。

梶浦:まず、当社の主力商材であるUTMを、メーカーがマネージド型サービスで提供しているというケースはありません。そのため、基本的に当社がコンペで競合としてぶつかるのは、売り切りのグローバルメーカーである「FortiGate」のFortinet社などの大手というケースが多くなります。

しかし、どうしても先方は売り切り型ですので、マネージドサービスが付いているわけではありません。当社の代理店さまが、そのあたりのお客さまのニーズを汲み取りながら、どちらにするかを考えて提案してくださっています。

坂本:仮に競合の売り切り型を買った場合は、運用は自前で行わなければならないのですよね?

梶浦:基本的にはそうなります。

坂本:そこが1つのハードルになるのですね。システムの部署があったり、隣接の業界の人たちであったりすれば触ることができるけれども、設定や運用が大変なため、御社に依頼するというパターンが多いのでしょうか?

梶浦:当社が1,000人以下の中小企業に強いというのは、おそらくそのようなニーズが多いためだと思います。

質疑応答:投資獲得に向けた施策について

荒井:「株式の売買について、株式売買の促進や、投資家の方が投資したいと思えるような施策はお考えでしょうか?」というご質問です。

梶浦:当社は現在、中期経営計画に基づき、新しいサービスや領域へ、とにかく早く成功裏に進出していくことを念頭に置いて活動しています。そこに全力で取り組んでいくことによって、投資をされる方々の判断ポイントにしていただけるものと考えています。

荒井:姿勢を見ていただきたいというところですね。

梶浦:そうですね。姿勢だけでなく結果も含めて見ていただきたいと思います。

質疑応答:中期経営計画における投資の方針について

坂本:中期経営計画に関しては、この5年でかなりの成長を見込んでいるとのことでした。御社には投資のようなものはけっこう必要になってくるものなのでしょうか? 

また、達成のためにはもちろんサービスを増やすということもあると思いますが、どのようなかたちで進んでいけば、その達成に近づけるのか、肝となるようなポイントはありますか?

外部環境も当然追い風だとは思うのですが、そのあたりも含めて教えていただけると、視聴している方々もイメージが湧くかと思います。

梶浦:当然、オーガニックなグロースという意味での投資は、人材に対する投資が一番大きいと思います。新しいサービスを開発したり、営業を増やしたりという部分です。

一方で、インオーガニックのグロースといわれる企業買収も含めたところも、検討はしています。そのようなグロースの仕方も、1つの成長のポイントになってくると考えています。

質疑応答:営業利益率の低下について

荒井:「成長のため一時的に営業減益をやむなしとすることは理解しました。しかし、リカーリング・レベニューに頼る御社に関して、営業利益率が過去2年連続で低下してきている点はいまひとつ理解できないため、ご説明いただきたいと思います」というご質問です。

梶浦:リカーリングで積み上がっていくビジネスについては基本的に、過去数年成長している状況です。しかし、そこに対して新たにサービスを作っていくこともあり、開発要員の増員や外部パートナーへの開発依頼など、そのような部分での投資のための費用が増えたために減益となっています。

質疑応答:HEROZとの協業について

坂本:「HEROZとの協業やシナジーは、どのような部分にあるのでしょうか? 今後考えられていることを含めて、話せる範囲で教えていただければと思います」というご質問です。

梶浦:先ほど少しAIに関するお話をしましたが、HEROZさまはAIのプロフェッショナルです。そのため、当社のビジネスに関して、特に運用サイドでAIをうまく使って貢献いただくために現在一緒に動いています。

質疑応答:新たな商品やサービスについて

荒井:今後、新商品やそのようなご予定などはあるのでしょうか?

梶浦:当社は2024年3月から新しい決算期が始まりますが、ゼロトラストの領域において、新しいサービスを増やし、リリース等を進めていく予定です。

荒井:先ほどもたくさん商品をご紹介いただきましたが、ニーズは次々と変わって行くと思います。ニーズが細くなったものは縮小していき、新しい分野にどんどん乗り出していくということでしょうか?

梶浦:おっしゃるとおりです。

梶浦氏からのご挨拶

荒井:最後に、ご視聴いただいているみなさまへのメッセージをお願いします。

梶浦:当社はネットワークのセキュリティ分野でビジネスを展開しています。今後、新しい領域にも積極的にチャレンジし、踏み出していきたいと思います。ぜひ、当社の成長を信じて見守っていただければと思います。本日はありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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