バリオセキュア、売上収益は概ね計画通りに進捗 中期経営計画に基づき積極的な事業投資を推進
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梶浦靖史氏:バリオセキュア株式会社の2024年2月期第2四半期決算説明を始めたいと思います。私は、バリオセキュア株式会社代表の梶浦と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、会社概要、2024年2月期第2四半期の決算概要、中期成長戦略、2024年2月期業績予想、2024年2月期第2四半期トピックスの順にご説明します。
会社概要
会社概要です。バリオセキュア株式会社は、2001年6月に創業しました。現在は東京都千代田区神田錦町に本社を構え、大阪と福岡に事業所を置いています。主な事業内容は、マネージドセキュリティサービス事業とインテグレーションサービス事業です。2023年8月末時点の従業員数は84名です。
事業概要 – サービスラインナップ
当社の事業のサービスラインナップをご説明します。マネージドセキュリティサービスはリカーリング型(月額課金)の収益モデルで、5つのサービスラインナップを持っています。
1つ目は、統合インターネットセキュリティサービスです。当社が創業以来提供しているサービスで、インターネットの出入り口を守ります。
2つ目は「VarioマネージドLAN/Wi-Fiサービス」です。今年3月にリリースした新しいサービスで、従来のインターネットの境界である出入り口を守るだけではなく、その先の社内LANスイッチやWi-Fiアクセスポイントを守ります。
3つ目は、データバックアップサービスです。ランサムウェアに感染してデータを戻すことが必要になった時のためのデータ保持を行います。
4つ目は「Vario-NSS(Network Security Suite)」です。不正端末を検知したり、端末の脆弱性を管理したりするためのサービスです。
5つ目は「Vario EDR」です。最近多くの企業に導入しているEDRをマネージドサービス化したものです。少ない運用負担で、サイバー攻撃の発見と対応を支援します。
インテグレーションサービス事業は一時課金型の収益モデルで、2つのサービスラインナップを持っています。1つは、中小企業向けの統合セキュリティ機器販売です。売り切りのUTMで、50名以下の企業をメインターゲットとしています。もう1つは、ネットワーク機器を構築するネットワークインテグレーションサービスです。
事業概要 – 業務領域
サービスラインナップの業務領域についてお話しします。当社のサービスラインナップの特徴の1つは、構築から特定、防御、検知、対応、復旧までのセキュリティフレームワークすべてのフェーズを、当社のサービスでカバーできることです。
統合型インターネットセキュリティサービスのビジネスモデル
当社の主力商材である統合型インターネットセキュリティサービスのビジネスモデルについてご説明します。基本的には代理店を通じて販売を行っており、我々の代理店の多くは通信キャリアです。
まず、通信キャリアに当社のセキュリティサービスをOEMで提供します。次に、代理店がエンドユーザーにインターネット回線を販売する際、そのセキュリティオプションとして当社のサービスも合わせて販売・提供していただいています。
マネージドセキュリティサービス 強力な販売チャネル
我々はマネージドセキュリティサービスを20年以上提供しており、強力な販売チャネルを持っています。代理店の多くは通信キャリア、Sler、電力系通信会社等で、これらの代理店とOEM契約を結んでいます。そして、長期にわたるパートナーシップを構築しています。
市場シェア
当社の市場においての立ち位置についてお話しします。ファイアウォール/UTM運用監視サービス市場において、全体で見ると当社のシェアは4.6パーセントですが、従業員1,000名未満の企業ではトップシェアを持っています。
「300名から1,000名未満」「100名から300名未満」「100名未満」のそれぞれのレイヤーで、当社の製品はトップシェアを維持しています。
2024年2月期第2四半期 決算ハイライト
2024年2月期第2四半期の決算概要をお話しします。まずは決算ハイライトです。売上収益、営業利益、当期利益ともに、おおむね計画どおりの進捗率となっています。後ほど詳しくご説明しますが、特に営業利益と当期利益の進捗率は過達で推移しています。
以前の説明会でもお話ししたとおり、中計事業展開方針として大きく3つの方針を挙げています。これらの進捗についてご報告します。
1つ目の方針は、マネージドサービスの対応領域拡大・競争力の強化です。今まで我々がメインで行っていたゲートウェイセキュリティに加え、LANからクラウドまでの対応領域の拡大と、他社商材を上手に活用した競争力の強化を行います。
進捗状況ですが、2023年8月に脆弱性診断サービスを開始し、2024年2月期第2四半期は新規の代理店開拓も順調に進んでいます。マネージドサービスの新規代理店として5社と契約しましたが、そのうち3社は医療系に強い代理店となっています。
2つ目の方針は、成長セキュリティ市場への参入です。既存のサービスを活かし、成長セキュリティ市場であるゼロトラストセキュリティ領域への参入を目指します。
進捗状況ですが、MSSの対象を境界・LAN内部、クラウド環境に拡大し、IDaaSと合わせ「人」から「端末」、「オンプレ」から「クラウド」までを網羅するサービスを開発しているところです。
3つ目の方針は、既存販売網と異なる新営業体制の強化です。オンラインマーケティング、インサイドセールスへの積極投資によって、強力なダイレクトセールス体制を構築していきます。
進捗状況ですが、各マーケティング施策によってリードを開拓しています。一例ですが、ナーチャリングの仕組み化によってリード件数が前年比で85パーセント増加しました。このように、中計事業展開方針も順調に進捗しています。
2024年2月期第2四半期 業績サマリー
業績サマリーです。売上収益は、おおむね計画どおりに進捗しています。営業利益と当期利益は、中期経営方針に基づく人材採用やマーケティング強化等の成長投資により、減益を計画しています。
進捗率は、採用コストの低減や採用計画に比した入社時期のずれによる人件費減が寄与し、過達で推移しています。
営業利益の増減分析
営業利益の増減分析です。営業利益は2023年2月期第2四半期の3億8,500万円に対し、今期は2億9,000万円で着地しました。
中期経営方針に基づき、サービス企画、エンジニア、運用サポート等の人材を積極的に採用したことに加え、マーケティング強化による広告宣伝費等の成長投資を推進しました。それにより前年比で24.6パーセント減となってはいますが、営業利益率は22.3パーセントを維持しています。
2024年2月期第2四半期 財政状態
財政状態です。継続的な収益の積上げと計画的な借入返済によって、自己資本比率は2023年2月期末比で0.9ポイント増の69.6パーセントとなりました。
2024年2月期第2四半期 サービス別業績
サービス別の業績についてです。全体の売上収益が13億600万円、進捗率48.6パーセントに対し、マネージドセキュリティサービスの売上収益は11億3,900万円、進捗率47.8パーセントとなりました。インテグレーションサービスの売上収益は1億6,600万円、進捗率55.2パーセントです。
マネージドセキュリティサービスは安定的に売上が拡大し、インテグレーションサービスは計画どおりに推移しています。全体の売上収益のうち、ストック型ビジネスであるマネージドセキュリティサービスが占める割合は前年同期比3ポイント増の87パーセント、インテグレーションサービスは13パーセントという構成比に推移しています。
マネージドセキュリティサービス概況 ①解約率の推移
マネージドセキュリティサービスに特化したお話をします。まずはマネージドセキュリティサービスの解約率の推移です。2024年2月期第2四半期の解約率は0.64パーセントで、引き続き1パーセント以下の低水準で推移している状況を保っています。
マネージドセキュリティサービス概況 ②エンドユーザー企業数の推移
エンドユーザー企業数の推移です。大きな伸びはないものの順調に右肩上がりで増えてきており、第2四半期の企業数は3,005社となっています。
マネージドセキュリティサービス概況 ③サイバー脅威対策ソリューションの進展
サイバー脅威対策ソリューションの進展です。新たなサイバー攻撃被害の拡大を背景に、マルウェア対策に有効な「Vario Endpoint Security」が引き続き好調に推移しています。昨年同期比130.1パーセント増という結果で着地しました。
また、データバックアップサービスも順調に収益が拡大し、昨年同期比13.0パーセント増というかたちで第2四半期を終えています。
ネットワークセキュリティビジネス市場の動向
中期成長戦略についてお話しします。まずはネットワークセキュリティビジネス市場の動向についてです。
在宅勤務などの社会環境が変化し、クラウドサービスの利用は年々拡大しています。また、サイバー攻撃の高度化により、セキュリティのトレンドが「侵入させない」境界防御型から「侵入ありき」のゼロトラストへ不可逆的に変わってきているのが今の状況です。
ネットワークセキュリティビジネス市場そのものも大きくなっています。2021年度の市場規模は5,779億円と言われていましたが、2027年度では8,667億円になると予想されています。中でも特に注目いただきたいのがゼロトラストセキュリティ製品の市場規模で、大きく成長する領域となっています。
2021年度のゼロトラストセキュリティ製品の市場規模は879億円と言われていました。2027年の予測値としては、2,157億円まで成長すると言われています。この2,157億円のうち、IDaaSに関しての市場規模は210億円、CAGR17.9パーセント、EDR市場は510億円、CAGR22.6パーセントと大きな成長が予測されています。
経営課題
このような市場の状況を踏まえた当社の経営課題についてご説明します。
外部環境としては、先ほどお伝えした市場動向は当然影響します。加えて、我々が提供していた従来の境界防御型のセキュリティソリューションの市場成長率は1.3パーセント程度ということで、安定して成長はしていくものの、大きな成長を望めないという状況が見えてきています。
そして「侵入させない」と同時に「侵入ありき」の多層防御のゼロトラストセキュリティ対策が求められてきています。ゼロトラストセキュリティへのニーズは、今後一層高まっていくと言われています。
一方で、内部的な環境として、中小企業向けのアプライアンス型UTMの製品市場は安定して成長してきました。しかし、先ほどの外部環境でも成長率1.3パーセントとお話ししましたが、当社のVSRを見ても直近の新規設置台数はほぼ横ばいという状況となっています。
当社の主力サービスは「侵入させない」を目的とした境界防御型です。そのうち、マルウェアの検知・防御とランサムウェア対応型バックアップは、2桁以上の成長実績があります。
このような外部および内部環境を鑑み、我々は強みの深化と成長市場への投資、戦略的な顧客開拓の実行を大きな経営課題として考えています。
中期経営方針
先ほどお伝えした3つの施策を中期経営方針として掲げています。
1つ目のマネージドサービス対応領域の拡大・競争力の強化についてです。従来我々が提供していたゲートウェイセキュリティに加え、LANからクラウドまでの対応領域の拡大と、他社の商材をうまく活用した競争力の強化という方針を採っています。また、AIを活用して次世代の運用基盤を構築し、安定的な収益基盤であるマネージドサービスの効率的な運用を強化する方針を採っています。
2つ目は成長セキュリティ市場への参入です。既存サービスを活かしたゼロトラストセキュリティ領域への参入を大きな方針の1つとしています。
3つ目は既存販売網と異なる新規営業体制の強化です。従来の代理店経由を中心とする安定的な販売体制に加え、オンラインマーケティングやインサイドセールスへの積極的な投資により、強力なダイレクトセールスの体制を構築する方針を推進しています。
中期経営目標
中期経営目標についてお話しします。中期経営目標では、4年間で売上収益42.8パーセント増、営業利益58.3パーセント増といった成長を図ることを目標としています。
具体的な数値について、2023年2月期末の売上収益は26億3,400万円、営業利益は5億8,100万円でした。2027年2月期末までに、売上収益を37億6,300万円、営業利益を9億2,000万円とすることを目標としています。
事業の構成比についても、今後はこの中期経営計画の中で、安定して収益を得られるマネージドセキュリティサービスの成長にフォーカスしていきたいと考えています。昨年度末の実績ベースでは、マネージドセキュリティサービスの構成比は85パーセント、インテグレーションサービスは15パーセントでした。2027年2月期には、マネージドセキュリティサービスの構成比を94.3パーセントまで引き上げたいと考えています。
2024年2月期 業績予想
2024年2月期の業績予想についてお話しします。売上収益はおおむね計画どおりに推移しているとご説明しました。また、営業利益・当期利益は過達で推移しています。こちらは先ほどもお伝えしたとおり、採用コストの低減や入社時期のずれを含めた採用計画による人件費減が寄与しています。
この中期経営計画に基づき、積極的な事業投資や戦略的な人材採用に伴う人件費増、マーケティングの強化による広告宣伝費増などを推進しているところです。
新サービスリリースロードマップ(2024年2月期)
2024年2月期における新サービスのリリースロードマップについてご説明します。第1四半期、第2四半期までは計画どおり進捗しています。第2四半期には、サーバー向け脆弱性管理・診断サービスをリリースしました。
第3四半期には、第2四半期でリリースした脆弱性診断のラインナップの追加を予定しています。また、社内の未許可端末の排除に向けたソリューションについても、従来当社が持っていた「Vario-NSS」のサービス機能を一部切り出したものを使い、新たなサービスを開発していく予定です。
第4四半期は、いよいよゼロトラストに向けて当社も本格的にサービスを開始する予定となっています。まずはIDaaS事業です。「Vario-NSS」を基盤としたシングルサインオンなどの機能強化によるゼロトラストプラットフォームへのサービス提供を開始します。
加えて、ハイエンド・エンドポイントセキュリティサービスのリリース予定もあります。現在もエンドポイントセキュリティサービスは提供していますが、よりハイエンドのモデルをラインナップする予定です。
今後のIDaaS事業~中堅・中小企業向けのゼロトラスト展開について
第4四半期にリリース予定のIDaaS事業についてご説明します。当社のターゲットは中堅・中小企業です。クラウドからオフィス環境まで、中堅・中小企業の規模に合ったセキュリティサービスを提供したいという思いでサービスを作っています。
セキュリティの担保と運用保守の省力化を図ることは、まさに中堅・中小企業のみなさまの課題です。とにかく当社が全てマネージドで運用・管理するモデルで、手離れよく中堅・中小企業のみなさまにご提供できればと考えています。
当社の考えるゼロトラストとして、まずは「Vario EDR」と呼ばれる最新のサイバー攻撃の検知・防御ができる既存サービスを提供します。その上に「Vario IDaaS」というサービスを第4四半期に追加する予定となっています。こちらでは認証・シングルサインオンや、端末のアクセス管理、アカウント管理・サービス登録、ディレクトリ統合などの提供を想定しています。
さらに、来年度以降には「Vario SASE」というクラウド型のネットワーク・セキュリティもリリース予定で、現在準備を進めています。
2024年2月期第2四半期 トピックス①
2024年2月期第2四半期のトピックスについてご説明します。1つ目のトピックスとして、8月に脆弱性診断サービスの提供を開始しました。このサービスを展開することで、ワンストップで企業向けのセキュリティ支援サービスを強化できると考えています。
脆弱性診断サービスには、Webアプリケーション診断、ペネトレーションテスト、プラットフォーム(ネットワーク)診断、スマートフォンアプリケーション診断と、いくつかのカテゴリがありますが、お客さまの環境の脆弱性を診断し、その結果をもとにセキュリティ強化をご提案することを想定しています。
今後の提案内容としては、ゲートウェイセキュリティの強化やバックアップソリューションの強化、あるいはエンドポイントのセキュリティの強化、社内ネットワークのスイッチ、Wi-Fi等のトラブルの回避、脆弱性対応の強化などを考えています。
2024年2月期第2四半期 トピックス②
2つ目のトピックスです。当社のグループ会社であるHEROZが持っているAI技術を活用し、ネットワークセキュリティ運用管理業務を合理化するプロジェクトを推進しています。
当社では「AI SoC」と呼んでいるプロジェクトの概要は、従来我々の手で作業していた運用業務の自動化です。加えて、自動化だけでは合理化の難しい高度な技術業務を、AIの活用によりシステム化していくことも検討しています。
このプロジェクトで期待される効果は、コストの削減と品質の向上です。また、作業時間そのものを短くできると考えているため、これによりお客さまへのサービスレベルが向上するだろうと想定しています。
現在のプロジェクトの進捗は、当社の主力商材である「VSRマネージドセキュリティサービス」における設定変更業務にAIを導入し、顧客要望の受付から設定変更完了まで、一連の業務の半自動化を推進しています。
今後の「AI SoC」の展望としては、サポート業務の中にもAIを導入し、教育コストの削減やお問い合わせ時のサポートからの回答品質の向上にも活用していきたいと思っています。将来的には「AI SoC」の外販も視野に入れ、プロジェクトを推進している状況です。
2024年2月期第2四半期 トピックス③
3つ目のトピックスです。中期経営計画方針に基づき、強力なダイレクトセールス体制の構築を推進しています。マーケティングの切り口からは、大きく2つの施策を実施しています。
1つ目は、リードナーチャリングの強化です。カンファレンスもしくはウェビナーの参加者に積極的にメルマガ等を配信し、リードとの接点を拡大しています。その結果、メルマガの登録者が4.7倍に増えたという実績が出ています。また、メルマガ登録者による新規のウェビナー参加や資料のダウンロードが大幅に増加する傾向が見られています。
2つ目は、戦略的ターゲットへのアプローチ強化です。当社は、病院や中小企業を戦略的なターゲットとして積極的にアプローチしています。これらのターゲットに向け確度の高いリードを獲得したいという思いから、新規リリースサービス紹介のウェビナーを開催しています。
インサイドセールスに関しても2つの施策を打っています。1つ目は電話アプローチの強化です。第1四半期の大型カンファレンスで獲得したリードに対して電話による積極的なアプローチを実施し、コール回数も1.5倍に増やしています。これによりインサイドセールスへのナーチャリングが進み、クロージングに向けた営業へのトスアップ数が1.5倍に増加しました。
2つ目はリードの精査・管理の強化です。リードの質の低下を解消することが、今後のインサイドセールス施策に対する大きな課題であるため、リード精査のフローを新たに追加しました。
マーケティングとの連携を強化し、営業支援ツール(SFA)を導入してリードを管理する手法を採っています。これにより営業向けのトスアップ率を向上させており、今まさにインサイドセールス業務自体の効率化を推進しているところです。
以上が2024年2月期第2四半期の決算説明となります。どうもありがとうございました。
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